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第1章22話:バフポーション

<ルチル視点>

翌年。

114歳。

春。

錬金術の技術と知識をどんどん高めていった。

結果。

錬成時間は大幅に短縮された。ものにもよるが早くて3秒、遅くても5分以内で作れるようになった。

またポーションとしてはハイポーションを作ることができるようになった。

そして現在……

私はバフポーションの開発を行っていた。

素材を並べて、錬成を行う。

「……よし、できた」

―――バフポーション。

飲めば、自身を強化する、いわゆるバフの効果を付与してくれる強化薬(きょうかやく)

そして今作ったのは、現状、私が考えうる最強のバフ薬だ。

知識、技術、素材を結集したバフアイテム。

これに狙い通りの効果があるかは使ってみないとわからない。

しかし私の理論が正しければ、使用者の身体能力・魔力を数倍に高めてくれるだろう。

(これはいざというときの切り札に使えるからね)

私は錬金術師。

魔法や剣術が使えないわけではないが、専門の適性職に比べればどうしても劣る。

戦闘で苦労する局面は必ずあるだろう。

しかしバフポーションがあれば、自身の不利を挽回(ばんかい)できるかもしれない。

このバフ薬はそういうときのために常備しておきたいところだ。

「さて……次は何を作ろうかしら?」

口元に手を当てて考える。

と、そのときだった。

「あなた、良い腕をしているわね」

「……!?」

いきなり背後から声をかけられて、私は思いきり振り返った。

そこには不思議な雰囲気をまとった女性が一人立っていた。

銀色のロングへア。

トパーズのような色の瞳。

神聖そうな法衣を身にまとっている。

誰だ、この人……?

いや、人なのか?

この世ならぬオーラをまとっている。

私は警戒心を高めた。


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