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25話 食事


「ねえ、ねえ、お名前なんて言うの?」

 麻衣が青髪の少年に近寄って膝を曲げる、顔を少年と同じ位置に持っていくが少年と距離が近すぎる、しかし少年は目の前にいる麻衣を無視して無言で目線を上げる。

 俺達はそんな少年の目線につられて同じように上を見る、すると天井の一部が分解され机と椅子が組み立てられながら下にゆっくり降りてきた。
 俺達は上を見上げながらそれぞれ「おおお~」と声が出る。

 それと同時に同じ姿をした少年が食事の乗ったワゴンを押して入ってきた、なるほど同じのが沢山いるのか、本当にロボットなんだな。
 少年達は無言で料理を並べ始める、といってもスープ皿一つとスプーンが一つだが。

「野菜スープ? 前菜? コースなの?」

 麻衣は首を傾げている、まさかこれで終わりなのか?
 少年はそのまま何も言わずに部屋から出ていった。

 座ろうと椅子に触ると冷たい感触がある、おそらく金属製だろう。
 片手で椅子を持ち上げると金属製のわりにとても軽い、まるで樹脂製のような軽さだ、腰掛けると金属特有の冷たい感触がする、しかし一瞬でその冷たさは無くなった。

 彼女達も椅子に腰かけようと椅子を引く、しかし俺の両脇に座ろうとした麻衣と瑠偉は食器と一緒に俺から離れるように中央に座った美憂に椅子と一緒に移動して座る。

 口に出しては言わないがその何気ない行動が人の心を気づ付けるんだぞ?
 正面を見ると美憂が下を向き丹念に料理を観察している。

「これだけか・・・」
「何も出ないよりいいだろ? 美憂、毒味を頼む」

 と思わず言ってしまったが、美憂は「えー」と言いながら自分でやれよ的な顔を俺に向けている。

 っち、また俺かよ、いいだろう瑠偉の皿に下剤成分を作ってやるぜ、そして吸引式のトイレを試すがいい、すると瑠偉は自分の皿と俺の皿を取り替えて「全員同時に食べれば解決です」と俺を睨みながら言った。

「何故解る? 何故だ?」
「目線が私の皿をじっと見てました」

 瑠偉は俺をまだ睨んでいる、下剤作戦は断念か・・・成分無効にして食うか。
 料理を見ると緑色のジャガイモらしき物体が入っている、肉らしき物は見当たらない後は青い色の玉ねぎに似た食材が入っている紫色の野菜スープだ、スプーンを取り具材を避けて汁のみ一口含む味わう、野菜のみにしては複雑な旨味で美味かった。

「初めての味だけど、なんか美味しいね」

 麻衣は音を立てて下品にスープを食べている。

「おしることミカンしか食べてなかったから、美味しく感じますね」

 瑠偉は皮肉交じりに、美憂は「うまいうまい」と言いながら食べている。
 食べ終えると胃が膨張する感覚がする、何故かお腹がいっぱいになった、特に緑色のジャガイモ風なものは食べると触感が餅のようでネットリとして、噛んでいると膨らむでいく感覚があった、おそらくこれが居の中で膨らんでいるのだろう。

「これだけの量で満腹感がすごいな、これ食べ続ければスマートになるんじゃないか麻衣?」
「標準体型ですから! 大きいのは胸だけですよ、もう」

 そうだな、大きい胸が服のウエスト部分を膨張させてウエストが太く見えるな真面目に脱がせてみたいぞ、と麻衣の胸を見ながら思っていると全員が俺を見ている。

 視線が痛いな、話題をそらすか・・・

「で、食べ終わった食器はどうするんだ?」
「さあ?」と瑠偉は両手を広げて言った
「まぁ、このままでいいか・・・」

 満腹になったら眠くなってきた、少し横になるか。
 テーブルから離れそのままベットに座って彼女達を見る。

「ほんと、暇だな・・・よし、君たち裸になって親睦を深めようじゃないか?」

 テーブルに座ったままの三人は一斉にこちらを向く、遂に本性を表したな的な表情で俺を見ていた。

「や、やめてそんな目で見ないで、冗談だから・・・少し寝るわ」
「ええ、おやすみなさい。用があるときは股間を踏みつけて起こしてあげますから」

 瑠偉がうっすらと笑っている・・・よし、うつ伏せで寝よう。

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