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第3章の第89話 どうしようもない問題16



☆彡
【梅酒『太閤梅』(たいこうばい)】
「……その後のヨシュディアエさんの話は?」
「……」
そう、言ってきたのは、アユミちゃんだったわ。同じ女性として、どうにも気になるのかしらね。
わかるわ、その気持ち……エメラルティ(あたし)も、そうだったから……。
「……」
だから、エメラルティ(あたし)は、こう答えるの。
「う~ん……その後、そうしたタイミングを、また逃した事になっているのよ……?」
「えっ!? なんで!?」
「簡単にわかりやすく要約すれば……」
――翌週の月曜日、ヨーシキワーカさん宅に電話がかかってきて、それを受け取ったのは、お父さんらしいわ。
恐らくこうよ。
『今、職業安定所の方で騒ぎが起こっていますから、その子をこちらに来させないでください!!』
『また、あの子が書いたものをハッキングした人達がいて、今そうした騒ぎの電話が、ひっきりなしに掛かってきてるんです!!』
『今、こちらにその子が着たら、非常に危険ですから、来させないように、あなたの方で何とかしてください!!』
『あの子は、この一件とは何も関係がありませんから!! 勝手にまた、あの人達が騒ぎ立てているだけです!!』
『後はこちらの方で、その対応を取らせていただきますから!!』
――だと思うわ! まぁ、勘だけどね……!」
それはあくまで、ヨーシキワーカさんの勘であって、エメラルティさんの勘ではない。
気になったアユミ(あたし)は、こうも尋ねて。
「あの人の勘の的中率って!?」
「この話に限って言えば、だいたい当たっていて、60%以上は堅いらしいわよ!」
「フ~ン……」
「で、お父さんが車を出して、温泉地に連れて行ったんだって!
で、その車の中で、ヨーシキワーカさんに何か欲しいものはないかって言ってきて――」
『じゃあ、『太閤梅』(たいこうばい)で、梅酒の……』
「実は、出かける前から、そうしたやり取りがあってて、再確認をかけるためにそうしたんだと思うわ。
で、出かけ先の酒屋さんで、梅酒の『太閤梅』(たいこうばい)を土産に買っていったらしいわよ……!」
その梅酒の『太閤梅』(たいこうばい)は、一升瓶だったらしいけどね……。
弟さんが好きで、その後、その酒肴がお兄さん、お父さん、お母さんに伝わったんだと思うわ。
まぁ、語る必要もないかな。
「……まぁ、その時に温泉地の焼き肉店は、営業中止だったらしいけどね……」
「フ~ン……」
とアユミ(あたし)は何か聞いてて、めぼしいものは特になく、つまんなさを覚える。
「……」
スバル(僕)も、その話を斜め後ろで聞いていて。
(そんな事があっていただなんてなぁ……御兄さんの身に……)
僕は、あの御兄さんの身を案じるばかりだ。


