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第96話

「なんだ!?」

 25が声をあげると同時に、全員が西側へ向かいながら、他のアーティナル・レイスと連絡を試みる。けれど、なぜかノイズしか聞こえてこない。

「これは、妨害電波(ジャミング)……?」

 煙が上がっている地点に近づいていくにつれて、それは強くなっていった。

「ナオ。ここからはもう、通信は使えないみたいです」
「全員、可能な限り離れないようにしてください」

 04達に声で指示を出しながら、妨害電波(ジャミング)に包まれている西側に到着すると、そこはすでに傭兵達の屍と、敵によって破壊されたアーティナル・レイス達が横たわる、地獄と化していた。

「酷い……」
「ナオ、あそこにまだ戦っているアーティナル・レイスがいます!」

 16が指差した先には、五人のアーティナル・レイスが空に向けて火器を放っていた。

 いったい敵はどれだけいて、どんなタイプがいるのか?

 それを確認しようとナオが思った時、上空から光線が降り注ぎ、五人のアーティナル・レイスの頭部や胸部を貫いた。

 それによって、上空に向けられていた火器が地面や建物に着弾。一部が爆発音を引き起こした。

「くっ……!」

 ナオは澄人がいる建物に、思わず目を向ける。

 建物に何発かの弾痕が見られるが、倒壊や火事には至っていない。

 それを見て、ナオが一瞬安堵した時だった。

「……そう、あの建物にいるのですね。ヤナギハラスミヒトは」

 ナオ達の耳が、細い少女の声を捉え、全員が上空に目を向けた。そこにいたのは、先日戦った、あの二翼のアーティナル・レイス。けれど、今の声はそのアーティナル・レイスがいる位置からのものではなく、さらに上の方からだ。

「誰ですか? 姿を現しなさい!」

 04達が武器を構える中、11が叫ぶ。すると雲の中から、声の主がゆっくりと降りてきた。

「…………」

 現れたのは、映像で見たあの六翼のアーティナル・レイスだった。

「……ルシーナ」

 ナオがつぶやくと、六翼のアーティナル・レイスは肯定だと言わんばかりに、不気味な微笑みを浮かべた。

「あなたとは、初めましてですね……02」
「……あなた方の目的は何ですか」
「ご存知の通り、ヤナギハラスミヒトの命ですよ」
「それだけではないでしょう」

 ナオが聞くと、ルシーナは「ふふっ」と笑った。

「どういうことですか、ナオ」

 聞いてきた04と他の皆に、ナオは自分の推測を述べる。

「……敵の最大の目的は、私達先行量産型と戦い、性能テストを行うことだったんです。前回の戦闘では、私達の状態を見るために、あの二翼のアーティナル・レイスに調べさせた。そして先ほどの東側で戦わせたのは、その間にテストの障害となる邪魔者を排除するためと、私達が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、準備運動をさせるのが目的……」

 ナオがそう話すと、ルシーナの手から拍手が送られてきた。

「おおよそ正解です。が……少し違います。正確には、私と02……あなたの戦いです。先行量産型で最も優れていると言われているあなたと、現在最高のアーティナル・レイスである私の、どちらが指揮能力に優れているのか……どちらの方が戦闘能力は上なのか……どちらがヤナギハラスミヒトを得るに相応しいのか」
「なんですって……!?」
「あの方が言っていたのです。ヤナギハラスミヒトは、アーティナル・レイスを、より優れた存在にしてくれる存在だと。だから、私はヤナギハラスミヒトを手に入れたい。命令だからというだけではなく、私個人としても」

 そこへ、32が口を挟んだ。

「随分な自信だな。たった二人で、我々に勝てるとでも思っているのか」
「ふふ……まさか。私はそこまで自信過剰ではありません。それに、同じ数で戦うように指示を受けていますので」

 そう言ってルシーナが腕組みをすると、雲の中から新たに、二翼のアーティナル・レイスが五人、姿を現した。

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