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第八話

馬女子生徒たちは腕、足がない。ひどい者は頭がなかった。

「これでも生きている。それが真のカオスじゃ。終末が訪れた世界なんじゃ。滅びの道は閉ざされたわけではなかった。むしろよりはっきりしてきたぞ。傷がついたのは未来への空間じゃ。」

「コトブキちゃん。急に難しい言葉を連ねているけどぉ。もっとわかりやすく説明してよぉ。」

「この世界、つまり空間は生き物なんじゃ。生きているからこそ、膨張という成長をする。成長したいという意思。それがあることは紛れもなく、生物であることの証明なのじゃ。そして、時間と空間は同じもの。だから時空と呼ばれる。空間が痛めば時間も傷つく。時空にはそこに生きている者にも影響を与える。ゆえに、ここにいる皆が傷を受け、血を流し、ひどくなれば、何かを失う。」

「それが進行、いや悪化するとどうなるんどす?」

「まずは自分の特徴がなくなるのじゃ。ほれ、そこにいる宇佐鬼大悟が典型的じゃ。」
 大悟は胸にやっていた手を下腹部に降ろして動かしていたが、やがて顔から血の気が引いていった。

「・・・ない。絶対的存在の帝王がいない、いやいません。いやいやいらっしゃいませんことよ。がくん。」
 お嬢様言葉に逆戻りし、膝から崩れ落ちる大悟を無機質に見つめる寿老人は言葉を続けた。

「宇佐鬼大悟の胸は元に戻ったわけではないんじゃ。女子のままで胸を失ったのだ。だから下がないままなのは当然じゃ。」

「この胸は前とはサイズが違うわ。アタシの魔法ならもっと大きいはずなのに、これじゃ、Bクラスじゃないの。」

「神見習いは胸が復活したのではなく、貧乳属性を失ったんじゃ。このババのパンツがヒモパンになったのは、木綿という素材を失ったんじゃ。神痛力『情報喪失』の始まりじゃ。大黒天には強力なパワーがなくなっておるじゃろう。それは神痛力『体力喪失』。福禄寿は大黒天のパンツを見る気力がなくなったが、これは神痛力『意欲喪失』じゃ。やがて世界は滅びて、何もなくなってしまうじゃろ。」

「すべての原因が空間の傷ということですの?何か解決策は何かありませんの。」

「効果があるかどうかわからないが、空間を癒すことじゃな。」

「それは具体的にはどうすればいいんですの?」

「心の癒し。それが愛情であるとするならが、できることはひとつだけじゃ。」

「愛情の提供ですの?」

「そうじゃな。愛情と言っても生半可な愛では到底通用するとは思われないな。極めてイレギュラーな深さが計測不能なレベル。存在自体が世の理に大ゲンカを売っている人間がいたらのう。」

「それってまさか・・・。」

「おぬし、大悟が嫁になることだ。」

「空間の嫁になる?全然意味がわかりませんわ。」

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