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第9話 魔王と勇者見習い(3)

「(う~ん、さてさて……)」と。

 相変わらず悩み思案を続ける一樹だよ。自身の目の前──。


 それも、相変わらず、一樹の顔を少しばかり前方へと動かせば、『チュ~』と、甘くて淡いキスができる……と、いうか?


 真っ赤な顔になるほど、自身の華奢な両腕に最大限の力と魔力を注ぎ込みながら。自身の持つ漆黒の大鎌仕様の戟で対峙している一樹のことを一刀両断しようと試みる魔王の如き、妖艶で美しい彼女──。


「ほら、ほら、勇者―! 我に言い訳ができる物ならばしてみろ。勇者―! 貴様は我の父に次いで今度は現魔王である我の首をとり亡骸にするつもりでいるのだろうが!」と。

 荒々しく告げてくる彼女に対して一樹は、それ以上自分に対して荒々しく物言いができぬようにと、自身の唇で塞ぎ栓──。沈黙させて。この世界最大の財宝と共に、自分の物へと強引にしてしまおうかと衝動に駆られる。と、いうことはない。

 そう、今一樹自身の面前いる彼女から初めて聞かされたのだ。彼女が本当に女性魔王だと言うことをね。

 となれば一樹は?


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