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第13.5幕 麗玲と天奏、そして

1
「…………」
麗香を連れて来てから数日、花音達は再び魔神族の集まる部屋へと呼び出されていた。
「……今度は何があるんだろうね」
「……さあな」
花音の呟きに風夜がそう返してくる。
周囲の魔神族達は何処となく浮き足立っている気がした。
(本当に何があるんだろう?)
花音がそんな事を思っていると、前にも見た仮面をつけた男女が出てくる。
「皆、集まったか……」
「皆に朗報よ。我々の守るべき、我々の導き手の麗玲様の転生者を遂に見付けたわ。……どうぞ」
その言葉に更に奥の方から、二人分の足音が聞こえてきた。
「……何だか随分雰囲気が変わったな」
麗玲の姿を見た風夜が呟く。
「……まぁ、あれが本来の姿だ」
やはり小声で封魔が返した時、麗玲が口を開いた。
「……皆、ありがとう。皆のお陰で私は此処に戻ってこられた。感謝してるわ」
そういう麗玲に、魔神族の中からも声が上がる。
「麗玲様、ご復活おめでとうございます」
「またお会いできて、嬉しいです!そのお力で我々を再び導いてください!」
そんな声に麗玲は微笑む。それを見ながら、今度は天奏が口を開いた。
「麗玲の復活、私からもおめでとう。これからは麗玲の為にもしっかりと働いてもらうわ」
そう言って、天奏は横にいる仮面の男女に視線を向ける。
その視線を受けた男が解散を告げ、魔神族達は次々とその場を離れていった。
「……な、何ですか、それ。……私は……」
「光鈴じゃない?……そんな筈ないわ。私が間違える筈がない。……あなたは光鈴の力を確かに引いてるわ」
「彼女の力、治癒と再生の力をね」
「治癒と、再生の力……?」
「そう。彼女の持つ治癒能力はこれからの戦いで必要になる。……断ればどうなるかも、わかってるでしょう?」
「……あ……」
麗玲が言った時、頭の中でチラリとある光景が浮かんだ。

誰かに切りつけられ血を流し、倒れる二人の少女。

「……っ……!」
「ふふ、どうする?それとも、同じ目にあいたいの?」
麗玲が言った時、大きな音を立てて、扉が開かれた。
「花音!!」
開いた扉から中に入ってきた封魔が花音の腕を掴む。
「あら?挨拶も許可もなしに勝手に入ってくるなんて、マナーが悪いんじゃない?」
そんな麗玲の声に構わず、封魔は彼女を連れて行こうとする。
「さっきの話、考えておいてね。……光鈴」
特に止める気はないのか、天奏がそう声を掛けてくる。
だが、彼女が花音のことを【光鈴】と呼んだ瞬間、封魔の肩が僅かに動揺したように動いた気がした。
「……悪い」
麗玲と天奏がいる部屋から離れたところで、封魔が掴んだままだった腕を離した。
「……いえ、それより、ありがとうございました。助けに来てくれたんですよね」
「……ああ」
頷きながらも、封魔は背を向ける。
「……他の奴等の所に戻るぞ。……俺と二人だけになるのも出来るだけ避けた方がいい」
そんなことを言った封魔に、花音は何故そんなことを言うのかと首を傾げたが、彼が歩き出したことで、それはまた今度聞くことにして後を追い掛けた。
3
「花音、何処に行ってたのよ?」
封魔と共に他の仲間が待っている場所へ戻ってくると、すぐに星夢が声を掛けてきた。
「……う、うん。ちょっとね」
本当のことを言っては心配をかけるかもしれないと、花音は誤魔化そうと笑う。
「ちょっとって、誰にも何も言わないで、何処かへ行ったら心配するでしょう」
「……うん。ごめんね」
「全く……」
そう言って、星夢は溜め息をついた。
そんな彼女から封魔の方へ視線を移すと、彼は少し離れた場所で、白鬼と何かを話していた。
「…………」
「花音、あいつがどうかしたのか?」
封魔のことをつい追い掛けてしまっていたことに気付いたのか、風夜が声を掛けてくる。
「……ううん。何でもないよ」
「……そうか」
少し気になることが幾つかあったのだが、まだはっきりとしていることは何もなかった為、そう言う。
それに風夜は何か言いたそうにしていたが、ただそう返してきただけだった。

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