30話 空を飛んでみよう
テレポートで休憩部屋に戻ってきた部屋を見渡すと美憂も瑠偉もまだいない。
ベットに座ろうと思い近づくと突然ベットが浮かび上がる。
「ふははははっはははぁ」
不思議な笑い声のする方を振り返る、麻衣が手を前方のベットの方に向けてベットを浮かせていた。はるか昔に俺が力を与えた奴より確実に操り方がうまいな、昔与えた奴は小石を浮かせるだけでも一カ月も練習させたんだがな
「よし、次は自分の体を浮かせてみろ、ベットを浮かせた要領で自分の体を浮かせるんだ」
ベットは床に落ち麻衣は目を閉じる、大きく息を吐く。
「はああああああああ」
「その声いらねーから」
掛け声と同時に麻衣の体は浮かび上がる、しかし止まることなくそのまま天井に頭をぶつけた、ゴンと言う鈍い音が部屋に響き渡と浮遊が解けそのまま床にお尻から落下した
「いたーい、いたいよー」
麻衣は頭を両手で頭を押さえてながら俺を見上げた。
「まぁ、何度も練習すればいいさ、時間はたっぷりある」
麻衣は立ち上がると俺の方を向いた、ふーっと聞こえるぐらいの息を吐き右足を少し前に出して右腕を俺の方に向ける、握られた拳から人差し指を出した
「ドド●波っー」
「ず、随分マニアックな選択だな、その前に俺を的にするな! そして出るわけないから」
まだ時間もあるし外で飛行訓練でもするかな、そのまま俺は麻衣に近づいた。
「えぇぇ、駄目だよ! さっきしたばかりでしょ?」
麻衣は両手を前に出してイヤイヤしている、が構わず俺は前に出て右手で上げアゴをつかむ。
「だからアゴは・・・」
「外で訓練だ! いくぞ」
この浮遊都市の上空にテレポートした、下を見ると都市全体が見渡せる場所だ、俺は顎から手を放し麻衣を浮かせて静止した。
「これから俺の力を解除するから自分で浮いてみろ、安心しろ浮けなくても助けてやるから」
「最初から高いから、高すぎるから、いきなりハードだから」
「人は極限の状態になると意外と何でもできるものだよ?」
俺は言い麻衣を浮かせている力を切ると麻衣は落下を始めた。
「わあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
麻衣は悲鳴を上げながら落下し俺もその後をついていく、足から落下しているせいでスカートがまくれ上がりパンツが丸見えである、両手は万歳ポーズをとって無理無理無理と連呼している。
半分位落ちた所で俺は麻衣を浮かせて止める、麻衣は息をハァハァさせている。
「集中できない無理だよ」
「恐怖心を無くす訓練だ、浮けると解っているなら落ちても平気でいられるからな?」
俺は麻衣と共に落ちた分だけ上昇し停止する。
「鬼教官だ、魔族だ、腹黒だ、エロだ」
「エロは関係ないぞ! 何回も落ちると慣れるよ、これホントだから」
再び麻衣が浮遊している力を解く。
「やっぱ腹黒なんだ・・・って、わあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
今度は目を閉じて落ちていくが浮く気配はなかった、停止させると麻衣は激しく深呼吸している。
「この訓練必要なの? おかしくない?」
昔に能力を与えた人物の話を麻衣にする、その時は浜辺で10メートルぐらい浮いて練習していた、高速飛行もでき俺は安心して目を離した時その者は高度を上げた。
その時事件は起きたその者は下を見た時恐怖で集中を乱し落下を始めた、落下が始まるとさらにパニック状態になり浮く事は出来ずそのまま海面に落ちた。
「で、その人は?」
「残念だが・・・つまりこの訓練は絶対必要だ」
と俺、麻衣は解ったよと言うがどこか不満があるようだ。
それから落下訓練を10回ほど繰り返すがまだ落下途中に浮く事は出来ない。
「うううう、漏れた、出ちゃった」
「女子が言うセリフじゃねーぞ、仕方ない今日はここまでだ」
そのまま麻衣のアゴをつかみ休憩部屋にテレポートした。
「まだ瑠偉たちは来てないな。麻衣はエアーシャワーを浴びて綺麗にしておけよ? 服もきれいになるからな」
麻衣は力なくうんと言うとシャワー室に入っていった、出てくると「人生で一番疲れた」と言いベットにうつ伏せ倒れこむ。
「明日も特訓だ、せっかく超能力を与えたんだから有意義に使ってもらわなくてはな?」
と言いながら麻衣を見たがまったく反応がない、俺は麻衣の近くまで行き人差し指で麻衣の頬を突くがこれも反応がない。
寝るの早すぎだろ・・・
しばらくすると出入り口の扉が開き、青髪の少年ロボットと共に瑠偉と美憂が入ってきた。
青髪の少年ロボットは食事を載せたワゴンを引いている、前回と全く同じ動作だ。
「麻衣、食事が来たぞ」
美優は麻衣の体を触り起こす、麻衣は両手を上げうーんと言いながら背伸びをする。
席について出された食事をとる4人
「お疲れ瑠偉、成果はあった?」
「・・・ない」
力のない返事が返ってきた、表情からかなりお疲れのようである。
「瑠偉、後でマッサージをしてあげる。で、なんで麻衣も疲れてるの?」
「結構連れまわしたからな」
3回も行為をしたことと十数回の落下訓練をしてたことは当然伏せなければな。
それ以降無言で4人は食事を終えた。
「うーん、ありがとう美憂」
うつ伏せで美憂のマッサージを受ける瑠偉、その横で麻衣はすでに寝ている。
今日は早く寝るかと俺は言い俺も就寝する事にした。