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第2章50話:魔力自動回復


エドゥアルトだけでなく、フランカも驚いていた。

「魔力自動回復って、聖剣などについているスキルですよね。相当貴重なんじゃ……」

「そうなんですの?」

私が首をかしげると、エドゥアルトが解説してくれる。

「ええ……貴重というレベルではないです。売れば居館を一つ買えるほどの価値がありますよ」

「へー、そうなんですのね」

つまり売却価格でいうと数億はするということか。

そう考えるととんでもない代物だね。

「まあ、売るつもりはないですわ。ここで使います」

そう述べたのち、私はスキル石を使用した。

光が身体に溢れ、スキル石が輝きを失って砕ける。

エドゥアルトが驚愕した。

「あああーーーー!! 本当に使った!?」

フランカも恐れおののいている。

「ご、豪邸一つ買えるアイテムを、こんなにあっさり……さすが公爵令嬢」

まあ、そりゃ使うよね。

そのためにここまで来たんだもの。

と、そのときゼラさんが言った。

「ルチルよ。我はおぬしに多大なる感謝をしておる」

「あ、はい」

「困ったときは、またここに来るといい。力になってやろう」

「ありがとうございます。しかしスキル石をいただけただけで、過分な礼だとは存じますが……」

「なら、我を頼りたいときは土産物を持ってくるといい。それと引き換えに力になってやる」

「そうですね。そのときは、そうさせていただきますわ」

「うむ。ではな」

ゼラさんが湖の中へ消えていく。

あとには静けさが残った。

私たちも湖をあとにし、歩き出した。


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