その憂鬱は、どこからが憂鬱だったのか。それは、きっかけさえあれば変わるのだと、そう思った。この世界には、かつて平和と均衡を司る種族達がいた。しかし、この数百年彼らを見る者はほとんどいなかった。そう、ある日を境に。今となってはその存在すら知る者も少ない。歴史が変わる時。それはある小さなきっかけからだった。この世の端っこ。海の最果てと呼ばれるその場所には、辿り着くには航路が無いと言われている、ある小さな島があった。その島にあるタナマ村で育ったアルネは、小さな頃から周りとは違う違和感を感じていた。しかしそれが自分であり、個性であると祖母から言われ続けてきた。最愛の祖母がそう言うのであればそうなのであろう。「何も不安になることはない。アルネはアルネだから」。アルネはその言葉を信じ、今まで心豊かに生きてきた。月に一度の夜が一番明るい日は外に出ないように。祖母から言われたこの意味をアルネはまだ知る由もなかった。ある夜、その島はここ一番と言っていい程の、巨大な嵐に見舞われた。翌朝、アルネは心躍る気持ちを抑えきれずに、近くの海岸へと来ていた。そう、流れ着いた物資を拾う為に。天候が荒れた次の日には、たくさんのモノが海岸へと流れ着く。アルネはそれを知っていた。上機嫌で海岸を彷徨く。アルネは今回も珍しいモノや謎のモノ、様々なモノを物色しながら歩いていた。そこでおネエさんを拾った。しかし、彼女も周りと何だか違う。そのおネエさんとの出会いがこの先、歴史を変えるとは露知らず。この世界の揺らぎ、均衡を保つために彼女は今決意する。そして、その為に探す事となる様々な種族達との出会いが、アルネを成長させていく。大聖女としての力も想いも、この世界の為に。そして、自身のために。心強いおネエさんとの愛情溢れる冒険物語が今、始まる。
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