167章 豪快に食べる
焦がし味噌ラーメン20人前、餃子15人前、麻婆豆腐10人前を完食。体は水、太陽を与えられた植物さながらに、元気を取り戻す。
「ミサキちゃん、すさまじい食欲だね」
「アイドル撮影の仕事で、2キロくらい減ってしまった。体重を戻すためには、これくらいは食べないといけない」
2キロの体重減で、30キロ台に突入。160センチで、30キロ台はさすがに危ない。
ミサキは1.5倍の食事を食べ進める。食べるのは苦しかったけど、太るためにはやむを得なかった。41~42キロの体重を維持しないと、生命の危機に関わる。
デザートとして、杏仁豆腐、プリン、ヨーグルト、マンゴー、メロン、イチゴ、梨をセッティング。水分ばかりということもあって、大量に食べることができそうだ。
「デザートもとんでもない量だね」
「腹ペコ少女は、たくさん食べないといけないから」
アイドル撮影でわかったことは、1日20000キロカロリーはベースであること。汗を流したときなどは、さらなるカロリーを必要とする。
「食費だけで、とんでもない金額になりそう」
「1カ月当たりの食費は、10万ペソくらいだよ」
1ペソ=100円くらいなので、日本円換算で1000万の食費がかかっている。通常の物だけを食べるものとして、常軌を逸脱している。
ホノカは苦笑いを浮かべる。
「私が同じ生活をすれば、食費で破産するね」
投資、課金、キャバクラなどの破産はありがちだけど、食費で破産するのは稀である。腹ペコ少女ならではといえる。
ミサキはデザートを食べ進めていく。汗をたくさん流したからか、いつもよりもおいしいと思えた。
10人分はあろうかというデザートを、15分ほどで食べ終える。
「これくらい食べておけば、なんとかなりそうだね」
「ミサキちゃん、おなかは問題ない?」
「ちょっと痛いけど、トイレに行くほどではないよ」
焼きそば店でトイレを利用して以降、一度たりともトイレに行っていない。消化スピードの早さによる影響か、用を足す機会はなかった。