19
ハァッ……結局何もないまま終わってしまったわ。
しかも最後まで不知火課長は、不機嫌なままだったし。
あの人が居なかったら、もう少し進展があったのかもしれないが、まぁ仕方がないわよね。
褒められただけでも良しとするか……。
そう思い直して帰ろうとする。
「おい、宮下」
すると不知火課長が突然声をかけてきた。
ビクッと肩が震え上がった。
えっ……?まさか、また文句を言いたいの?
せっかく持ち直したのに……と思いながらも渋々振り返った。
「な、何でしようか……?」
「今日も食事に付き合え」
はい……?だから何で私と……!?
またもや食事のお誘いだった。
課長は、腕を組みながらまだ不機嫌そうな態度だった。
「あの、今日は……」
「今日は……?」
「いえ、何でもありません。お供します」
断る勇気を言わせないほどの高圧的な態度だった。
結局、嫌々ながらも課長と食事をすることになってしまった。
今日は、近くの焼き鳥屋に連れて行かれる。
課長は、席に座ると店員さんにビールとネギマやモモなどを頼んだ。
店内も焼き鳥のいい匂いがしていた。
あぁ課長さえ居なかったらビールで一気に飲んで、気楽に食べられたのになぁ……。
私も同じのを頼むことにした。
注文が終わるとチラッと不知火課長を見た。
すると未だに不機嫌そうだった。
なんか……勝手に怒っているし。
何で?そんなに怒らすよう事をしただろうか?
いやいや、していないはずだ。
そりゃあ、杉本先生に甘えようとしていたけどさ
それで、そこまで怒ることだろうか?
意味が分からなかったが、念のため聞くことに。
後でめんどうなことにならないためにも……。
「あの……課長?」
「何だ?」