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第56話 部屋に帰ってきたマギヤ・ストノスト

 マギヤがトロイノイに想いを伝えた翌々日、マギヤがウリッツァの部屋へ戻れることになった。
 そして以前ウリッツァがプリストラやタケシに話していたように、ウリッツァと妙に距離を取るマギヤ。
「なあ、マギヤ……どうしてこの頃オレと距離取ってんだ?」
「……私の勝手でしょう」
「いや、けど……」
「放っておいてください」

 マギヤが、かつて自分が使っていた寝具の上で軽く呼吸してウリッツァにこう尋ねた。
「……ウリッツァ、私がいない間、私のベッドで寝てました?」
「ん? ああ、初日はプリストラが使ってたんだけど、いつもより寝付けなかったから代わってくれって頼まれたんだ」
「……そうですか」
「いや、だったか……?」
「……いいえ」
 この(かん)、マギヤはウリッツァの顔を見ることはなかった。


 皆が寝静まる夜、ウリッツァは耳元の呼吸音で目覚め、目を開くが暗闇しか見えなかった。両手首を縛られているのか指ぐらいしか自由に動かせないし、脚にも何か重みがあって動けない。
「マギヤ、助けて……!」
 そのウリッツァの言葉にウリッツァに乗っている何者かは数秒止まったかと思いきや、ウリッツァの耳を甘く噛みながら頭を撫でてきた。
 ピチュピチュあるいはピチャピチャと音を立ててウリッツァの耳を舐めながら、空いた手で器用にウリッツァのパジャマのボタンを外していく何者か。
 パジャマの下はウリッツァの素肌だ。
 雄っぱいと呼ぶにふさわしい大胸筋と、六つに割れた腹直筋を筆頭とした筋肉等を覆う素肌への撫ぜ方、舐め方、吸い付き方が優しすぎていやらしいというか、いやらしすぎて優しいというか。
 ズボンが脱がされていく。
 脱がされなかった下着の中で自らが膨張しているのに気付き恥じたくなるウリッツァ。
 下着越しに触れられてるウリッツァは、自らの湿り気にますます震える。
 ついに下着も脱がされ、何者かの何者(ナニ)かがウリッツァの中に入っていく。
「あ……ああっ!」


 夜が明け朝になり、再び目覚めたウリッツァの隣で誰かの穏やかな寝息が聞こえる。
 いつの間にか両手首の拘束がほどけていたので、目隠しを外したウリッツァがまず見たのは、二、三日ぶりに見たベッドの裏だった。
 さらにあちこち確認すると、ここはウリッツァのベッドの下にあるマギヤのベッドの上のようだ。
 なんでここで……などと思いながらウリッツァは隣の寝息の主を見やった。
 穏やかな寝顔、意外と長い睫毛、たまに寝息と共に流れる銀髪、そして何より……、
「……ウリッツァ」
 寝言で自分の名を呼ぶこの声は……。
「ま……マギ……ヤ?」
 ん……、と起き上がって眼鏡をかけ、声の主がウリッツァであることを認識してか、うっとり微笑んで「ああ、おはようございます、ウリッツァ」と挨拶しながらウリッツァの髪を優しく撫でるマギヤ。
 マギヤが目の前で笑っていることにも驚きだが、それよりも頭の撫で方が謎の侵入者とほぼ同じことに戸惑いと、……こいつなのか? という疑心と恐怖に震えるウリッツァ。
「な、なあ、マギヤ。と、時々オレに触ったり、液体みたいなのをかけたり……オレの体……の中……に入ってきたりしたのって……お前じゃ……ない、よな?」
 そのウリッツァの言葉を聞いたマギヤは、撫でる手を止めウリッツァの髪を掴み、こう告げる、
「私以外の誰にそういうことが出来ると言うのですか、ウリッツァ?」
 ひどく淀んだまっすぐな目をウリッツァに向けながら。

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