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3‐5

一方トウヤは、カレン・アリスと共に、領域を少しでも長く維持できるように、領域展開を繰り返していた。

トウヤはグラップラーであり、基礎的な魔法・領域展開はできるものの、魔法はあまり得意としていない。

「きちぃ~」

領域展開の展開・維持は基本でありながら魔力の消費が大きい。

額から滴る汗を拭い、ふとユキハとゼロの方を見ると、2人は目を閉じ座り込んでいた。

「向こうはアレ大丈夫なのか?」

「ゼロ先輩は特異体質で触れた相手の魔力を操れるんです。あれは、ゼロ先輩ならではの教え方ではないでしょうか?」

トウヤはアリスからタオルを受け取ると、力尽きたようにその場に座り込んだ。

「へぇ…ユキハよかったな。アイツずっと悩んでいたからな…」
「といっても、本来は拷問用らしいんだけどね…悩んでいたって、魔法使えないこと?」
「拷問ってこわっ!

あぁ、俺たち小さい頃からずっと一緒だったからさ。

あいつ、努力家でずっと頑張ってたんだけど、から回ってて、うまく使えるようにならなくてさ。
だから、特待生っていう肩書きも、重荷になっててずっと1人で抱え込んでたんだよ」

少し休憩を取った後、トウヤも領域展開の練習を再開させる。

「いくら領域展開変動が出来るようになったとしても、維持できる時間が短いと意味がないからね。まずは10分、同じ大きさの領域を維持できるようになろう」
「よっしゃぁ!」

トウヤは再度領域展開に勤しむのであった。


「今度は自分だけでやってみろ。自分だけの世界をイメージする感覚だ」
「はい!領域展開:楓」

ユキハが魔力を開放すると半径1m程の碧色の領域が展開された。展開された領域は1分程保った後収束していった。

その様子を見たゼロは、ほう…と少し目を丸くした。

「半日で領域を展開できるとはな…正直驚いた。次は維持時間だ。まずは10分を目指せ」
「あの…ゼロ先輩。領域が碧色ということは、私は風属性だった…ということでしょうか」
「それはわからない。本来なら領域展開は自然にできるようになるものだからな。そこをオレが無理やり目覚めさせた。だから風属性として覚醒したのだろう。

ここから魔法が使えるようになるかどうかは、自分との戦いだ」

そう言いゼロは立ち上がり、街に向かって歩み始めた。

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