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第5話 真由美の代償

真由美はあの約束を思い返していた。
状況が状況とはいえ、とんでもない約束を取り付けた事には違いがない。
「でも、バックレるわけにはいかないか!」
そしてまたこの場所にやって来た。

「さよ様!」
「例の約束の件でお願いが!」
「寿命を迎えるまでとは言いません!」
「せめて卒業するまで待ってもらえませんか?」
真由美は命を投げ出す覚悟はしていた。
しかし、それを知れば二人は悲しむ。
せめて卒業後に音信不通になれば二人に知られずにすむかと考えた。
さよ様がこの世ならざるものなら。
生身の人間の私と違って少しの年月などたいしたことないかもしれない。
ひよっとしたら寿命を迎えるまで待ってもらえるかもしれない。

「それほどは待てぬ!」
「わらわの巫女になってもらおう」

「時に娘よ!」
「好いた男はおるのか?」

「いいえ!」

「では経験は無いのじゃな?」


ええと。
なんだろうこの質問は?
この流れからするとあの事を聞いてるよね?
巫女さんはあの経験がない人しかなれないとかいうやつ。

「ありません!」

「ならばお主はたった今からわらわの巫女じゃ!」
「お主にはわらわの社を立て直し!」
「巫女としてわらわに使えることを命ずる!」
「なに!」
「未来永劫というわけではない!」
「次の者をたてられるのならば退いてもよい!」
「もちろん!」
「断ることは認めぬぞ!」


「それで巫女さんに?」
真由美は二人に巫女装束を披露し。
見世物状態になっていた。

「似合わないのよショートカットだと!」
「二人は長いから似合いそう!」
美奈代は生まれてから一度も髪を切ってないのではと思えるほど長く。
よく歩く時に邪魔にならないのが不思議。
理由がまた悍ましい。
「これだけ長いと縄に頼らなくても!」
「こうすれば自分の髪だけで首を吊れるんですよ!」

晴華は腰にかかるくらいの長さで。
「長いほうがヘアスタイルを色々いじれるから!」

と意外と普通なのよね。

「なら伸ばせばいいのに!」

「格闘技とかやってると髪をつかまれるから!」
「長いのは駄目なのよ!」

「長すぎなければ編めばいいと思うけど?」

「めんどい!」
結局はそれなのよね。
長い髪を維持できる人は本当にすごいと思う。
洗うのもセットするのも凄く手間暇かかるだろうに。

「とにかくそういうわけだったのね!」
「じゃあ私達もやるわ!」
「巫女!」

「あっ、でも、条件があって!」

二人は顔を見合わせ同時に答えた。

「処女よ!」
「処女です!」

「そんなに堂々と口にしないで!」

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