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「ほ、ほら、私の養子にすれば、公爵家との釣り合いに問題ないでしょう?でしたら、こう、スムーズにローファスと結婚できるんじゃないかしら?」
 と、王妃様。
「あら?そうね?ローファスと結婚するにはさすがに庶民ではあれかしら?どこかの貴族の養女にしてから結婚のほうが……」
 リリアンヌ様!
「だ、だめですわよ!王妃様!さすがに王家からの降嫁となると、それに、ローファス様もその、後々……のことを考えると」
「そうです。伯爵家の養女くらいで公爵家に嫁ぐほうがふさわしいと思いますわ。私の領地でしたら、王都からも近いですし、いろいろと都合がよろしいかと」
 えー、ちょっと、何を言われているのか分かりません。
 一つだけ言わないといけないことが。
 ええ、言わないといけないことが……。
「わ、私、ローファスさんのお嫁さんにはなりませんっ」
 あ、つい、様じゃなくて、いつものようにさん付けになっちゃった。
「ははははっ。振られたな。振られたな」
 シャルム様が楽しそうにローファスさんの背中をバンバンと叩いた。
「これで、何度目だ。ローファス!」
 バンバンと背中を叩く
「あら?もしかして、冒険者に嫁ぐことが不安なのかしら?でも、S級冒険者は特別な存在ですわよ?騎士よりもよほど上の権力がありますわ。さすがに国の中の順位付けとしては将軍が上になりますが……」
 と、王妃様がほほ笑む。
 将軍が上ということばにシャルム様がどや顔している。
「ですが、将軍という地位はあくまでもこの国の中での話で、冒険者は国に属しません。どの国へ行っても、同じように扱われる特別な存在ですよ」
 という言葉に今度はローファスさんがどや顔を見せる。
 ごくんと唾を飲み込む。
 ちゃんと説明しないとだめだ。
「私、ローファスさんが見習い冒険者のために建てた小屋で見習い冒険者をしています。将来は冒険者になりたいと思っています。誰かに依存する生活はしたくないんです。私……突然、その……家族を……失って」
 母の顔が思い浮かぶ。
 そう。突然だった。
 それで、一人になってしまって……新しい家族が欲しくて。
 主人と早くに結婚した。
 そして、主人からは突然離婚を切り出され……。
 また、一人になる。家族がいなくなる……。そのことが不安で……。本当は、怖くて。
「まぁ……」
 誰かが息を飲む。誰なのか、顔を上げて確かめることができなかった。
「一人で生きていく自信が欲しいんです。他のことは、それからしか、考えられないというか……。だから、ローファスさ……様と結婚をしないのではなく、結婚は、誰とも考えていませんし、養子になることも考えていません」
 そこまで言いきったら初めて顔を上げる。
「そ、それから、ローファスさんはとてもやさしい人で、私だけではなく、その、冒険者見習いの小屋にいる他の子供たちもとても大切にしてくださっています」
 私だけが特別じゃないよというのも言っておかないと。
「そう……分かったわ。家族が……愛がほしいのね。それじゃぁ、誰かに勧められた結婚じゃなく、本当に愛し愛される人と結婚したほうがいいわ」
 リリアンヌ様の手が私の背中をなでる。
 あれ……。
 私……一人で生きていこうと思っているのは、家族が欲しいから?あれ?なんでそういう解釈になるんだろう?私、結婚しないって言ったつもりだけど……。
 でも、なぜか、否定する気持ちになれなくてうつむいてしまった。
「大丈夫よ。無理強いなんてさせませんわ。皆さま、ユーリちゃんはこの通り本当の家族を欲しています。損得勘定でユーリちゃんを養子にしたいという話であれば、私が許しません。もちろん、王妃様も、よろしいですわね?」
 リリアンヌ様が高らかに宣言して王妃様に微笑みかけた。
「ふふ。分かったわ。リリアンヌは本当にユーリちゃんのことが大切だってことが。皆さまもよろしくて?ユーリちゃんのことは皆で守って差し上げましょう。その代わり……リリアンヌ」
 あれ?
 なんだか結果として、養子だとか結婚だとかの話が収まった?
 その上、今後そういう話がないように……配慮してくれた?
 その代わり……でもリリアンヌ様は何か要求されるの?
「分かりましたわ。ユーリちゃんが料理人に教えたレシピは、お城の料理人にも伝えるようにお願いしてみましわ」
 ほっ。それくらいなら大丈夫。
「あの、私、チョコレート以外のお菓子のレシピも知っているものは教えます。えっと、ありがとうございます。それから……チョコレートの……カカオ豆の件ですが、よろしくお願いします。どうしても、あの……」
 立ち上がって頭を下げる。
 ミギルさん……赤の大陸の人たち。早くしなければ、冬がやってくる。
 冬が来る前に……。
 食料を届けないと……。


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どうもどうも、諸々の事情で、更新ストップしててごめんなさい。
創作上のことではなくて私生活上の色々です。
さて、ぼちぼちストック分の更新を再開します。……うん、だいぶストックしてある。
……そう、何気にどこまで更新したかなと、この前の話を見たら「もうすぐ合流」とかふざけたこと書いてあったんだけど
……えーっと、合流地点までぜぇーんぜんもうすぐじゃないです。

ありぇぇ?って感じです。
ま、そんなもんよねー。ふふふのふぅー

では。また、お付き合いいただけると嬉しいです。

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