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第5話「世界の説明」

「着いたよ~」

タカシがシェリーに案内されて辿り着いた場所は中世ヨーロッパ風の街だった。そして驚くべき事に街中にはエルフやドワーフ、獣人やケモミミの人間が数多く歩いていた。

「すげぇ………まるでRPGの世界だぁ~……」

タカシがそう呟くと隣にいたシェリーがぽかんとした表情を浮かべた。

「あーるぴーじー?あーるぴーじーって何?」

「ん?ああ……RPGっていうのはロールプレイングゲームの略だよ」

「ろ、ろーる……?う~ん……ごめんよく分からないや、それよりタカシお腹空いてない?」

「お腹?う、うん……空いてるけど」

「ホント?じゃあこっちこっち」
 
「うおっと?」

タカシはシェリーに手を引っ張られてどこかへと連れていかれた。

「着いたよ~ん」

シェリーに引っ張られて連れてこられた場所はある屋台の目の前であった。屋台の中ではモヒカンにオーバーオール姿のおっさんが1人で作業していた。

「シェリー、ここは?」

「この街の名物のプリケツ焼き屋さんだよ」

「プリケツ焼き?」

「うん、すっごぉぉぉぉくおいしんだから、おじさ~ん、2つちょうだい」

そう言ってシェリーはおっさんに銀貨の様な物を3枚差し出した。するとおっさんは「チェケラ!」と言いながらそれを受け取り調理を始めた。

「ホォォォォォォ…………南無三!!ヨセミテ!!ミシシッピ!!ケンタッキー!!アリゾナ!!ハリーアップ!!ウィ~wwwwうぇwwwwうぇwwwwうぇwwww」

スパパパパンッ!!ペペンペペペンペッペペン!!ズガァァァン!!ドシャアァァァン!!ジュワァァァァ!!ポキン!!

おっさんは意味不明な言葉を発しながら常軌を逸した激しい動きで調理をしていたがタカシは特に気にしなかった。そして数十秒後遂にプリケツ焼きが完成。

「キャデラック!!」

おっさんは出来上がったプリケツ焼き2つをシェリーに差し出した。

「ありがと~、ほいタカシ」

シェリーは受け取り、1つをタカシに差し出した。

「あ、ありがとう……」

礼を言ってシェリーからプリケツ焼きを受け取ったタカシ。そしてそれを顔の近くまで寄せてジ~ッとまじまじと見つめる。

「これがプリケツ焼きか……」

プリケツ焼き……色付きや匂いは大判焼きの様な感じであった。ただ違うのは形が丸型ではなく尻型であったという事だ。さらに言えば尋常じゃなくデカかった。タカシの顔の7倍くらいはあった。

(う~ん……初めて見る食べ物だ……一体どんな味がするんだろう?全く想像がつかん……ええい!ウダウダ考えてたってしょうがない!せっかく彼女が買ってくれたんだ!ここは男らしくガーッと食すのが礼儀ってもんだろうが!!)

意を決したタカシは勢いよくプリケツ焼きをパクっと一口かじった。そしてその瞬間に彼の脳天に五寸釘をブチ込まれた様な衝撃が走った。

「う……う……うまいぃぃぃぃ!!何だこれは!?外はカリカリ!!中はふっくら!!おまけ無数のチョコチップとカスタードが入っている!!今までに味わった事のない上品な味わい!!素晴らしい!!まるで天に昇るかの様な気分だ!!」

タカシは飢えた肉食獣の如くプリケツ焼きにがっついた。

「良かった、気に入ってもらえて」

がっつくタカシを見てシェリーは微笑んでいた。



「───ごっつぁん!!」

タカシ、プリケツ焼き完食。かかったタイム5分54秒03。

「お腹満たされた?」

シェリーはタカシに尋ねた。

「ああ、もうパンパンでごわす」

「フフフ、なら良かった」

ここでタカシはシェリーにある相談をする。

「あのさシェリー……ちょっと相談したい事が……」

「ん?どうしたの?」

「あの~……この世界に俺が働けそうな場所ってないかな?ほら、俺今無一文だから……このままだと野垂れ死にしてしまうからさ……」

タカシの相談に彼女はしばらく考え込む。そしてそれから少し経った後に口を開いた。

「……ギルドに登録するのが良いと思う」

「……ギルド?」

「ええ、タカシってものすごいステータス持ちじゃない?、だから普通に店とかに就職するよりもギルドに登録してモンスター討伐の依頼とかを受けて生計を立てる方が向いてると思うの」

