担任を呼べ
「担任だ、担任を呼べ。うちの子は担任に相談していたはずだ、担任に話を聞かせろ」
「大変申し訳ありません、お父さん。彼女は先週、依願退職しました。もう、この学校にはいません」
「何だと、そんなの無責任だろ」
「しかし、彼女は生徒たちに適切な指導をしていたと・・・」
「なら、なんで、うちの子は自殺したんだ。適切な指導ができていなかったから、あの子は苦しんで悩んで死を選んだんだろうが」
「ですが、家庭内で何か問題があったんじゃないですか。なにしろ、離婚なさって片親だそうじゃないですか、我々は、できるだけのことはしました。学校の外での問題まで、我々のせいにされては・・・」
「あの子の自殺は私のせいだと!」
「いえ、そう断定しているわけではなく、その可能性もあるんじゃないかと」
「責任逃れするつもりなら、教育委員会に駆け込みますが」
「・・・あの。これから話すことは他言無用でお願いします。実は、依願退職した元担任ですが、死んだ生徒が枕元に立って眠れない。知り合いのお寺さんにこもって除霊してもらうと退職のとき私に言ってました。それと、加害生徒ですが、お子さんが自殺した直後に学校であいつがいじめたと噂になって逃げるように転校したのですが、転校した先の学校の知り合いから、枕元に自殺した友人が立つと周囲の大人に相談して精神病院に入院させられたと聞いております。あまり騒がれますと、お子さんが怨霊になったと悪評が広まるかと」
「つまり、うちの子がしっかり復讐しているから、おとなしくしていろと?」
「どうでしょうか・・・」