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24話 日本人の伝統です?


 吸引式と言うことはしている時の嫌な臭いは無いという事か、便秘の人にはよさそうだな、しかし最初に自分で試すのは少し勇気がいる。
 そうだ、最初に誰かにやってもらおう、俺は麻衣を指さした。

「よし吸引式のお試しを頼む、行けGOだ!」
「いやぁー、絶対やだからぁ」

 麻衣は逃げるようにベットに潜り込む、まぁいいか俺の力で誰かに便意をと考えると同時に瑠偉と目が合った。

「卑怯な手は使わないでくださいね」

 と瑠偉は俺睨んでいる、俺の心を読むなと言いたい。

 扉の開く音がすると美憂がトイレから出てきてベットにうつぶせで倒れこむ、なにか嫌とか何かを無くしたとか言ってるが、いいだろうに誰も見てないわけだし。
 さて問題は、あと10時間もなにをするかだ。

「寝るかな、何もやることないし」

 俺はベットを見ると両端と中央で3人に占領されている、どっちかに寄れよ。
 まさか添い寝をしてほしいのか?

「床で寝てもらえますか?」

 瑠偉から冷酷な発言、確かにベットが一つだし女子に譲るのはマナーだろう、しかしそれは1人用のベットの話だ、このベットは4人はおろか5人でも余裕に寝れる、さらに床は金属製で固いし冷たいうえ絨毯もないしソファーも置いてない。

「アフォか、最大の功労者をベットで寝かせないとか、どんなイジメだよ。
 お前らこそ仲良しなんだからもっと近くに寄れよ、そしてスペースを開けろ!」

 俺は力で強引に二人を移動させ寄せる<きゃぁ>とかわいい声が聞こえると同時に一斉に俺を見る。

「襲わないから、そんな警戒するなよ」

 と言ったが、なんか信用できなんだけどと言う小声が聞こえた。

「パンツは拝見したが、今まで襲ってないだろ? そういうのは攻略する過程が楽しいんだよ、無理やりは俺の流儀じゃない」
「まぁ、いいでしょう・・・絶対に近寄らないでくださいね!」

 瑠偉はそう言うと美憂と麻衣を引き寄せ3人は密着して仰向けになる、しばらくそんな状態が続いた、横を向き彼女達を見るとまだ起きているようだ、無言の時間が長く気まずいので俺から話を振ることにした。

「なあ、お前ら彼氏とかいるの?」と聞いてみた、結果はいないらしい麻衣の話では瑠偉は2年生になってから3人から告白を受け、美憂は後輩の女子から告白を受けたそうだ、なるほど色んな意味でモテモテだな。

「で、麻衣は?」
「私はロメオちゃん一筋だから!」

 そういえば飛行機でロメオの限定フィギアが欲しいとか言っていたな、と言うことは2次元彼氏か、これは触れないでおこう。

「オッサンと恋バナとか拷問です」

 と瑠偉は小声でつぶやく。

「何言ってるんだ、君達は地球ではもう63歳だよ?
 ちなみに俺は100歳越え」
「そうだ織田さん、地球に戻ったらどうなるの?」

 トイレ事件から復活した美憂が会話に参加し始めた。

「真面目にどうしよう?」

 今現在ノープランだな、その前に地球に戻れるかが心配なのだが。

「失踪宣告をされている確率が高いでしょうね」

 17歳にして失踪宣告を知ってるとか、どんな修羅場を体験したんだろう?
 弁護士や裁判官でも目指しているのか、いや心理カウンセラーだったな。
 法律抵触のスレスレで悪事を・・・似合い過ぎだな瑠偉さん。

「確かに46年も行方不明だと死んでると思っても不思議ではないな。
 現に飛行機はここにあるから地球で探しても見つから無いわけだし」
「元の生活には戻れないわけか?」

 美憂はうつぶせ状態のままで言った、泣いてるのか?
 美憂の言葉から彼女達の話は途切れ一斉に黙り込んでいる。

「なんだよ一斉に黙り込んで、葬式かよ」
「だれの責任でこうなったと思ってるんですか?」と瑠偉は若干怒ってる。

「俺も被害者だよ? 若干は関わってるけど・・・
 まぁ、運が悪かったと諦めてくれ」

 可愛そうだが仕方ないな、今のところプランは無いが地球に戻れたら何とかしてやるか、と言いたいが戸籍はコンピュータ管理だしな・・・ハッカーでも雇うしか?
 いや、この惑星の科学力ならもしかして?

「そうだ、テナに何とかなるか聞いてみよう。
 最先端のハッキング技術で戸籍データを改変できるかもしれない」
「ハッキングって犯罪でしょ、駄目じゃないか」

 美憂は無駄に正義感が強いな、バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ合法だ。

「バレなきゃいいとか、頭腐ってますね」
「だから瑠偉は俺の心読むなよ・・・まぁダメなら戸籍を買えばいいさ」
「それも犯罪臭がしますが?」

 と瑠偉は憐れみの目で俺を見ている、じゃぁどうしろと言うんだよ?

「地球に着いてから考えようか、中条が世界を支配してるかもしれないしな?」

 そうだなそれがいい、中条なら俺がちょっと脅せば何とかしてくれるだろう。

「難しい問題は先送りってやつね」

 と麻衣が言った、そう問題は先送りし問題が起きてから対応する。
 まさしく日本人の伝統だな・・・・

 その時、ビーーと言う音が部屋全体に響き渡る、と同時に部屋の出入り口が開く。
 飛行機で見た青髪の少年が立っていた。
 俺達が一斉に青髪の少年を見ると何処から発声しているか解らない声がした。

「お食事をお持ちいたしました」

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