「ギルド……依頼……そういえばさっき森の中でもそれらのワード出してたよね……一体何なんだい?そのギルドってのは?」

タカシが聞くと彼女は彼の後ろに回り背中を押した。

「おっと?シェリー?」

「フフフ、とりあえず歩こ?詳しい事は歩きながら説明するから」

「押忍」

2人はとりあえずその場から足を進めた。そして少し歩いたところでシェリーがタカシに話しかける。

「タカシ、ギルドの事の前にこの世界の事ザックリと説明しておくね」

「この世界の事?」

「ええ、ほら?タカシって別の世界から来たんでしょ?だから今は右も左も分からないっていう不安な状況な訳でしょ?」

「ああ……確かにそうだね……」

「でしょ?じゃあ早速説明するね、まず始めに、この街に着いた時点で気づいていたと思うけど……周りを見てもらえれば分かる通りこの世界には人間以外にも色々な種族の方達がいるの、エルフ、ドワーフ、獣人、ケモミミ……etc」

「フムフム……あの~……ちょっと聞いてもいいかな?」

「ん?」

「その~……種族間で差別とかって……あったりするの?」

「そうだね……あるところにはあるね……人間がエルフを差別したり獣人が人間を差別したりエルフがドワーフを差別したり……でも私は差別なんて最低な行為絶対にしないわ、もちろんタカシもそんな事絶対しないよね?」

「…………ああ……絶対しないよ……差別なんて……」

タカシは神妙な顔つきで答えた。実はこの時彼は学生時代に自身が片親差別や容姿差別を受けていた事を思い出していた。

「どうしたの?そんな神妙な顔して……もしかして気分でも悪い?」

「え?あ、いや!何でもないよ!大丈夫大丈夫!」

「そ、そう?ならいいんだけど……じゃあ次の話ね、この世界には魔法っていうものがあるの」

「魔法……エクスペクトパトローナム?」

「う、う~ん……?よ、よく分からないけどまぁこんな感じ」

シェリーは右手からボウッと小さな炎を出して見せた。

「うぉ~!すげぇ!」

タカシは目をキラキラとさせて猛烈に興奮していた。

「魔法には大きく分けて3つ種類があるの、攻撃系、回復系、補助系、ちなみにこれは攻撃系魔法の"ファイア"よ」

「ほえ~……ちなみに魔法ってどうやって習得するの?」

「各街にある神殿に行って魔法が覚えられる職業を授かるの、それからモンスターとかを倒して経験値を取得してレベルが上がっていく内に自然とどんどん覚えていくのよ」

(なるほど……ド◯クエやF◯みたいな感じか……)

「ちなみに私の職業、ステータスはこんな感じ」

シェリーはステータスを開いた。

シェリー/Lv15

職業:魔法剣士

HP:250
MP:175
攻撃力:112
防御力:98
魔力:89
素早さ:75
知力:80
器用さ:65
運:53

習得魔法

・ファイア
・サンダー
・ブリザード


「職業魔法剣士……何かカッコいいな」

「えへへ、そう?」

シェリーは照れ臭そうに笑った。

「さて、タカシ、ここまでで何か質問とかある?」

「大丈夫!問題ないです!次いって平気です!」

「ウフフ、了解、じゃあ最後にギルドの説明するね」

「ほ~い」

「ギルドっていうのは各街にある依頼紹介所の事、そこで受けた依頼を達成すればお金を貰えるの」

「へ~……ちなみに依頼っていうのはどんなものがあるの?」

「色々あるよ、例えばさっきも話したモンスターの討伐だったり危険地帯にあるレア素材の回収だったり、あとは街で悪さしているチンピラの排除だったり……etc」

「ほえ~……」

「でね、それらの様な依頼を受けて生計を立ててる者の事をこの世界では傭兵って言うの」

「ふむふむ、てことはシェリーは傭兵?」

「うん、まだまだ駆け出しだけどね」

「ほえ~……そうなんだ~……あの~……つかぬこと聞くんだけどシェリーはどうして傭兵に?」

「う~ん……人生に刺激が欲しかったから……かな?」

「はえ~……なるほどね~……」

「さて……、とまあ、ざっくりこの世界の事説明させてもらったけど……他に何か聞きたい事とかある?」

「いや、とりあえずもう充分だよ、詳しい説明どうもありがとう」

「いえいえ」

それから2人は雑談しながらしばらく歩いた。

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