☆彡
【第一次世界大戦とPTSD】
――で、アユミちゃんから。
「――で、その後どうなったの?」
と聞かれて、エメラルティ(あたし)は、
「えーとその後は……うん!」
と頷き得て、こう言ったの。
「その日の後、ヨーシキワーカさんが、お母さんとお父さんに言った言葉があって、先ずお母さんからね――」
『――『第一次世界大戦』と『PTSD』って知ってる?』
『んっ??? ……いやぁ……』
『まぁ、そうだよね……。旧日本軍が、軍事部門と医療部門とに分けて、
その時、作られたのが、
『心的外傷後ストレス障害』Post Traumatic Stress Diorder(ポスト トローマティック ストゥレス ディスオーダー)っていう薬なんだけど……』
『……フゥ……』
(あっ、これダメなやつだ……)
そう、察したヨーシキワーカは、それ以上母に話すのを止めるのだった……。
「で、次はお父さんに――」
『――どうしようもない問題の時に使われた薬を覚えてる?』
『薬……? あぁあったな……なんか……!?』
『『第一次世界大戦』と『PTSD』って知ってる?』
『PTSD……いやぁ……なんか聞いた覚えがあるような……どこかで……!?』
『それが『原型』になっているんだよ!?』
『は? なんのこっちゃ!?』
『第一次世界大戦中、日本軍は、その組織を二分する必要があったんだよ、軍隊と医療班に分けて』
『その医療班が作ったものが、PTSDって言って』
『先の対戦中に、精神的な病にかかり、緩和する薬だったんだ』
『足や手がなかったり、そうした精神疾患を、緩和する目的だったんだって』
『ハァ……バカバカしぃ!! あっちへ行ってろ!!』
『……ッ』
ヨーシキワーカは父にそう告げるが、バカバカしいと言われ、あっちの部屋へ向かうのだった。
1人、この場に残された父は。
(まさか――そんな事が……ッッ!?)
そして、1人、あっちの部屋へ行ったヨーシキワーカは。
(やっぱり、上手く言えないなぁ~……。まだ説明不足なんかなぁ……!?)
『フゥ……』
(戦争神経痛は、不眠や鬱(うつ)、幻聴など被るんだけど……。
それを見ぃ、その戦争に携わった医師団の願いもあって、作られたのがその薬なんだけどなぁ……!?)
その日は、そこまでだった……。


☆彡
【始まりは、法整備から】
【戦争終結後、その被害回復のために務めるのは、どこの国にとっても急務であり、その責任と処罪と政(まつりごと)の条約を結び付け】
【世界各国へ橋渡しをする動きがある】
【それにより、国は、息吹を吹き返し、世界経済は、波に乗る】
――過去から現在に返り、そのエメラルティさんの話ぶりを聞いたあたし達は。
「戦争の話だったわけ……!?」
そう、口を零したのは、アユミちゃんだったわ。
あたし、エメラルティは、こう答えるの。
「ええ……その後、第一次世界大戦中が終わり、その18年後にまた、第二次世界大戦が勃発したでしょ……!?」
「……」
第一次世界大戦は、1914年7月28日から、1918年11月11日にかけて、約4年間にわたって続いた戦争である。
第二次世界大戦は、1939年9月1日から、1945年8月15日まで、約6年間にわたって続いた戦争である。
なお、第三次世界大戦は、2036年前後だとされており、
その前戦前の予兆は、ロシアとウクライナとの戦争から始まり、パレスチナとイスラエルとの戦争へ発展し、このまま南下していけば行き着くのは、
世界で最も多い人口を有するイランであり、そこから第三次世界大戦へと発展する可能性が極めて高い――

