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第2話「イケメンになったった!そしてチートスキルも貰ったった!」

「タカシ……起きて……」

「………………」

「タカシ……起きなさいってば……」

「………………」

「タカシ……起きろ」

「………………」

「起きろっつてんだろぉぉぉ!!!!」

「ファ!?」

突如響いた謎の女性の怒鳴り声により、眠っていたタカシは目を覚ました。すると彼の目の前には見知らぬ女性が立っていた。彼女の外見は水色のセミロングヘアに透き通る様な金色の瞳、服装はギリシャ神話に出てくる女神が着てる様な格好。それに巨乳巨尻。控えめに言ってドスケベであった。さらによく見ると頭の上に天使の輪っか、背中には白い翼が生えていた。

「あ、あなたは……一体……!?」

タカシは恐る恐る彼女にそう尋ねた。

「女神よ」

「め、女神!?」

タカシは驚いた。そして何言ってだコイツと思った。

「女神……にわかには信じられない……というか……ここは一体……!?」

タカシはキョロキョロと辺りを見回した。なぜなら彼は現在見たこともない雲の上の様な場所にいたからだ。

「ここは冥界、あなたは死んだのよ、で、霊体となってこの場所へと来たのよ」

女神はタカシにそう答えた。

「え!?め、冥界!?死んだ!?それってどういう事ですか!?」

「どうもなにもそのまんまよ、ま、これを観れば思い出すでしょ」

女神は突然指パッチンをした。するとタカシの目の前に彼の死の間際の映像がブオンと映し出された。

「ソイヤッサ!!ソイヤッサ!!アブダビ!!ジャマイカ!!ソイヤッサ!!ひゃあ!!??ゴキブリィィィ!!??」

ゴシャッ

ドサッ

リビングで全裸でマジキチダンスをする中、突如出現したゴキブリにビビったタカシはバランスを崩し、近くに置いてあったテーブルの角に頭を強打し、床にうつ伏せに倒れた。映像はここで終了した。

「どう?思い出した?」

女神はタカシに問いかけた。

「……思い出しました……」

タカシはひきつった顔で答えた。そして女神に質問する。

「あの~……これから俺はどうなるんでしょうか?まさか……現世に虫とかになって転生するとか?」

「イケメンになって異世界転生」

「え!?イ、イケメン!?異世界転生!?何を言って!?」

女神はタカシの質問を無視し、彼に右人差し指を向けた。

「な、何を!?」

「メンメンイケメンイケメンメン」

彼女がそう唱えると指先から紫色のビームが発射され、タカシに向かって飛んでいった。

「ぎゃばばばばばばばば!!??」

ビームはタカシに直撃。すると彼は162cm、112kgの30代ブサイク豆タンクから182cm、77kgの20代長身イケメンに変わった。

「な、何だろうこの感じ……すごいイケメンになった気がする……」

タカシは直感的にそう感じた。

「フッフッフ……自分の目で確かめてみなサイヤ」

女神はタカシの目の前に姿見鏡を出した。そしてタカシは鏡に近づき、そこに映った自分の姿をまじまじと見つめた。

「こ、これが俺……!?」

タカシの現在の外見はまるで芸術品だった。清涼感溢れる黒髪ショートヘアにキリッとした眉毛、見るもの全てを幸せに包み込む様な甘くセクシーな目、それから筋の通った鼻にシュッと引き締まった口元、そして極め付けはパリコレに出れそうな程の細マッチョモデル体型ボディ。最早非の打ち所がなかった。並の女性であれば彼を見た瞬間にあまりのイケメンぶりに想像妊娠し、破水してしまうだろう。

「信じられない……これが俺だなんて……」

タカシは鏡を見ながらクラっときていた。

「フフフ……まだまた贈り物はあるわよ」

女神はクラクラしてるタカシに向かってある言葉を唱える。

「トントントントンチートントン」

ゴロゴロゴロゴロ……ズバァァァァンッッッ!!!

「ぎゃあああああああああ!!!!!」

女神が言葉を唱えた直後にタカシの頭上に落雷が落ちた。すると彼の頭上に、ある文字が表示された。

スキル【無限成長】を取得しました。
スキル【取得経験値400倍】を取得しました。
スキル【鑑定】を取得しました。
スキル【自動回復】を取得しました。
スキル【状態異常無効】を取得しました。

「な、何だこれ!?」

突然表示された文字に困惑するタカシ。すると女神が答える。

「スキル……異世界へ行った時に必ず役に立つ代物よ」

「スキル……?よ、よく分かんないけど……ありがとうございます」

頭をペコリと下げ、女神に礼を言ったタカシ。そしてその後彼女に尋ねる。

「あの……どうして俺にこんな施しをしてくれるのですか?」

「なんかかわいそうだったから」

「え?」

「長年チビ、デブ、中卒、無職、童貞、友達ゼロ、彼女ゼロで生きてきて最後はテーブルに頭ぶつけて死亡……かわいそうな事この上なし、だから高スペック人間に生まれ変わって楽しいチーレム生活を送ってもらって生きる事の喜びを感じてもらいたいな~なんて思って」

「なるほど……お優しい方だ……ありがとうございます!」

タカシは涙を流しながら女神に向かってもう1回頭を下げた。

「へへ、よせやい」

女神は照れ臭そうに笑った。するとタカシはここである事を彼女に訴えた。

「あの……心残りがあるんですが……」

「ん?何かしら?」

「ママ……じゃなくて母親の事です……俺、言い残した事があるんです」

「なるほど……分かったわ」

女神は指パッチンをして電話ボックスを出した。

「ほい、どうぞおかけになって」

「……何でもありですね」

「そりゃ私は神だからね」

タカシは電話ボックスに近づいて、母親の携帯に電話をかけた。

プルルルルルッ……プルルルルルッ……ピッ

「もしもし?」

「あ……もしもし……?ママ?」

「タカちゃん?どうしたの?」

「あの……その……信じられないかもしんないけどさ……俺……死んだんだ……それで今……冥界にいるんだ」

「え!?死んだ!?冥界!?何を言ってるの!?ゲームの話!?」

母親は息子の突然の発言に困惑した。そりゃそうだ。

「ママ……今まで本当にありがとう……こんなダメダメな中卒無職の息子を可愛がってくれて……俺……ママの子供で良かったよ……本当に幸せだったよ……」

「タ、タカちゃん……!?一体どうしたの!?何か嫌な事でもあったの!?」

「ママ……愛じでりゅ……!!!いつまでも健康に長生ぎじでね……!!!それじゃあ!!!」

「あっ!!ちょ!?タカちゃん!?」

ガチャッ

タカシは電話を切った。

「ぐひっ……!うぐっ……!ずびぃ!!」

涙と鼻水全開のタカシ。すると女神はそんなタカシにティッシュの箱を渡した。そしてタカシはそれを受け取り鼻をかんだ。するとなぜか鼻水ではなく血が吹き出た。しかしタカシは特別気にしなかった。

「ありがとうございました……」

ティッシュ箱を女神に返したタカシ。そしてその後彼女は指パッチンをした。すると近くに次元ホールが出現した。

「こちらが異世界への入り口となっております、さ、お入り~ん」

「うう~……何か怖いですね……」

若干腰が引けるタカシ。

「いいから四の五の言わずに行けよハゲ!!」

ドギャッ

「はうっ!!」 

女神はタカシを蹴っ飛ばした。そしてそのままタカシは次元ホールにホールイン。

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