178章 遊園地到着
行きは渋滞にならず、3時間45分くらいで目的地についた。予定よりも早く着いたこともあって、体力の消耗は少なめだった。万全の状態で仕事に挑むことができそうだ。
ミサキは車の中で、おにぎり25個、パン20個を食べる。手を汚さず、カロリー摂取できるものを選択した。
シノブ、マイは遊園地の大きさに、瞳を輝かせていた。
「すごい~」
「うん。とっても広いし、設備もすごくきれい」
一般的な遊園地の、10~20倍の広さを持つ。園内を歩いているだけで、息切れを起こしてしまいそうだ。
遊園地内には、メリーゴーランド、コーヒーカップ、お化け屋敷などといった定番も用意されている。バンジージャンプ、ジェットコースターなどの恐怖系だけではないようだ。
アヤメ、シズカの姿を発見。ミサキは二人に対して、大きく手を振った。
「アヤメちゃん、シズカさん、お久しぶりです」
ミサキと顔を合わせると、シズカは深々と頭を下げる。
「ミサキさん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします」
アヤメも続いた。
「ミサキちゃん、今日はよろしく」
アヤメはいつにもなく、気合満々だった。
「15日間も休養を取ったことからか、体はムズムズしているの。すぐに仕事をスタートしたい気分だよ」
アヤメの体を気遣って、しっかりと休みを取らせていた。シズカは鞭だけでなく、飴もしっかりと与える人物のようだ。
アヤメは思ってもいないことを耳にする。
「アイドルは引退するけど、22歳くらいまでは仕事を続けるつもり。肌の露出はしないけど、他のことをやっていこうと思っている」
「アヤメちゃん・・・・・・」
「ミサキちゃんと仕事したことで、いろいろなことをやってみたくなった。目的を達成するまでは、会社でやっていくつもり」
プロの世界において、自分で自分の未来を決められる。一部の人間だけに許された、特権事項といえる。シノブ、マイ、ホノカ、ナナなどは売れていなかったため、選択権を与えられることはなかった。