第九話 滅亡と旅立ち
曹操は呂布の配下を離反させて呂布と陳宮を捕らえて処刑した。
最後まで敵対した張遼と
龐統は苦しい意見を述べた。
「すぐにでも曹操は譙に攻め掛かり関平様が居られない今、汝南や寿春も奪われ滅ぼされるでしょう。だが、ただ民草を見捨て、領地が曹操の軍門に下れば関平様の名声が地に落ちまする。再起し、再び旗揚げする為、誰か関平様の為に戦って死んで下さらぬか?」
「この華雄にお任せあれ! 儂は関平様に命を助けられた身。この命燃やし尽くす所存にござる」
こうして、老いた盲目の将軍である華雄は、今、まさに関平の恩に報いる為に、直属の兵、三千人を率いて、侵攻しして来た曹操本隊十万人に突撃して行った。
「皆の者! 儂達は死して名を残すぞ! 最低一人十殺じゃ!」
「おおお――!」
直属の兵は、一人一人が、曹操の兵十人分の武勇を誇り、華雄を父親の様に慕っていた為、獅子奮迅の活躍を見せたが多勢に無勢。
ある者は槍で串刺しになり、また、刀で斬り裂かれ、弓矢が何本も刺さり討たれていった。
やがて、華雄一人となり、目の前には、曹操軍の将軍が一人、
だが、この時、夏侯淵は負傷し消耗した華雄を討ち取るべく槍を胴体へ突いた。
見事、華雄の胴体は槍に貫かれ死んだか? に見えたが、華雄は首を取りに来た夏侯淵の首に歯をたて噛みつき、薄れゆく意識の中。
「ぎゃ――」
夏侯淵は断末魔を挙げ苦しみながら。
「去らばです……。関平様……」
華雄は満足そうな笑顔で。
共に血塗れになり絶命した。
その頃、殆どの関平軍の将兵が離反、もしくは逃亡したが、軍師の龐統、将軍の黄忠、張郃、武将の許褚、周倉、廖化と、その直属の兵、女騎馬隊は関平に離反せず行方を隠した。
その年の冬、小雪の舞い散る中、関平の領地を制圧した曹操の軍勢は南陽の張繍に降伏勧告をし、南陽城に曹操軍は入城。
張繍は歓迎の宴を開き、その席で捕縛していた関平を縄に引きずって連れて来させた。
曹操は終始ご満悦で話しかけてきた。
「関平。そなた我の家臣とならぬか? もし断るならば許昌にて処刑せねばならぬ」
「曹操。貴様に仕えるくらいならば俺は処刑された方が良い」
「ならば牢屋で頭を冷やしながら考えよ」
そして深夜、曹操軍勢が張繍軍勢の夜襲に遭い、しかも
「夜襲だ! 劉表の援軍までいるぞ!」
「曹操様が討ち死にされただと!」
「関平軍まで押し寄せてるぞ!」
など、大混乱。
実は関平と張繍は密約が出来ており、己自身を餌に曹操を釣り出す罠である。
無論、考えたのは、張繍の軍師、四十代前半の痩せた身体だが、中華屈指の知恵者、賈詡の策。
「くっくっく。愉快、愉快。強者が弱者に討たれるのを見るのが儂の生き甲斐ぞ」
賈詡は高みの見物をして、ふと呟いていた。
だが、結局、曹操には逃げられたが、その代わり、護衛の
夜襲後の朝。
張繍は関平に話しかけ。
「同盟の義理は果たした。去るがよい。もし、貴殿に力を貸す者が居るのは、北の袁紹か? 南の
こうして関平、沮授、呂乱華は釈放され荊州の劉表を説得する為に
何故? 袁紹の元に向かわないか?
いずれ、曹操と戦い敗れた劉備が向かうからである。
それに早い段階で劉表と
荊州の襄陽に行く途中、見覚えのある緑の軍旗と鎧を纏った約千五百人程の軍勢が現れ、その中から龐統、張郃、他の武将達も現れた。
更に驚くべき事に呂布の将軍であった張遼、高順の二人が現れて呂乱華に平伏した。
「姫様申し訳ございませぬ。この張遼の不覚にござる。どうか姫様の手で成敗して下され!」
「この高順も同罪にござる。いかようにもして下され!」
呂乱華は呆れた様に。
「張遼! 高順! せっかく拾った命無駄にはするな! これからは私と夫、関平様に仕えよ」
「「御意!」」
こうして、華雄を失ったが、新たに呂布の二人の将軍が家臣となった。
今の関平の戦力
軍師 龐統 沮授
妻、武将? 呂乱華
将軍 黄忠 張郃 張遼 高順
武将 許褚 周倉 廖化
軍勢 関平軍勢千人 女騎馬隊三百人 呂布残党軍 二百人