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159章 シノブの気持ち

 帰宅の準備をしていると、店長から声をかけられた。

「ミサキさん、昼からも仕事に入れませんか?」

「昼からも仕事をするんですか?」

「はい。1~2時間でいいので、仕事をしてください」

 パンを食べたことで、仕事をする力は養われた。短時間であるなら、問題なく仕事できそうだ。

「わかった。1~2時間くらいの仕事をするね」

 休憩時間は残り30分。ミサキはゆっくりと過ごそうと思った。

「来週についても、アイドル撮影をするみたいですね。シズカさんから、出演許可の要請がきたので、OKを出しました」

 来週はスクール水着で、お風呂に入る仕事をする。水着でお風呂に入る機会は少なく、貴重な体験をしているといえる。

「ミサキさんに依頼するのは、どうしてなのでしょうか?」

「ココロさんが体調不良でお休みといっていた。仕事に復帰するまで、代理をしてほしいみたい」

「ミサキさんに頼むのではなく、アイドルの方にお願いすればいいのに・・・・・・」

「アヤメちゃんの強い要望であること、アヤメちゃんと肩を並べられるアイドルはいないことなどから、ピンチヒッターを要請された」

 有象無象については、バッサリとカットする。これをいってしまうと、シノブ、マイを深く傷つけることになる。

 シノブの瞳が濁った。

「アイドル撮影よりも、店のことを優先してほしいです」

「シノブちゃん・・・・・・」

「ミサキさんの予期せぬ欠勤は、お客様のクレームにつながりかねません。今のところは問題ないですけど、今後はどうなるかわからないです」

「勤務日は非公開情報だから、お客様には伝わらないと思う」

「それはそうですけど・・・・・・」

「私は究極の腹ペコ少女だよ。一般と同じことをしていたら、自力で生活するのは難しい。私は
一人の女性として、自分だけの力で稼いでいきたい」

 先月は食費だけで、10万ペソを超えた。焼きそば店の収入だけでは、自力で食べていくのは厳しい。余裕を持たせるためには、特殊な仕事を引き受ける必要がある。

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