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後書きにかえて感謝を…

まずは、読んで下さった皆様に、深くお礼を申し上げます。

私が、この「創世神話 (改)」を書こうと思ったのは、2006年に、300万円もの大金を払って共同出版した「創世神話」に深く後悔したからです。

出版社に元のオリジナル原稿の改訂版を郵送し、共同出版のお話を頂いた時には、天にも昇る気持ちでした。

私は元々色々な文芸コンテストに投稿しては一次予選すら通らず、ある日新聞で目にした「小説は1にも2にも才能で、努力なんて関係無い」という瀬戸内寂聴先生の言葉にショックを受け、才能がないなら努力しても無駄なのかと、何年も書けなくなった後、共同出版という形があることを知りました。

 ただ、それに費用が800部で300万円もかかることや、作品を1から書き直すことは良しとしても、校正段階でいくらでも修正できるからと急かされて不完全なままの原稿を提出しなければならなかったこと、契約や編集者との打ち合わせ等は本社でするという文書だったのに、私が地方に住んでいた為に、結局電話とメールのみで一度も顔を合わせることがなかったこと、郵送に数日かかるのに、十分な校正の時間を与えられず、プロである出版社の校正担当者も重大な4つの校正ミスをしていたこと……などがあり、出来上がって手元に届いた「創世神話」に目を通した時、正直に言うと、私には深い後悔しか無かったのです。

「いつか、納得できる形に書き改めたい。そうでなければ、書籍になってしまったこの『創世神話』を私が納得していることになる」

私は、文部科学省認定社会通信教育「公正実務講座」を申し込みました。
二度と屈辱的な扱いを受けることのないように。

けれど、書籍を出版したその年の、「公正実務講座」の教材が届いた数日後に父が急死。
母が一人になった為、私は、葬儀などの諸々の手続きをし、葬儀が終わってから、アパートを引き払って実家に帰り、次には49日の法要なども行いました。

そして、すぐに、母が軽度の認知症になっていることに気付きました。

母の認知症はまだ軽度だったので、私は依頼のあった通信制高校に勤めながら、認知症の進行を少しでも遅らせたいと、敢えて母に昼食弁当を作ってもらったけれど、母の認知症の進行は止まりませんでした。

私は、臨時講師の傍ら自身の鬱とも闘い、期限を3ヶ月延長してもらって「公正実務講座」を修了しました。

そして、中学時代の同窓会に出席したことがきっかけで、複数の元同級生から依頼を受け、その人のブログなどに小説を書いたりしながら、「創世神話」を書き直して発表できる場をネットで探しました。

もうすぐ3月11日。東日本大震災から10年目。

10年前のあの日、私は特別支援学校に勤めていて、卒業式の前日のリハールの最中でした。
ケータイのテレビ画面で見たニュース映像。
母から学校に電話があったと聞いて実家に電話をすると、母は怖がって泣いていました。
私は早退しました。

私は3月一杯で退職し、その頃は、まだ母の認知症も、少しの時間なら目が離せ、夜も一人で眠れるくらいだったから、執筆は続けようと思っていました。

けれど、東日本大震災のショックがあまりに大きくて、私は書けなくなりました。
友人のブログへの小説も、未完結だったものは中断。

私は被災者ではなく、テレビで映像を見ただけ。
それでも、焼き付いたあの映像はトラウマになり、今でも、テレビであの映像が流れると、私は苦しくなり、涙が流れるのです。目で見なくても、思い出しただけでも。

母の病状も悪化して介護にも追われるようになりました。
認知症の進行と体調悪化のスピードは速く、私は夜に眠る時間も無くなり、当然、小説の執筆どころか、パソコンを開くことすら出来ない毎日となりました。

母は病状悪化により入院しましたが、私も、次々に病に襲われていくつもの病院に通い、挙句には、処方された薬の副反応により救急搬送されて入院する羽目に。

一昨年11月に母はグループホームに入ることが出来ましたが、すぐ後には、コロナ禍が。

私は一人暮らしで、訪ねてくる人も無く、隣近所に親しい人も無く、一言の会話も無い日が続き、精神を病みました。

藁にもすがる思いでブログを始めてみたけれど、反応は、記事の更新をすればランキングが上がるだけ。

そんな中で、昔は諦めた無料小説投稿サイトへの投稿を決断しました。

昔、無料小説投稿サイトに登録しなかった理由は、小説の種類が異質過ぎて場違いだと思ったから。
けれど、長くネットの世界からも離れていた間に、小説投稿サイトも多様化していて、私の小説でも少しは読まれるかもしれないと思ったのです。

私の小説の読者は、他の執筆者の方々の作品に比べれば少数。
けれど、たとえ少数でも、そんな方々のお陰で、何とか完結させることができました。

昨年末からしばらくの間、私は完全にモチベーションを失って書けなくなったのですが、そこから助け上げてくれたのも、読者様の応援によるものでした。

もともと分かりにくい文体だとは思いますが、読者様のご指摘があれば、書き直すことも厭わないつもりです。
一度書籍化したものを大幅に書き直したのですから、今後、自分で納得できないと思うようになったら、(改2)を書き始めるかもしれませんし。
なので、ご意見ご感想は、いつでも受け付けています。

私は、書くことが死ぬほど好きです。
書くことは、食事よりも睡眠よりも入浴よりもTVよりも優先されてしまう。
浮かんだイメージは書かずにはいられない。
けれど、もし、世界中の人間が滅んで私一人になってしまったとしたら、私は書かない。読まれる見込みのない作品を書く力は沸かない。

だから、もう一度、感謝を。
最期まで読んで下さった方々へ。
本当にありがとうございました。

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