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<第69話> 気になります! そして、


『それは何なのじゃ?』

「え?」

髭面の顔に似合わず甲高く可愛らしい声で鳴いた緑の龍は、その縦長の瞳孔をした金色の瞳をネコミミオッサンに向け、話しかけてきた。

タマのことは他からは見えないから安心、と思っていた矢先、先代のダンジョンマスターらしき緑の龍から”それは何”と声をかけられ、緊張が走る。

(もしかして、タマの存在がばれた?)

(タマを安全な場所に非難させないと!)

そう思ったが、

『大丈夫ニャン。』

タマからそんな声をかけられた。

「え? 大丈夫?」

『あの龍は危険じゃにゃいニャン。』

「そうなんだ。よかった~。」

よくよく観察してみると、緑の龍の視線は、僕の膝の上でお座りしているタマにはいっておらず、僕の上半身を見ているようだった。

否、僕が手にしていたマグカップ、”豆乳オレ”をガン見していた。

試しにマグカップを持ち上げてみると、緑の龍の顔が上を向き、マグカップを下に下ろしてみると、緑の龍は下を向いた。

(もしかしなくても、このコーヒーに興味深々なのかな?)

(よかった。タマのことじゃなくて。)

ひとまずタマは安全だと思われたので、ほっと一息。

(それにしてもアレだね。何かこう、”ギャルのパ〇ティーお~くれっ!”って言いたくなるシチュだよね。)

某戦闘宇宙人マンガのシェ〇ロンを思い出しつつ、目の前の緑の龍に、こちらからも話しかけてみることにした。

「もしかしてぇ、これが気になっちゃう感じですかぁ~?」

手にしていた豆乳オレ入りのマグカップを掲げながら、ちょっと前に一世を風靡したポッチャリ系お笑いタレント、”柳〇可奈子”チックに話しかけてみる。

すると、

『それは良い香りである。それは何なのじゃ?』

やはり豆乳オレのコーヒーの香りが気になるようだ。

「これは、コーヒーという飲み物を豆乳という飲み物で割った、豆乳オレという飲み物です。」

『それは良い香りである。飲んでみたいのじゃ!』

(え? そんなでかい図体で、こんなちっちゃなマグカップ一杯の豆乳オレを飲むの?)

「うぅ~ん。あげてもいいんですけどね。でも、あなたの体格では、このマグカップ一杯じゃ、飲んだ気にならない、というか、味すら分からないと思うんですよね。」

僕を一口でパックリできそうな口のサイズである。とてもじゃないが、マグカップ一杯の量で豆乳オレを味わえるとは思えない。

『飲んでみたいのじゃ!』

「え~……。」

(困ったね。どうしたものか……。)

「あのぉ~、あなたは体を小さくすることができますか?」

『ん? できぬぞ。』

「……では、人に化けることはできますか?」

『できぬぞ。』

「……。」

(困ったね。うぅ~ん……。あっ、これはどうだろう!)

自身の右手小指に装着している”擬態の指輪”を見つめる。

 擬態の指輪
   機能:装着者の髪、目、肌の色を任意に変える

(これって、元々人ベースで擬態させるために作られているんじぁない? もしそうなら、人の姿に変身することもできんじゃないかな?)

そんな思い付きで、擬態の指輪を右手小指から取り外しながら、緑の龍に聞いてみる。

「人に化けることができるかもしれない方法を思いついたんですけど、試してみませんか?」

『ん?』

「ちょっと試したいことがあるんです。あなたの指に魔道具の指輪をはめてみていいですか?」

『ん? それは擬態の指輪かえ? 構わぬぞ。』

「お? やっぱり分かるんですね。さすが前任者!」

『ん?』

「まぁ気にしないでください。」

そう言って、龍の右手小指に擬態の指輪をかざす。

(小指って言っても、僕の腕ぐらいの大きさがあるよね。)

龍の右手小指に擬態の指輪を差し込もうとした瞬間、”モワッ”と擬態の指輪が大きくなり、差し込み終わった刹那、”シュッ”と縮み、龍の小指にミラクルフィットした。

「相変わらずファンタジーな動きするね!」

『ん? ふぁんたじぃ?』

「まぁ気にしないでください。」

「これで準備完了です。後は、”人になぁれ”ってな感じで念じてみてくれませんか?」

『あい分かった。』

(僕だったら、”早く人間になりたぁ~い! 〇ム!〇ラ!〇ロ! 妖怪にぃ~んげんっ”って念じるかな。)

そんなことを考えていたら、目の前の緑の龍がまぶしく輝きだした。

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