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「妹か弟が出来るんだぞ?
 理香、もっと喜べ!
 家族が増えるんだぞ?」

 パパは、私の体を抱きしめ、物凄く嬉しそう。

 パパのしあわせは、私のしあわせ。
 ママのしあわせは、私のしあわせ。

 だから、今の私もしあわせいっぱい……

 だけどなんだろう?
 私は、素直に喜ぶ事は出来なかった。
 何故だかは、わからない。
 私の中で何かが音を立てずに壊れた。

 パパとママが、抱き合う。

 それは……それは……とてもしあわせそうな顔。
 だから、私もしあわせになりたい。
 だけど、私はしあわせにはなっていない。

 どうしてだろう?
 なぜか涙が零れた。

 しあわせのベルが、音を立てて崩れていく。
 そんな気がした。

「理香……?」

 ママが、私を抱きしめる。

「なんにも不安な事なんてないから……」

「そうだぞ……
 パパは、ママと理香を一生守って見せるからな?」

 パパが、私の涙をティッシュで拭いてくれる。
 それでも、消えない。
 この不安はなんだろう?
 私は、泣いた。
 いっぱい泣いた。
 涙が枯れて疲れ果てるまで泣いた。

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