早速倉庫へ行きましょう
「では、この水に血を垂らしてもらえますか?」
「わかった!」
拳ほどの大きさの小皿に水がはっている。
そこに血を一滴垂らすと、淡く輝いた。
しばらくすると、うすい灰色のカードが浮かび上がってくる。
「何度見ても不思議だなあ。水からカードができるなんて。これ、どうなってるの?」
「このために作られた魔道具ですから」
にっこりとはぐらかされた。
作り方はどうやら企業秘密らしい。
「じゃあ、換金と・・・あと、貯金の方もお願いしようかな」
「では、裏の方に回りましょうか」
受付嬢は俺が背負う荷の量を見て、ここだと狭いと判断し、広いところへと誘導していった。
促されるがままに倉庫の中に入ると、体格のいい数名の男性が待っていた。
「俺は解体士のケンゴだ。よろしくな」
「俺はガルグ、解体士だ」
「わしは元解体士のジジュじゃ」
「私は鑑定士のユウリです」
「元解体士?」
それぞれが自己紹介をするなかで、とある言葉がひっかかった。
「説明しますね。ジジュさんはあまりに腕が良すぎて、冒険者のみなさんは全員彼に頼むので、二、三年前に引退したのですが・・・ジジュさんに頼り切っていた弊害がここで出まして、未熟な若い解体士しかいないんです。その現状を嘆いたジジュさんは、次世代育成に力を入れることにしたんです」
「へえ、なるほど」
「おじいちゃんすごいんだねえ」
無邪気な笑顔でほめるわが子。
「こ、こら。初対面の人にいきなりおじいちゃんって言わないの」
「わしは気にせんよ。じじいなのは事実だしの」
「すみません・・・」
「早速だが、荷物を見せてくれ」
「はい、これです」
拾得物が入った全てのマジックポーチとリュックをひっくり返した。