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<第38話> 裏庭で実験! そして、


ちょっと早い昼食を終え、いざ、日本での行動開始である。

まずは今のタマ(実体化できない)にできることの確認と、

荷物の輸送の問題の要である収納の指輪の動作確認である。

(買い物前に、収納の指輪の性能チェックとか、やっちゃおうかな?)

そう思い、今いる2階の自室から出て1階へ降り、さらにテラスから裏庭へ出る。


(ここからなら車庫は見えないから、タマも大丈夫だよね。)

昨日、車庫にある車に対して異常な反応を示したタマ。

もう二度とそんな状況にはしたくないので、車庫に近づかないよう慎重に行動する。


裏庭には、物置、というか倉庫として使っている、13帖ぐらいの割と大きめな平屋木造ログハウスがある。

そのログハウス前まで来ると、タマに話しかける。

「タマ~、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」

『タマを呼んだかニャン?』

「うん。実はね、この目の前にある小屋、ログハウスって言うんだけど、これ丸ごと、ダンジョンコアに吸収できる?」

『今はできにゃいニャン。』

「今は? どういうこと?」

『実体化できないと吸収できにゃいニャン。』

「つまり、日本では実体化できないから、今ここでは吸収できない、そういうこと?」

『そうニャン。』


(そういえば、日本のモノを吸収するとき、尻尾でペシペシしてたっけね。)

(実体化できないんじゃ尻尾ペシペシできないもんね。)


「そっか~、それじゃ、一旦あちらの世界に持って行けさえすれば、吸収できるってことでいい?」

『そうニャン。』

どうやら日本のモノはあちらの世界に運んでからじゃないと、ダンジョンコアに吸収できないようだ。

あちらの世界に”手で”荷物を持っていくには限界がある。

いかにしてあちらの世界に効率よく日本のモノを持って行けるかが、

今後の”現代日本の物品持ち込み無双”のカギになってくるのではないだろうか。

つまり、収納の指輪が使えるか、使えないかで、その結果は大きく変わってくることになるだろう。

(”現代日本の物品持ち込み無双”は、収納の指輪がその成否を握っている、って感じだね。)



タマの話では、今この場所(日本)ではログハウスをダンジョンコアに吸収できないらしい。

よって、次の手段、収納の指輪による輸送を試みることにする。

(収納の指輪って、容量無限ってことだけど、一度に入れられる大きさの制限とかはないのかな?)

無限に入るとは言っても、例えば入り口が小さくて、小分けにしないと入らない、なんてこともあり得なくはない。

(まあ、実際に収納してみるしかないんですけどね。)

分からないことは試してみる、とにかく実行あるのみである。


目の前にあるちょっと苔むした感じの木造ログハウスを見据えながら、”念じる”。

(”ログハウス、中身ごと全部、一気に収納!”)

すると、一瞬で目の前の風景が開けた。

と同時に、視界の下の方、ログハウスの基礎があったと思しき場所辺りに、

無数の蠢く何かが姿を現した。


それら得も言われぬ気持ち悪さを伴った無数の小さな魑魅魍魎は、

急に身を隠す場所をなくしたことでパニックになったのか、一斉に散開し始めた。


それはナメクジのようであり、それはダンゴムシのようであり、それはクモのようであり、

それはゲジゲジのようであり、それはムカデのようであり、そしてそれは、”G”のようであった。


「ギャァ~、キモッ、キモッ、キモッ、キモ~ッ!」

聞いていて微塵も心地よさを感じない、誰も得をしない、何の可愛げもない、そんなオッサンの叫び声。

ここが山中のひと気があまりない別荘地でなければ、即通報レベルの悲鳴だった。

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