160章 臨時収入
午後からの仕事を終えて、家に戻ってきた。4時間以上働いたこともあって、体は疲れを感じている。
ミサキは残りのパンを食べ進める。いつもよりもお腹がすいていたのか、パンは瞬く間になくなってしまった。
80個のパンを食べられるのは、腹ペコ少女だからである。通常の体をしていたら、10個のパンを食べるのも難しい。
テレビをつける前に、室内は暗くなった。数秒後、妖精が姿を現す。
「ミサキさん、お久しぶりです」
「こんにちは・・・・・・」
「こちらの世界の生活はどうですか?」
「それなりに楽しんでいますよ」
「それはよかったです」
ご飯をしっかりと食べられて、気持ちいい睡眠をとれる。当たり前のことなのに、とっても幸せに感じられた。
「今日はどんな要件ですか?」
「写真集撮影に売り上げに貢献したので、3000万ペソを臨時支給します」
「3000万ペソ?」
「写真集発売は、1億ペソ以上の利益を生んでいます。20万ペソはありえないので、3000万ペソを追加します」
1億ペソの利益で、20万ペソしかもらえない。アイドル業界の予算は、ぼったくりによって成り立っている。
「ミサキさんは体を張って、仕事をしています。私たちとしては、対価をきっちりと払っていこうと思っています」
腹ペコ少女ゆえに、仕事をするのは厳しい。1時間の労働であっても、4時間、5時間に感じることもある。
「アイスクリームはどうですか?」
「こちらについては、対価をきっちりと払っています。ぼったくりという印象は受けません」
アイスクリームの売り上げとして、15万ペソを追加でもらえた。売り上げを拡大するたびに、
収入は増えていく。
ミサキは率直な疑問をぶつける。
「カロリー摂取を変更するつもりはありませんか?」
妖精は明確に否定する。
「それは絶対にありません。摂取カロリーについては、20000キロカロリーのままです」
20000キロカロリーを摂取するには、5~6時間くらいを要することもある。カロリー摂取は、労働よりも大変だ。
「ミサキさんは大食いをアピールして、たくさんのお金を稼いでいます。アピールポイントを奪ったら、特徴のない女の子になってしまいます」
「特徴はなくても・・・・・・」
「特徴のない人間には、夢を与えることはできません。ミサキさんには、夢を与えられる女性になってほしいです」
妖精は姿を消した。室内はすぐに明るさを取り戻した。