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日を追うごとに理香の火傷の跡は、多くなった。
何もしてあげられなくてごめんね……
私は、またいつものように薬を打たれる。
そして従順な雌犬になってしまう。
薄れゆく意識の中、武くんが言った。
「なぁ、あのガキ邪魔なんだけど?」
「え?」
「理香だっけ?
俺の子じゃないし……
処分してくれないか?」
「処分って、ペットじゃないんだから……」
この男……
「子供なんて、いらないじゃないか……
俺を取るか、ガキを取るか選んでくれよ……」
「……」
「もちろん、俺を選んでくれるよな?」
「そうね……」
貴方を殺してやる。
私は、そう思うった。
だけど薬の力には抵抗できなかった。
「じゃ、殺してくれるな?」
「それは、出来ない……
由香は、貴方の子供なのよ?」
そう自分の子は、殺せないはず……
「でも理香は、俺の子供じゃない」
「……」
私は、理香の部屋を見る。
そして、理香と目が合った。