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第9話 魔王と勇者見習い(12)

「えっ?」

 魔王さまの美しい顔が驚愕──。そして艶やかに濡れた唇が開いて驚嘆が漏れる。


 でも彼女から漏れたところでどうにもなる訳ではなく。

 今の彼女のおかれた状態……。



 そう、魔王さまの両手には何も物々しい武器(物)を持った状態ではなく。手ぶらで無防備……。床に伏せたままの状態が改善する訳でもない。

 このまま彼女が床に伏せ横たわっていてもね。


 それにさ、魔王様は? このまま転がった無防備、攻撃できない状態でいれば、勇者見習いである。

 と、いうか?

 勇者見習いとは思えないほどの、彼の巨大な力に対してなすすべもなく。自身の父である前魔王のように躯になってしまう恐れがあるので。

 魔王さまは慌てふためきながら、一樹に蹴られ弾き飛ばされた自身の武器である大鎌仕様の戟を、彼女の持つ美しい紅玉の瞳で探索をするのだ。

 きょろきょろとね。



「……ん? あっ、あったー!」

 自身の美しい紅玉の瞳を使用しながら、この漆黒の闇で覆われた謁見の間の中を、自身の武器である大鎌仕様の戟を探索していた魔王さまなのだが。

 部屋の片隅に、自身の武器である大鎌仕様の戟が転がっているのを見て確認──!


 だから彼女は歓喜の声を漏らしながら、横たわった状態……。



 そう這うようにしながら、大鎌仕様の戟が転がっている場所へと、慌てふためきながら移動を試みる。

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