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頼もう!

・・・はずが、なぜかその道中にあった森の中で、すやすやと眠っている赤子を拾った。

赤子が入っていた籠や布も見てみたが、身元が分かるものは何もない。

「ふあ・・・?」

抱き上げた衝撃で目を覚ましたが、まだ眠いらしく、こちらをぼんやりと見つめている。
黒い髪に、赤い瞳。ここらでは見かけない容姿だった。

「・・・お前も、一人なのか?」

生きるために赤ん坊を置いていったのか、それとも、もう両親は亡くなってしまったからここにいるのか、
・・・実は、この子はすでにマジックボックスを覚えている。

だが、この年で覚えられる魔法ではないため、カモフラージュとして、俺が常に大荷物を抱えているわけだ。

容姿端麗な容姿に、際立つ強さ。
これに加えて、マジックボックスを街中で見せれば、目立つこと間違いないだろう。


下手な面倒を避けるために、俺は苦労性の父を演じることにした。

とはいえ、マジックボックスのおかげで抱える荷物がこの程度になったことを思えば、必要のある犠牲だといえるだろう。

そう思わないと、この重さを抱えて町まで歩ける気がしない。



「やっっっと、着いた・・・」

ぜーぜーと荒い息をしながら、門の前に立った。


長かった・・・

この重さからやっと解放される・・・!


「ととさん、早くギルド行こ?」
「そうだな、早く行こう」

そして、早く自由になりたい


門をくぐり、足早にギルドに向かった俺たち。

この町のギルドはそれほど大きくはないようだが、それでもきれいな造りをしている。

中に入ると、そこそこに人がいた。
きちんと並んでいるところを見るに、この町はどうやら治安が良いようだ。

ほっとしながら列に並び、順番を待つことにした。

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