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 ネックレスはなんと翌日の夕方、すぐに返ってきた。「今日、休みだったから」と、ライラの学校が終わって帰ってくる時間を見計らったように、夕方の少し早い時間にリゲルが持ってきてくれたのだ。
「こんなに早く!? ありがとう!」
 目を丸くして言ったライラに、リゲルは誇らしげな顔をする。
「ちょちょっとできるって言っただろ」
 褒められれば当然のように嬉しいのだろう。それが『自分がお礼を言った』ことで嬉しいと感じてくれたのならもっといいな、なんて思う。
「でもまさか昨日の今日でとか……」
「俺の器用さをナメるなよ」
 リゲルはもうひとつ誇らしげに言うので、ライラはくすくす笑ってしまった。
 ちょうど庭に出ているときにリゲルがきてくれたのだが、立ち話というわけにも。お茶の時間には少し遅くて、でも夕ご飯にはまだ早い、夕暮れ前。
 ちょっと迷ったけれど、直してくれておまけに持ってきてくれたのだ。軽くお茶でも入れましょう、と思ってライラは「あがっていって」と招いた。
 今日は服も汚れていないし特に拒否する理由もない。リゲルは「じゃあお邪魔します」と言ってくれた。
 リビングに彼を通して、座ってもらって、ライラはキッチンへと行った。なにかお茶うけがあるかな、と思ったけれど、折よく週末に母とクッキーを焼いていたのだった。薔薇のジャムと一緒に食べるためにと。
 クッキーは多少日持ちがするし、数日したほうがバターが馴染んで美味しくなるくらい。今日など、ちょうど食べ頃だろう。
 良いタイミングだったと、ライラはお湯を沸かして紅茶を入れる支度をして、お湯が沸くまでにカップの用意と、そして缶からクッキーを出してお皿に乗せた。
 せっかく薔薇のジャムなのだからと、やわらかめの生地を袋に入れて、口金から絞って薔薇の形になるようにして焼いたクッキーだ。バニラの生地とチョコの生地でマーブルになっていることもあって、見た目も綺麗にできたもの。たまに母とこういう、クッキーやらケーキやらを焼くのである。
 お湯が沸いて、紅茶はすぐにできた。今日はプレーンなダージリン。砂糖もミルクも入れないストレートの紅茶が好きなリゲルは、これが好きだ。
 ついでに薔薇のジャムも添えた。気が向くなら入れてもらおうと思ったのだ。リゲルが薔薇のジャムを苦手でないことは知っているけれど、気分もあるだろうから。

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