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第十話 劉表と競馬場

 196年冬、降りしきる雪の中、関平達は合流後、南下して五日間で劉表の本拠地の襄陽に到着した。

 流石に以前訪れた許昌に匹敵する程、民草が露店を出して賑わいを見せている。

 まず、襄陽城に関平、龐統、沮授、呂乱華の四人は劉表に庇護を求めるべく大広間にて謁見した。

 そこには文武三十官程集まりながら関平達を値踏みしていた。

「あれが関平殿か?」

「噂に聞く鳳雛?」

「汝南の軍師沮授?」

「亡き呂布の姫君?」

 など、騒いでいると五十代半ばでふくよかな身体をした水色の着物を纏った頭と髭に白髪交じりの男が上座の席に座った。

「皆の者! 静まれ。儂が劉表である。良くこの地へ参った関平殿。そなたの様な武勇があり、民や家臣から愛される名声を持つ者が儂を頼るのはありがたい。是非、襄陽の北にある新野に行き駐留し、曹操から荊州を守って欲しい」

 関平は平伏しながら。

「劉表様に受けた恩義……。終生忘れませぬ」

 すると三十代後半くらいの(いたち)のような顔をした男が発言した。

「劉表様。安易にこの男を庇護してはなりませぬ。この者は、あの飛ぶ鳥を落とす勢いで領土拡大をしている曹操の敵にございますぞ。庇護などすれば荊州を攻める口実を与えるだけにございます。すぐにでも軍勢を派遣して、この者達を討ち取り献上すれば、曹操と誼を通じ、呉の孫策から荊州を守れますぞ」


「この劉表の決定に異議を唱えるのか蔡瑁(さいぼう)よ。そなたの妹を嫁にしているとはいえ……。出過ぎた真似を致すな!」

「ははあ――。申し訳ござらん。儂は失礼致す」

 と、怒りで恥辱に顔を真っ赤に染めて去って行った。

 その夜、劉表は関平を隣の上座に座らせ、酒宴を開いて(もてな)した。 

 その際、剣舞の舞いを劉表の武将達が行ったのだが、明らかに関平を殺すつもりの殺気を放っている。

 俺も剣舞に入り、皆殺しにしようか? と、思った時?

「おいおい? 客人を殺すのが、儂達、劉表様の武将のやる事か? 恥を知れ!」

 と、言い放ち、酒瓶を投げ放った人物がいた。

 武将達は気まずそうに酒宴から去り、関平は生きていた時に知っていた人物と話す機会を得た。

 その人物とは?

 三十代前半の蒼き鎧をまとった大剣使いの猛将、魏延(ぎえん)である。

「関平様。余計な危惧であったな? 儂が止めねば、皆、貴殿に殺されていたわ。わっはっは。だが、困った事がある。劉表様や武将達に恥を欠かせた儂の居場所がない。貴殿の? 否! 関平様の家臣にして下さらぬか?」

「そなたの様な武勇と胆力のある将軍は大歓迎だ。よろしく頼む」


 こうして劉表から新野に赴任出来る印綬と、銭、食料、武具、馬を関平達に与えて、また、正式に魏延が家臣となって、すぐに新野に向かわせた。





 五日後、新野城に着くと立札を領内に置き、人材の確保と徴兵を行い。

 しばらくは兵達に田畑を耕せ、その後に訓練。

 汝南と同じ文官確保、学者や孤児院を設立した。

 だが、富は消費してゆく、何か? 良い策はないか? 関平と沮授、龐統は話し合い、その結果、馬は女騎馬隊をはじめ約六百頭所有していたので競馬場を作る事にした。




 同年、秋に完成すると勿論、競馬場の元締は関平で七日の内、晴天の日に一日で十八回試合を開催し、民に銭を賭博させた。

 入場料と掛け金を担当する者に民が集まり、一目でも馬を競い合う姿を観ようと大騒ぎである。

 最初の一日目の最初と最後の関平、呂乱華、張遼、張郃、黄忠、許褚など関平軍の武勇を誇る者達が競い合った為、大いに賑わった。

 特に関平と呂乱華は民に人気があり、民草から惜しみない声援を受けた。

 また、競馬場開催日には自由に誰でも商いができるという立札を立てた為、身分が様々な商人が集まり、更に賑わい、許昌や襄陽に匹敵する物である。

 一年後には莫大な富を得て国力、軍事力は汝南、寿春を支配していた時以上になっていた。


 一年後(197秋)の関平の軍事力   

 妻、軍師、将軍に加え、新たに魏延。

 女騎馬隊六百人。

 関平直属軍 五千人。  
  
 将軍直属軍 総勢 一万五千人。

 民兵 五万人

 支配地域 新野(借受け)

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