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勉強会

話すきっかけがなく、ただ見ているだけだった。

でも、きっかけはすぐに訪れた。

「どんちゃん、今週の土曜日空いてる?」

この一言がきっかけとなった。
そう言ってきたのは、あみと仲がいい由真。
由真とは二年生の時に同じクラスで、趣味や好みが似てて、話をしたことはあった。

「空いてるけど・・・なんで?」

「あのね、今度みんなで勉強会をするの。それでどんちゃんも誘おうってなってさ」

詳しく話を聞くと、もうすぐ中間テスト。その勉強会をみんなでしたいってなってたらしい。
ちなみにみんなというのは、由真とクラスメイトの由香、優樹菜、理恵、そしてあみ。
そこで話でもう一人誘おうとなった時に由真が俺の名前を出した。
そして、俺を誘ってきたという。

「わかった。行くよ」

そう言って、土曜日になった。
場所は由香の家でやる。俺は家がわからなかったため、由真の電話番号だけ知っていたから、前日に電話をして集合していくことになったのだ。

由真がきて、由香の家に向かったら

「あみ―」

由真がそう話しかけた。あみがインターホンを鳴らすところだった。

「おはよう、由真」

あみがニコリと笑って言う。初めてちゃんと声を聞いた。
でも、俺もいるのにってちょっとしょんぼりとしていたら、あみが覗き込んできた。
顔がすぐ目の前にあって

「うわっ!」

と、声を出してしまった。恥ずかしかった。
すると、あみがフフフっと笑い、アハハハと大きな口で笑った。

「何よ。私が妖怪みたいじゃない」

ほっぺがふっくらしておまんじゅうみたいになった。

「おはよう、どんちゃん」

そう笑顔であいさつをしてきた。
それから勉強会が始まる。

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