――エメラルティ(あたし)は、こう語り部を続ける。
『――ここからは、『早足』になるんだけど……。
第二次世界大戦が終結し、ある条約が締結されたの。
その正式名称は、『日本国との平和条約』Treaty Of Peace With Japan(トリーティー オブ ピース ウィズ ジャパン)!
これは、サンフランシスコ条約と言われていて、日本国と連合国48か国の間で結ばれた、
第二次世界大戦による、『法的な戦争状態を終わらせるための平和条約』とされてるわ!
日米安全保障条約、パリ講和条約などが締結されていったのよ!」
「……条約……法的制度……あっ、もしかして……!?」
「そうよ、弁護士さんの話に通じるわね! それに裏の端末や包んでくれたお金とかね!」
ハッ
とあたし達はそれに勘づく思いだった……。
「その後、日本経済は、1955年から1973年の間に、約20年間にわたり、『高度経済成長期』と言われる経済発展を遂げたの……!
実はこの裏に、祖国アメリカの『先見の明』があったとされてるわ……」
「先見の明……」
「……」
コクリ
と頷き得たエメラルティさんは、続けてこう話す。
「アメリカ様式の文明が、続々と日本国へ参入するようになっていったのよ……! それは、卓越した祖国アメリカの企みがあったとされてるわ……」
「企み……!?」
「うん……」
あたしは言葉に迷いながらも、この言葉を言ったの。
「日本国を、アメリカとの属国とする動きがあったの!」
「属国……!?」
「下に従えようって事よ」
そう、言ってきたのは、恵アヤネさんだったわ。
これにはアユミ(あたし)も、驚き得る思いで……。
「え……」
――そして、エメラルティさんは、こう語り継ぐの。
「――そう、そして、今だけは、アメリカが回復途中の日本国を護り、いざって時には、協力して戦いましょうってね!
それは、次の戦争にも備えての有事よ! 軍事力強化のための側面もあるってわけ!」
「あれでも? 日本は非戦争国なんじゃ……!? 『憲法9条』にも、そう書かれてあったし……あっ!?」
あたしはあれを思い出す。
――憲法第9条。
日本が戦争する事になれば、命と人生は奪われ、誰も殺したくないという当たり前の思いは踏みにじられ、人間として生きる道が失われる。
2014年7月、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定が行われた。
この閣議決定を具現化する憲法は、世界のどこであっても、アメリカが戦争を始めたら、自衛隊が戦闘地域まで行って、軍事支援するものになっている。
そして、例え、日本が攻撃されていなくても、政府の判断でアメリカによる先制攻撃の戦争まで参戦しようとしている。
就職先がない、進学するお金がないから生まれてくる子供達など、
大切な人が戦争に参加し、何の罪もない人々を殺し、殺される国になる事に反対する。
ついては、次の事項について実現を図られたい。
「戦争はしない」「軍隊は持たない」と決めた日本国憲法第9条を守り、活かす事――


☆彡
【その6本柱、食・学門・渡米の修学旅行生たち・そこから持ち込んでくる新しい設備の導入・世界経済との橋渡し・そして輸入等である】
――エメラルティさんは、こう語り部を続ける。
「――そうね。でもそれは昔の事であって、今は少し異なるでしょ!?」
「あっ……」
そう、少し変わってきてる……。
憲法改正から実に200年経ってるからだ。
ってかだいぶ……それが時の経過であり、時代の流れであり、戦争というものだ。
「……まぁ、何も無理に戦争をする必要はないのよ……? アメリカの財布となってくれればね……!?」
「財布……!?」
「あっ!? それで弁護士さん等が話をつけて、裏の端末に繋がる話に!?」
ハッ!?
それは恵アヤネさんの発言だったわ。
これには一同、勘づいて。
「……そうよ」
「あれ……でも何で!? どうして!?」
「それは、エメラルティさんの話を聞けば、何となくわかってくるんじゃないの?」
「……」
コクリ
と頷き得るエメラルティさん。
そして、こう語るのだった。
「1番、根幹の話になるのは、先言った『法整備』であり、そこから、『6本柱』に枝分かれしていくの」
「枝分かれ……6本柱……!?」
「……」
コクリ
と頷き得るエメラルティさん。
続けて、こう語るのだった。
「6本柱……。それは、
『食べるもの』
『学ぶ道』
『渡米の修学旅行生たち』
『そこから持ち込んでくる新しい設備の導入』
『世界経済との橋渡し』
『そして、輸入等ね……!」
「……」
「タダで、どの国も、アメリも、日本国を支援する動きはなかったの……。
どこもがそうで、そうした旨味のある話を、持ち掛けたいからね……。
……ホラ? 良く言うでしょ? 商人の世界では、信頼とはお金だって……」
「……」
急に、大人のそうした込み入った事情が飛んできた……ッ。
これには、エメラルティさんの変わりように、ビックリだ。
そんな彼女は、こうも続ける。
「……まぁ、どっちもどっちで悪いんだけどね……。
話を持ち出したら、もうキリがないし、どっちが先かとかは、もう関係がないのよ」
「……」
「……わかる? それが勝負事であり、戦争であり、勝敗のついたケジメなによ?」
「……」
「当然、他国に取っては、先に日本国から、戦争を仕掛けてきたんだぞ……とするような受け取り方も、まぁまかり通るようなものだからね?
そこに話をブチ込んで、それが多数決による決議案よ!?」
「……」
「不毛も不毛でしょ!?」
「「「「「………………」」」」」
これには一同、皆なんかわかる思いだった……。
これにはアユミちゃんも。
「うん……」
と頷き得るのだった。
「……」「……」
【――それは、傍目で見ていたシャルロットさんん、アンドロメダ王女様はこう思う】
【(シャルロット)アメリカ人のエメラルティさんが、助け舟を出してくれた事で、日本国のアユミが頷いたもので】
【(アンドロメダ)そうした議論を話し合っても仕方がなく、遅々として、話が先に進まぬからじゃ】
そして、わらわがこう呟く。
「戦争の勝敗とは何も、是も非もなく、ただただ勝った方が正しく、例えそれが武力でも、『正義』と謳えるからな……」
「……みんなが聴こえてな」
「あっ……」
「……」
(しもうたわ……そう言えばたった1人だけ、この話を聴けるものがおったわ……)
「……正義……?」
「……済まぬ……」
「……」「……」「……あちゃ~……」」
しまった感を覚えるのだった……。
フンッ……
それだけ吐き捨て、スバルは見抜きもしなかったわ。
お主、大人だわ……。
「……」「……」「……」
【――少年のその対応は、まさしく100点満中90点だった】
【ここで、スバルが食って掛かれば、アンドロメダ王女様が、下手になり】
【それが下々自民に伝わり、地球人全体が、危機に陥ってしまう……】
【この日、少年は、その王女様のタズナを握った事になる】
【キワどく、危ないタズナだ……ッッッ】
「……」
【だが、もう少しだけ言わせてもらえれば、それは自嘲してはいけないものだ】
【知っているのは、スバル、王女様、シャルロットさんの3名だけ……】
【つまり、ここでスバルが、大人の対応を取れば、それはシャルロットさんからの目から見ても、信じるに足る地球人だという事だ――】
「……」
【その肩をすくめたスバルは――】
「……今、僕にできる事は何もないからね……」
「!」
「だから、何も言わない……」
「……そうか……」
「……」
【その場を、穏便に済ませるのだった……】
【ワザと、そのタズナを放して、その危険を自由にする……形】
【スバルと王女様……】
【これにより、王女様の関心が、より一層、少年に向けられるものになっていく、もちろんシャルロットさんも】
【関心の目がいけば、当然、助け合いの輪にかけても、至極やり易いからだ】
【この日、少年は下手になって、出てきたのだ――】
「……」

