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第六話『灯台下暗し』2/2

プランB。
1.テキサス・ホールデムポーカーというゲームを覚える
2.六道組という社会の不必要悪のゴミ共を振り切りWENS CASINOへ入る
3.凄腕らしいラシェル・オンドリィとポーカー。凄腕なのでさすがに天才正明も敗北。
4.絞りまくっているラシェルの被害者を集め、その残りカス相手をさらに絞り億万長者。
5.男女のクソガキを顔の形が変わるまで殴って生まれてきた事を後悔させる。


恭介「どちらにせよ六道をどうにかするわけだな」
闇に包まれた少年は思考を巡らせる。

ま、考えたところでどうせ強行突破でしょうがね。

正明「ああ。ラシェルを相手にしたいならWENS以外の場所に呼ぶってのもあるがそうじゃない」
正明「重要なのは負けた時"オレもラシェルにやられました、悔しいです"って多くのヤツにアピールが必要なんだ」
恭介「店は常に客が入っている前提になるがリサーチは?」
正明「思ったよりはプレイヤーは居るゲームみたいだが、それでもニッチなのは変わんねーみてえ。だから噂が勝手に広まるだろうし、広がらない場合はスケスケにこれも頼むつもり」
恭介「……ふむ」

そこまで話が終わると恭介はもう一度思考する。

恭介「六道は何故貴様を遠ざける?」
正明「どうせ子供は早いとか言う善人アピールだろ。社会のゴミ共が笑かしてくれるよな」
恭介「まあその線だろうな。錬金術師程度で影響をもたらすやわな場所ではあるまい」
恭介「クク、浅知恵なら貴様の方が長けている――六道をどうにもできない以上、仮定の作戦を練るのは無駄だとは思わんか?」
正明「その六道のカス共をどうにかしろって頼んでんだよ!」
恭介「無茶を口走るな人間。組織相手に雑兵如き何ができる?」
本当に使えないクズだな。使えない中二病なんてただの歩く黒歴史じゃん。


正明「チッ……じゃあいい。とりあえず、今日の事はジャンに言うなよ」
恭介「守秘義務は守る、が……ククク、貴様も人間か。まさか心配をかけたくないと心変わりでもしたか?」
正明「んーん。お互い初心者装ってカモる」
恭介「流石だな。それを聞いて安心した」
うるせえチビ。

恭介「個々の話に深煎りするのは俺の趣味ではないが……錬金術師よ。貴様、今六道組の坂口という人物の庇護(ひご)にいるそうだな?」
正明「ああ。グッチー先輩が保護者ってことになっているらしいな。昔暴力団に入った出来損ないって言われていた。まー、親族だな」
恭介「なるほど。それは確かに。六道組が貴様を可愛がる理由として十分だな」
正明「なんだよ」
恭介「……」
スッ、と人差し指を突き出す渋沢を出せの合図。
正明「……」
ジャンみたいな護衛や道具の細工で金を何度かは支払ったが、情報で渋沢……舐めすぎじゃねえの?

恭介「クク、ならば今回はサービスだ。貴様が気にいったなら、次の仕事に乗せておく」
恭介「六道時雨。この名は知っているか?」
正明「六道って……しぐれ、ロクさんの嫁か娘とか?」
つってもあいつもうおじいちゃんだから、娘つってももう40前後か?

恭介「旧姓、六道時雨」
恭介「現姓――鏡時雨」
正明「……あ?」
かがみ……鏡……!
正明「まさか……」
恭介「ククク、灯台下暗しとはこの事か」

恭介「あとは貴様のテーブルだ。カードの切り方は俺よりも長けているだろう」

正明「……」
吸血鬼の夜は長い。

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