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第3話「異世界に来たった」

「ぎえええええええええ!!!!」

女神に蹴られ、次元ホールに落とされたタカシは現在異空間内をものすごいスピードで錐揉み回転しながら進んでいた。「アカン!このままじゃ死ぬ!」そう思った時に突如彼の目の前に光が差し込んだ。

ブオオオオオオンッ!!!

タカシはようやく異空間内から出る事ができた。しかし出た先は川の真上であった。

「ああああおう!!!」

ザッバーッンッッ!!!

タカシはそのまま川底に落下した。

「ブハアッ!!!ゴッホ!ゴッホ!ブハーッ!ブハーッ!ハァ……!ハァ……!」

タカシは水中から顔を出し必死に酸素を取り込んだ。そしてその後ゆっくりと泳いで岸へと上がった。

「ハァ……ハァ……ったく……まさか出た先が川の真上とはね……全くも~服がビショビショ……あれ?」

タカシはここでとんでもない事に気が付いた。なんと現在の自分は全裸であったのだ。

「う、うそだろ……!?」

タカシは焦った。このままでは誰かに会った時に変態扱いされてしまう。そんなのは絶対に嫌だ。ていうか女神様ひどすぎだろ。転生前にパンツの1枚くらいくれたっていいじゃないか。そう思った直後に彼の頭上にファサッ……と何かが落っこちてきた。

「な、なんだ?」

タカシは落ちてきた物を手に取って確認する。なんとそれは黒のトランクスだった。おまけに裏地には"女神からの贈り物"という文字が書かれていた。ここで彼は確信した。このトランクスは女神が冥界から送ってくれた物だと。

「女神様……ありがとうございます……」

タカシは心の底から女神に感謝をしながらトランクスを履いた。そしてその後その場に座り込んで現状を整理した。

今自分がいる世界は異世界(文明がどのくらい発達しているのかは分からない、どの様な種族が住んでいるのかも分からない)。今自分の周りにあるものは川と森。今自分に必要なものは食料と職業。そういう事なのでとりあえずタカシはここを離れて人のいる場所を目指すことに決めた。


「───腹減ったな~……」

現在タカシは空腹で顔を歪ませながら人里を目指し森の中を歩いていた。

「あっ!そうだ!」

タカシは歩いてる最中にある事を思い出した。

「異世界といったらこれだろう!ステータスオープン!」

ブオンッ

タカシの目の前にステータスが表示された。

タカシ/Lv1

職業:無職

HP:150
MP:30
攻撃力:3
防御力:4
魔力:6
素早さ:5
知力:30
器用さ:15
運:50

「ほ~……これが俺のステータスか~……」

ステータス画面をぼんやりと眺めていると近くにあった茂みからガサガサと音が聞こえた。

「ん?何だろう?」

タカシは音のした方向に視線を移動させた。

「ラッシャイ!!!」

「うわぁ!?何だコイツ!?」

突然茂みの中からイ◯ツブテの様なモンスターが姿を現した。そしてそれを見たタカシは驚いて腰を抜かしてしまった。するとモンスターはそんなタカシに勢いよく飛びかかり手刀で彼の首から上を切断した。それによりタカシは死亡した……かの様に思えたがここで女神から授かったスキル【自動回復】が発動した。すると首の切断面から新しい頭がニョキニョキと生えてきた。

「ラッシャイ!!??」

再生したタカシを見てモンスターは驚いた。そしてタカシは思った。このモンスターは躊躇なく自分を殺そうとしてきた。なのでとても危険だ。殺さねば。タカシは切断されて地面に転がっていた自身の頭部を手に取り、それでモンスターの頭を力一杯殴り付ける。

「逝ってよし!!!」

ゴシャッッ!!!

「あべし!!」

モンスター死亡。するとタカシの目の前に"経験値を40000獲得しました。"という文字が表示された。そしてその直後にタカシは体に異変を感じた。

「ぬおおおおお!!??何だこの感じは!!??
力が……!!!溢れる……!!!何か強くなった気がする……!!!」

タカシは再びステータスをオープンしてみた。


タカシ/Lv70

職業:無職

HP:6500
MP:4000
攻撃力:2500
防御力:3000
魔力:1500
素早さ:1000
知力:5000
器用さ:5000
運:3000

「んほ~、すっげぇ上がってる」

あんな弱そうなのを1匹倒しただけでここまでステータスが上がるとは……。恐らくこれは女神から授かったスキル【取得経験値400倍】のおかげだろうとタカシは思った。そしてここである事に疑問を抱いた。

「つーか……"魔力"って何だよ?」

ステータス画面に当たり前の様に表示されていたこの文字。一体何なのだろうか?魔力……文字から察するに魔法の攻撃力の事だろうか?けれどタカシは魔法なんて習得した覚えがなかった。

「…………まぁいっか、ここでウダウダ考えたってしょうがないよな、先へ進もう」

タカシはその場から足を進めることにした。

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