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十一 イムジン河 水清く とうとうと流る

 ユーラシア大陸の東に位置する半島の、北の指導者は考えた。
『南との融和策を掲げれば、南のバカは舞いあがり、日米を差し置いて、極東の情勢に、南が主導的な立場にあると誤解する・・・。
 その結果、日本との同盟を断ちきり、米国とは対等な立場にあると勘違いする・・・』
 北の指導者は民族統一をほのめかし、融和策を掲げて南と国交を進めた。

 南の指導者は、自分の功績で、民族統一が進むと思い込み舞いあがった。
 日本とのあいだで国際条約にのっとって結んできた数々の諸同盟条約を無視し、北が喜ぶように日本を非難し、北の御機嫌をとりはじめた。

 北の指導者は、南が日本と対立し、南と日本の同盟が破棄状態になったのをとても喜んだ。
『あとは南が米国と決別すれば、南は完全に孤立する。
 そのときを狙って攻撃するか・・・。
 それとも、融和策を持ちかけるか・・・・。
 よし!政治的に攻撃だ!』
 北は、南が米国との協調路線を進み、民族統一を阻んでいるとして、南を非難しはじめた。

 南の指導者は思った。
『南の対日本外交は、すでに険悪だ。ここで対米外交をしくじれば、南は完全に孤立する。
 しかし、国際条約を無視して、米国の同盟国の日本をさんざんけなした今、米国に対して南の立場はない・・・』

 南の指導者は気づいた。
『北の策にはまった・・・。
 北はまた民族統一をうたい、譲歩策を提案してくるだろう。
 何が欲しいのだ?食糧か?経済援助?
 そうではない!欲しいのは、国際社会における我々南の立場だ!
 北は、国際社会における立場を、我々南に取って代わろうとしている・・・』

 南の指導者の脳裡に、北が南をどのように侵略するかが浮んだ。
『なんてことだ!私は北の策にはまり、完全に南を国際社会から孤立させてしまうぞ・・・』

(了)


「イムジン河」
朴世永原詩・松山猛訳詞・高宗漢作曲

イムジン河 水清く とうとうと流る
水鳥 自由にむらがり 飛び交うよ
我が祖国 南の地 想いははるか
イムジン河 水清く とうとうと流る

北の大地から 南の空へ
飛び行く鳥よ 自由の使者よ
誰が祖国を 二つに分けてしまったの
誰が祖国を 分けてしまったの

イムジン河 空遠く 虹よかかっておくれ
河よ 想いを伝えておくれ
ふるさとを いつまでも忘れはしない
イムジン河 水清く とうとうと流る

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