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227 国の話

「ふふふ。もちろんよ。お願いされなくても、カカオ豆でしたか。赤の大陸と貿易ができるように陛下にお願いしてみますわ」
 ああ、王妃様。
「私もよ。宰相をしている夫は自分が甘党ではないからと、チョコレートを低く見すぎているんですわ」
 宰相の奥様!
「元老院で長を務めている父に、私は言ってやりますわ。近隣諸国との取引のいい材料にもなるでしょうと。女性の心をつかめば話はしやすいということは分かっているはずなのに。女性が喜ぶものは宝石やドレスばかりだと思っているところはどうしようもありませんわ!」
 元老院の長……。なんだか偉そうな人です。
 次々にご婦人たちがチョコレートのために何か動いてくれると言ってくれます。
「あー、そうだ」
 ローファスさんが王妃様の顔を見た。
「陛下がそれでも、女子供に言われて国を動かすなど諸外国に思われてはならぬと言ったら」
 と、そこまで言うとリリアンヌ様が憤る。
「くっ。言いそうですわ。あの陛下面した男なら……外聞が悪いと。うちの国を動かすなら王妃に取り入ればいいと思われたら困ると言い出しそう」
 あれ、でも、確かに王妃に取り入ればいいなんて思われたら困るよね?
「まぁ、最後の手段として、高度鑑定魔法をチョコレートにかけてみるように言ってくれ」
 と、ローファスさんがにやりと笑う。
 ああ、そうでした。私が料理して補正値をつけなくても、ある程度の効果があるんでしたよね。昔は日本でも薬として使われていたんですから。
 えーっと、なんだっけ。男性には嬉しい効果があったんですよね……。
「どういうことですの?」
 王妃様がローファスに尋ねる。
 ローファスが、ふっと笑って、隣に座るシャルム様に内緒話をした。
 話を聞いたシャルム様がぷっと噴き出す。
「なるほど。それは、高度鑑定魔法の結果を知っても、なお反対する者は少なそうだ。良くも悪くも国を動かしているのは、そこそこの年齢の者が多いからな」
 王妃様がリリアンヌ様の顔を見るけれど、リリアンヌ様も首を傾げる。
「ところで、高度鑑定魔法なんて、どうしたんだ?冒険者にそれほどの魔法が使える者はおるまい?宮廷魔導士にでも依頼したのか?それとも、エルフの国でも訪れたのか?」
 エルフの国なんてのがあるの?
「いや。エルフの国がどこにあるかなんて知らないし、国に引っ込んでるエルフは人嫌いだろう?いくら金を積んだって頼み事を聞いてくれるとは思わいけどな」
「確かにな。エルフの隠里に施された隠匿魔法を敗れるような人間は知る限りいないな。だが、同種族であるエルフならば簡単だろ?S級冒険者なら、エルフの知り合いの一人や二人いるんじゃないのか?」
「それは言えば、変わり者のエルフの知り合いの一人や一人、将軍の知り合いにもいるだろ?」
 ん?
 エルフは隠里に住んでるの?エルフの国の王はすごい人だとかなんか聞いたよね。
 里から出るのは変わり者?
 ブライス君はエルフの血を引いてると言っていたけれど、人と仲良くした変わり者のエルフの血っていうこと?
 というか、ローファスさんはブライス君が高度鑑定魔法が使えるって、どや顔で自慢しなかったよね。しかもなんか話題をそらすようにシャルム様と会話を続けているし。
 ということは、とりあえずブライス君が高度鑑定魔法を使ったってことは、私も言わないほうがいいよね。
「エルフには会ったことがありませんが、美しいというのは本当なのですか?」
 ご婦人の一人がうっとりとした顔で言葉を発する。
「あら、私一度だけ拝見したことがございますわよ。宮廷に招かれた楽団にいましたの」
 王妃様が答える。
「それはもう、見目麗しく……。その日の舞踏会は男女問わずその方に視線を奪われていましたわ」
「まぁ!」
 と、エルフについていろいろ女性陣も話始めた。
 あれ?そんなに珍しいんだ。
 なんか、街でもあったよね?バンさんと一緒に旅してる人……。
 ブライス君はエルフの血を引いているって言うし、珍しいって感じがなかったから、気をつけよう。
 えっと、エルフは会うことが珍しくて、魔法が得意な種族。
 妖精は、姿は不明で人をさらうという恐れられてる種族。
 獣人は、差別をする人もいる。……今のところキリカちゃんしか知らないけれど、獣化すると能力が上がるらしい?
「エルフにチョコレートを贈れば、国交が開けるんじゃないかしら?」
「そうですわねぇ。この美味しさはエルフをも虜にしそうですわ」
「あら、でしたら、どうしてもエルフとお近づきになりたいと思っている西のシリールがチョコレートを狙うようになるんじゃありませんこと?」
「ふふふ、西のシリールのような小国が、我が国を狙おうと、痛くもかゆくもありませんわよ?問題は東のガノではありませんこと?攻め込まれたら戦力拮抗……あ、いえ、もちろんわが国には優秀な将軍がいらっしゃいますから、その」
 口を開いたご婦人がシャルム様の顔を見て慌てる。
「いやいや、流石は魔導士長官の奥様です。よく勉強なさっている」
 シャルム様が笑った。
「東のガノと我が国が争えばどちらが上か……戦力が拮抗しているからこそ、争えばどちらの国の被害も甚大になる。そして、そのすきを狙えば、小国と言えども西のシリールや北のタジャジャが、領土を拡大することは容易となろう。それを分かっているからこそ、我が南のミランも東のガノもこの大陸で争いごとを起こそうとは思っておらぬのだ」
 う。
 いきなりたくさん国?国だよね?国の名前がたくさん出てきた。
 西のなんとか、東の……えっと、ミラン、我が南のミランだけは覚えた。今いる国はミランって言うのね。
 えーっと、青の大陸の南のほうにある国のミランってことよね?
 で、青の大陸では私のいるミランと、東のなんとかって国が大きくて同じくらいに強い。ほかに西と北に小さい国がある。
 うう。これも、また文字が読めるようになったら地理とか歴史とかの本を探して読んだほうがいいかな。それとも、私には必要のない知識?
 庶民はどこまで知っているんだろう?さすがに戦争とかがあればどこどこの国が攻めてくるかもとか噂は広まるだろうけれど……。
 あれ?でもそうなるとエルフの国ってどこ?隠里になってるとしても、場所は?国って呼ばれるくらいだからある程度の面積とかあるんじゃないの?
 大陸のどこ?え?
 国の名前は出て来たけれど、エルフの国以外は「獣人の国」とか「ドワーフの国」みたいな話は出てこなかったけど、ないのかな?
 それとも、すでに長い歴史の中で人々が交流し混ざり合って生活して、国としてはなくなってるのかな?でも、日本だと黒目黒髪黄色人種が圧倒的に多い。ドワーフが多い国とか、猫の獣人が多い国とかあるよね。
 難しい顔をしていたのかな?
「おや、失礼いたしました。ご婦人方には戦争など無粋な話題でしたな」
 はははとシャルム様が笑って話題を打ち切った。

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どもども。
私も全く覚えてない。国の名前。
後で確認しやすいように、タイトル国の話にしといた。ふおふおふお

(´・ω・`)これでいいのか?いいのだ。

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