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監督を呼べ

「監督を呼べ、いますぐ監督をここに呼べ。どうして、こんなときに監督がいない! こうなると分かっていたから奴は、今日の試写会に顔を見せなかったのか!」
「落ち着いてください、プロデューサー。今はまず、記者会見の準備を。いえ、この試写会の騒ぎを逆に映画の宣伝に利用しては」
「宣伝に利用だと、お前、本気で言ってるのか。試写会に参加した関係者の数名が急に原因不明で死んだんだぞ。宣伝どころか、上映してくれる映画館がなくて、公開中止もありえる。しかも、死んだ中には私の娘もいるんだ。娘が友達に自慢したいから、まだ公開前の映画を観せてとせがむから、関係者向けの試写会に席を用意したら、娘が死んだんだぞ。たく、監督は、どこだ。とんでもないクソ映画を作りやがって、監督は。どこにいる!」
「あ、いま、連絡が入りました。監督も自宅で亡くなっていたと。どうやら、監督自ら自宅のパソコンで最後の編集をやって、そのデータだけを試写会会場に送った後に亡くなったらしいと。監督の家にいた奥さんやお子さん家族全員が亡くなっていて発見が遅くなったと警察から」
「は? 監督が死んだだと。じゃ、スタッフの誰でもいい、どうして観たら死人が出たのか説明できるスタッフをここに呼べ」
「そのメインで関わったスタッフが今日の試写会でみんな死んでまして」
「こいつは、低予算のB級ホラー映画のはずだろ。監督だって、そういうのが得意だったはずなのに、どうして本当に呪われる映画になっちまったんだ!・・・・・・」
「あっ、プロデューサー・・・ああ、プロデューサーも死んじゃった。次は俺か?」

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