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26話 吸引式

 ん・・・ふう、よく寝た

 俺はうつ伏せ寝のまま目を開ける、頭を横に向け隣を見ると彼女達も寝てるようである。俺側から美憂、麻衣、瑠偉の順で仰向けで寝ている、では恒例の寝顔チェックをしますか、そして体を動かそうとした時手足が動かせないことに気づいた。

 縛られている・・だ・・とぉ!

 よく見みとタオルのようなもので左右の足が足首の所で、手は背中に回され手首の部分で縛ってある。どうせ瑠偉だろうな? しかし俺を甘く見過ぎだ、もしくは空を飛べることを忘れているのか?

 俺は体を宙に浮かせる、しかし腰のあたりに何かを引いた感触がした、その個所を見るとロープが俺のベルトに結ばれていた。

 結ばれたロープの先はベットの下を通って瑠偉の体に縛られている。
 俺が動く事によって瑠偉の体がロープで引っ張られるわけだ・・・つまり

「お目覚めのようですね」

 瑠偉はロープの引っ張りを感じて起きたようだ。

「策士だな瑠偉、もはや尊敬に値するぞ」

 俺の発言に<どういたしまして>と聞こえてきそうな笑顔を瑠偉は見せた。
 しかたなく俺は浮いたまま手足を縛られている物を外し床に降り立つ。
 では寝起きのシャワーを浴びるかな、お湯の出ないシャワーを体験してみよう。

 シャワー室の中に入ると自動で扉が閉まった、目の前には約10cm四方の緑色のボタンが見える、これを押すと開始だったな。
 ボタンを押すと同時に部屋全体から風が出てきた、その風は旋回し竜巻状になり体を覆った、通常竜巻は上に向かって巻き上げられるがこれは下に向かっているので服が体に張り付いている。
 なるほど、これはスカートでも安全と言うわけか。

 風が終わり体を確認する、まず髪は脂っぽいのと埃っぽいのが取れてサラサラ髪になっている、脂ぽい顔もスッキリだ体も水であたっら後のような感覚である。
 次に服の確認だ、脇や胸部分を嗅いでみたると天日干しの臭いがした、汗で若干湿っていた下着も乾燥している。

 しかし物足りないな、やっぱりお湯で洗いたい。

 部屋から出て行くと、臭いが取れてますねと瑠偉が髪を櫛で梳きながら言ってきた、なるほど自分では分からない加齢臭も取れているのか・・・
 そうか、やっぱり加齢臭を漂わせていたのか・・・

「やっぱ、お風呂に入りたいな」と俺はつぶやいた
「やっぱり、覗きたくて仕方なんですね」

 何故そうなる? 男は全部覗きをする者だと思ってるのか?
 事実だが不愉快だぞ、でも口に出して言わないけどな。

 あとは誰かが吸引式のトイレを試してもらわないとな、俺は先にする事はしない、何かに目覚めたら大変だからな。

「瑠偉、誰か吸引式トイレ試したか?」

 瑠偉に話しかけるが返答がなく、ルンルン気分で髪を梳いている。
 
 ふふふ、ついに便意を起こさせる力を使う時が来たな! 
 ベットに横になりながら、ごくごく自然な体勢で便意を瑠偉に力を流そう。

 くっくく、今に見てろよ瑠偉「ふ~、テナはまだかな~」と言いながら自然にベットに仰向けになる、そして瑠偉に力を送ろうとしたその時、瑠偉は俺のそばにやって来た。
 瑠偉はすかさず胸ポケットのペンを抜き俺の太ももめがけて振りかざす。

「ふぁあああああ」

 俺は叫びながら股を開いて回避する。

「だから、やめてって言ってるでしょ? まず、自分で試してください」

 瑠偉はかなりイラついているようである。
 仕方ない、ここは寝ている美憂に頑張ってもらおう。

「なんでも美憂に頼らず、まず自分で試すべきでは?」

 では、最後の砦の麻衣に任せよう

「だから、自分で試せと・・・」

 瑠偉はしつこく言ってきた。
 俺と瑠偉は無言で見つめあっている。

「わかったよ、行けばいいんだろ、行けば」

 俺はトイレに入る、まずは小をしておこう、一緒に出るとまずいしな。
 出し終えると水は流れずシューと言う空気が流れる音がした、これもエアー処理のようだな。

 さて問題の大である。
 右を見ると直径1cm長さ1mほどの金属製の筒が床から突き出ている、手でつまんで触ってみると見た目が金属のくせにとても柔らかくて伸び縮みもする、これを入れるのか?

 ズボンとパンツを下し先端を当てる、と同時にそれは生き物のように中に侵入してきた「うぉぉおぉん」と思わず声が漏れた、と同時に吸われる感触がした。
 ついでに何かが失った気がする、でも下腹部はとてもスッキリした。

 トイレから出て行くと、瑠偉が「どうでした? 感想を聞いてあげましょう」と言ってきた。

「まぁ、痛くもないし一瞬で終わるからな、どうってことないぞ。
 瑠偉、間違っても前のあ……「入れません!」」

 瑠偉は俺の言葉を最後まで聞くことはなく途中で強く否定した、両手を腰辺りでこぶしを握り締めプルプル震えている。

 その時、部屋全体にビーと言うブザー音が鳴り響き、出入り口の扉からテナ=シエルが入ってきた。

「準備が整いました、同行をお願いします」

 美憂と麻衣を見るとまだ寝てるな、よしベットを揺らして起こしてやろう。

「待って、私が起こします」

 瑠偉は美憂と麻衣の体を揺すって起こしていく。
 だから、なぜ分かる? 先回り先回りでの行動、いつか痛い目を見せてやるぞ瑠偉。

「顔に出し過ぎです、特に口元がニヤついています」
「そ、そんなに出てるのか・・・」

 この茶番を見ていたテナ=シエルは笑顔一つ見せず、無表情で「では行きましょう」と言い部屋の外に向かって歩き出した。

 俺達も彼女の後について部屋を出て行く。

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