第六話『灯台下暗し』1/2
◆【トンネル】
正明「ラシェル・オンドリィっていう外人を潰す」
恭介「問おう――それが吾を起こした理由か?」
正明「そうです」
今日は一人称が吾(われ)の日らしい。
恭介「愉快な名だな。ラシェル……フランスか?」
正明「それを恭介君が調べるのです」
恭介「ふむ。知っている情報を吐き出してもらおうか」
一通りの説明を終えると、勿体ぶって首を横に振った。
恭介「愚者め。貴様、相手を選べと言われたことはないか?」
正明「選んだところで止まるわけねーだろが」
つーかまだ顔も見てねえし。
恭介「潰す、と言葉を用いたな。それは物理的にか?」
正明「いーや、ポーカーで。ま、こっちは素人だ。最悪負けてもいいけどな。一回目なら、まあ、うん。でも負ける気ねーし。あー、違う。やっぱこれ以上の出費は痛いな……」
恭介「欲望の権化め」
正明「男みてーな女みてーなクソガキ! そいつもポーカープレイヤーらしいから調べてくれ。WENSに居るらしい」
正明「あのガキは絶対殺す!!!」
恭介「昨今の貴様の動きは従来の世界線とは異なる。その起因がテキサス・ホールデム・ポーカーという
正明「如何にも――」
正明「あとね。パチンコと麻雀出禁されたんだよ」
恭介「ほう、遂に法律の支配を背いたか」
正明「何もしていないんだよ? それなのにいきなりBANですよ。ほら、駅前のあったじゃん。ハマルンだよハマルン」
恭介「ゴト行為、もしくはメダルの持ち込みと言った所か。よくぞ生還したな」
正明「やればよかった!!!」
パチンコ屋ってなんであるんだろうな。負けた客が全員オレなら半分ぐらいはガソリン撒いて車で突っ込むと思うんだ。
正明「つーかあいつらってバカ通り越してすげーよな。渋沢5体飲まれても負けてしまった~とか言って終わりだろ?」
恭介「貴様の世界線に興味はない」
恭介「それよりも今後の戦略を問おう」
正明「ッハ――いいだろう!」
正明「まずプランA。理想形だ」
人差し指と人差し指をくっつける。
正明「エーーーー!」
恭介「……」
だよな。冷たいヤツだよな。やってくれない。そう。そういうヤツだよな。
プランA。
1.テキサス・ホールデムポーカーというゲームを覚える
2.六道組という社会の不必要悪のゴミ共を振り切りWENS CASINOへ入る
3.凄腕らしいラシェル・オンドリィとポーカーし勝利。億万長者。
4.男女のクソガキを顔の形が変わるまで殴って生まれてきた事を後悔させる。
恭介「この場合、ラシェル・オンドリィが何者か知らない以上、2が鬼門になる」
正明「次。プランB」
人差し指と親指で丸を作り、それを上下にくっつける。
正明「ビーーーーーー!」
恭介「急げ」
正明「急ぐ理由もねーだろッ!」
ちょっとぐらいやらせろッ!