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第8話 扉の向こう(1)

〈ドン〉

〈ガン!〉

 受け身──!

 そして一樹は光の球体を弾き返すと──。弾かれた光の球は、部屋の床へと落下──!

〈ドガン!〉と。

 大きくて鈍い音を立てながら。

 と、同時に一樹の口から「チッ」と、舌打ちが漏れる。

 部屋の奥から放たれた魔弾の砲撃。球体を自身の防御魔力を展開しながら弾いてみせたのに。

 一樹の口からは舌打ちが漏れるということは、どういうことなのだろうかと思われるのだが。

 余り思案を続ける時間はないようだね。一樹の状態は直ぐに刹那な状態へと陥いてしまうから。

 だって部屋の奥から放たれた魔法弾を弾き返して、態勢を立て直そうと試みる一樹に向けて『ザッ、ザザザ……』と駆け足──急ぎ足で何者かが迫りくる。

「勇者覚悟~! 我が父の敵をとらしてもらうー!」と。

 勇んだ台詞──!

 それも若い女性の声色で、なのだよ。

「えっ? うそ?」

 だから先程迄、タヌキの御老体が一樹へと内緒……。



 ちゃんと報告をしなかったこの世界一の財宝以外のある者……。



 そう、恐ろしく巨大な魔力を持つ何か? それを最初に報告をしてくれなかったことに対してタヌキの御老体へと不満……。自身の気を荒々しく高ぶらせながらイライラとしていたのだが。

 今の女性の声色。それも若い女性の声色なので、一樹自身も気を高ぶらせながらイラつきタヌキの御老体へと不満を募らせていた思いが拍子抜けしてしまう。どころか? 忘れて、彼の口から漏れる言葉は「ちょっと待って君……」と言葉を漏らすのだが。

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