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四 コレクター

 私は刃物を集めるのが好きだ。
 ナイフ、包丁、斧、鉈、山刀、鉋、鑿、鋸、等々。
 様々な種類の刃物がある。

 いずれ、陳列ケースを作って、展示室を増築して・・・。
 休日の午後、そんなことを考えていると家内が、
「包丁が切れないから、研いでほしい」
 という。

 見ると、菜切り包丁も、出刃包丁も、万能包丁も、みな刃こぼれしている。
 何を切ったか訊くと、
「完熟のカボチャを切った」
 というのだ。完熟カボチャの皮は乾ききった薪くらいに硬い。
 いつも、私が鉈で切るから、その時は教えろと話している。
 しかし、家内は自分でカボチャと対決した。
 結果は悲惨だ。

 砥石を調理台に並べ、数時間かけて刃こぼれをすっかり取りのぞくと、
「あれだけ刃物があるんだから、刃こぼれしたら、集めた刃物を使えばいい」
 と家内はいう。

 とんでもない話だ。集めた刃物をは展示用だぞ!磨きあげて曇り一つ無い刃物だぞ!

 そういえば、知人に集めた刃物を見せたら、
「いやあ、これだけあると、恐いですね。こんなのを持って襲われたら・・・」
 とふるえていた。
 私は、こいつは阿呆かと思った。集めた刃物は鏡のごとく磨き上げてある。
 これらで物を切るなんて、これっぽっちも考えたことはない。

 まったく、コレクションと実用品の区別もできないヤツらには、困ったものだ。

(了)

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