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17.これからどうする?

 王国では宴の準備が進められていた。
 王都中でもルークの功績を称えるように、様々な催しが行われている。
 しかし肝心の主役の姿が見受けられない。

「陛下!」

 王室にいる国王の下へ、衛兵の一人がはせ参じた。
 急いできた所為か、息をきらしている彼は、右手に一枚の紙を持っている。

「何事か」

「これがルーク殿のお部屋に!」

 衛兵が国王に紙を手渡した。
 二つ折りにされたそれを広げ、国王が中を確認する。

「ふっ……」

 少し間が空いて、国王は呆れたように笑った。
 紙にはこう書かれていたのだ。

 ちょっと魔王を倒してきます。
 そちらは自陣の守りを固めておいてください。

 たった二行がすべてを語っていた。
 ルークはすでに旅立っていたのだ。
 宴があることも知った上で、それをすっぽかして消えてしまった。
 主催側としては怒るべきことのように思えるが、国王は穏やかな表情で紙を折り畳んだ。

「まったく困った男だ。この私との約束を反故にするとはな……。だがまぁ、今回は許そう。次に戻ったときには、今よりもっと盛大な宴を準備しておくとしようか」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 王国を旅立った俺とプラムは、まっすぐに伸びる街道を歩いていた。
 両サイドは森に囲まれており、魔物も生息していると言われている道だ。
 普段は騎士団の護衛のもとで、積荷の輸送などに使われているらしい。
 魔王軍が侵攻していた現在では、侵攻ルートになりえる街道は、ほとんど全て封鎖されており、誰も行き来することもない。

「のう、ルークよ」

「なに?」

「一応確認しておくが、これからどうするつもりじゃ?」

「どうするって、魔王を倒しに行くに決まってるだろ」

「それはわかっておるわ。ワシが聞いているのは、どう進んでそこまでたどり着くのか、ということじゃ。まさかまっすぐ乗り込むわけではなかろう?」

「そりゃそーでしょ」

 仮に一目散に乗り込んだとして、その間に王国が滅んだら終わりだ。
 まぁ、俺は復讐目的で動いてるし、最悪魔王さえ倒せればそれでもいいのだけれど。
 ただそれはきっと、シンクたちが望んだ未来じゃない。
 彼らは王国の平和のため、自らの命を燃やし尽くした。
 ならば俺も、彼らの想いは尊重するべきだと思った。
 そう考えると、これから俺たちが通るルートは限定されるだろう。
 まずは――

「魔王軍が占領している街がある。それを全部取り返そう」

「それはどういう意図じゃ?」

「全部取り返せば、俺たちが戦っている間に、王国が攻め込まれる心配が減るだろ。あと、後ろから挟まれるとかも怖いしさ」

「なるほどのう。では、当面の目的は人間界サイドの領地奪還じゃな」

「ああ、可能なら王国以外の国も助けたいかな。戦える戦力が俺たちだけじゃ心もとないし」

 プラムが味方にいるのは大きいけど、彼女も無敵というわけじゃない。
 復活はバレただろうし、おそらく対策されるだろう。
 そして驚くなかれ、彼女が倒した魔王軍の二十万は、全体の一割にも満たないのだ。
 それほどの戦力差が、今尚残っていると言う事実。

「そういうわけだから、一番近い街へ行こうか」

「うむ、了解じゃ」

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