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第10幕 再会と別離

1
二度目の襲撃を受けてから数日後。
舞は麗香と共に闇の国の城下町へと来ていた。
露店も出て賑わっている中を歩きながら、数時間前の会話を思い出す。
『誕生祭?』
『ああ。去年は大きな戦いの最中だったから、やらなかったんだけどな。まぁ、今年も平穏とはいかなそうだから、どうするかという話にはなってたんだが、規模を小さくしてやることになったんだ』
自分が魔神族の神子であることを知り、落ち込んでいた麗香とそれにどう声を掛けたらいいのか分からずにいた舞にそう話を持ってきたのは夜天だった。
『規模縮小ってことは、城の近辺だけか。……いいんじゃないか?範囲が狭い分、警備もしっかりしてるだろ。気分転換になるんじゃないか?』
光輝にも言われて、舞は麗香を見て、飛影の方も見る。
『良いと思うぞ。魔神族も警備を厳しくしているところにはそう簡単には手は出さないだろうしな』
飛影が言ったのを聞いて、舞はもう一度麗香を見た。
「見て、舞、綺麗だよ」
麗香から声を掛けられ、舞は我に返る。
慌てて視線を向けると、麗香は少し離れた所から二つのブローチを見せてきていた。
「本当だ」
光の反射でキラキラと光るのを見て、舞はそう返す。
(せっかくだし、買っていこうかな)
そう思いながら、値段を見る。
(えっと……、た、足りない……)
持ってきたお金を見て、肩を落とす。
「どうしたの?舞」
「……買おうと思ったんだけど」
言いながら、財布を見せる。
「あ……」
「どうしたんだい?お嬢ちゃん達」
二人で顔を合わせているのを不思議に思ったらしい店の人が声を掛けてくる。
「えっと、ちょっとお金が……」
「すみません。これを二つ下さい」
舞が苦笑いした時、そう声がして、麗香が置いたブローチを一つの手が指した。
(あれ?この声……)
その手の持ち主の声に聞き覚えがあり、内心首を傾げていた舞の前に二つのブローチが差し出される。
「はい、どうぞ」
やはり聞き覚えのある声に視線を向ければ、そこにはずっと会いたかった人の姿があった。
2
「か、花音先輩!」
「久し振りだね、舞ちゃん」
ニッコリと笑う花音に、舞はホッと息をつく。
それから周囲を見回したが、見た限りでは祭りを楽しんでいる人々の姿しかなかった。
「先輩は一人ですか?一緒に来てる人は?」
「いないよ。私は光の街に帰ろうと思ってたしね」
「そうなんですか?」
「うん。もう用事は終わったから」
「舞、この人は?」
その時、麗香の声がして、舞は彼女に向き直った。
「えっと、紹介するね。この人が花音先輩。中学の時、同じ部活で仲が良かったんだ。先輩、こっちは麗香。私の友人です」
「よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
花音と麗香が握手を交わす。
それを見ていると、花音が思い出したように口を開いた。
「それで舞ちゃんは、どうしてこの世界に?」
聞かれて、舞はこの世界に来た本当の目的を思い出す。
「あ、えっと……、先輩、魔神族って知ってます?」
「……魔神族?」
きょとんとして首を傾げた花音に、舞は麗香と顔を見合わせる。
「……知らないんですか?」
「うん。……まさか、何か起こってるの?」
「はい。実は……」
本当に知らないという様子の花音に、これまでのことを話す。
「……そう。封魔さんが……」
「……先輩は確か、その人についていったと聞いてましたけど?」
「うん。確かにちょっと協力してほしいことがあるって言われたけど、それも終わったから帰ろうかなって」
そう言う花音は、この世界に来る前に会った時と変わっていないように見えた。

花音との再会から数十分後。
舞と麗香は闇の国の城下街から光の街へと向かっていた。
「こっちが近道なんだよ」
そう言い先を進む花音は、森の中へと入っていく。
「えっと、花音先輩……」
近道と言いつつ、どんどん森の奥へ進んでいってる気がして、舞は声を上げた。
「何?舞ちゃん」
「本当にこっちなんですか?」
「何だか違う所へ向かっていってるような気がするんですけど……」
舞に続いて、麗香が言う。
その時、前を歩いていた花音が不意に立ち止まり、二人を振り返った。
「……ごめんね」
「「えっ?」」
少し寂しげな表情で言われ、それを不思議に思った瞬間、舞の耳の近くで[ヒュン]と風を切る音がして、身体に何かが巻き付いた感覚があり、身動きがとれなくなった。
「花音、先輩……?」
戸惑い気味に視線を向け、花音の横に銀髪の青年がいるのに気付く。
青年の手には何か持ち手のようなものが握られていて、それは舞の身体を拘束しているものと繋がっているようだった。
「舞!」
「おっと、お前はこっちだ」
助けようとしてか近付こうとした麗香の背後に封魔が現われ、彼女の首に手刀を入れる。
「刹那!」
前に倒れこむ麗香を受け止めた封魔の声に空間が歪み、そこから仮面を付けた男が出てくる。
「麗香!」
舞は声を上げたが、身動きはとれず、麗香は気を失ったまま男に渡されてしまう。
彼女を受けとった男はすぐにその空間へと姿を消してしまい、空間も消滅する。
それと同時に舞の身体は解放された。

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