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「殺してくれるな?」

 武くんが、私の耳元で呟く。
 もうダメ。
 私の心は、限界まで来ていた。

「わかった……」

 嫌だ。
 殺したくない!

 どうせ殺すなら、コイツを殺す。

「その代わり、武くん。
 私と結婚してくれる?」

 お前を殺してやる!
 武くんは、そんな意図に気付いていないのかケラケラと笑う。

「2人が、死んだら考えてやるよ」

 私は、ニヤリと笑い武くんの体を抱きしめた。

「わかった。
 明日の朝、2人を殺すわ……」

 お前を殺して、私も死ぬ!
 私は、最後の夜だと思い武くんにその身をゆだねた。


 朝が来る。
 私は、包丁を持った。

「それで、あのガキ殺すのか?」

 武くんがケタケタと笑う。

「貴方を殺すのよ」

 私は、ニッコリと笑う。
 武君の表情が、笑顔から焦りに変わる。

「いいのか?
 俺を殺せば、あのガキども人殺しの子になるんだぜ?」

「いいわ……
 貴方を殺してふたりを殺して、私も死ぬ」

「おい!
 やめろ……」

 私は、包丁を持ったまま武君のお腹を刺した。

 不快な音が鳴る。
 気持ち悪い……

 武くんは、最後の抵抗なのか私に注射を刺した。
 私は、何度も何度も包丁で武くんを刺した。

 武君は、何も言わなくなった。
 息をしなくなった。
 あぁ……
 私は、人殺しになってしまった。
 そして、私はシャワーを浴びた。

 不快なアイツが私にベットリとくっついているなんて考えたくなかったから……

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