【――それを見ていた一同の視線は……】
「「「「「………………」」」」」
【見えはしないまでも、何かを思わせる……ものだったのかもしれない……】
「「「「「……」」」」」
【で――】
「でないとまた戦争だから、誰かがまた死ぬからね……」
「!」
【一同、その語り部に振り返るのだった】
【その語り部、エメラルティさんは、こう続ける――】
「――……痛ましい戦争、論争だっただからね……」
「……」
「双方、どの国においても、その戦争の爪痕は残っていたものよ!?
でも、どこかで決議決定案して、もう終わりにしないといけなかった……。
……まぁ、結局は、必要に応じて、長引いていくことになるんだけども……」
「……」
「それがあったからこそ、日本国は、他国と通し比べて、世界経済発展が、抜きん出たでしょ!?
その条約には、『いくつか盛り込まれていた』からね。
だから、『世界経済発展が潤え』ば、『どこの国にとってもいいことずくめ』でしょ!?
――とする『裏の動き』があっていたのよ!?」
「裏の動き……」
「そう、それは、未来を預かる時代の子等の『先入観』から、まるっと『造り替える』必要があったとされているものなの」
「……」「……」
それはあたし達、僕たち、子供たちの意識の先入観を、造り替えるというものだ。
エメラルティさんの話は、こう続いた。


――『食べるもの』
「まず、被害を受けた難民区にいる子供たちに、その当時は、まだ珍しかったとされるチョコレートを配ったというのが、始まりだったとされてるわ。
まず、食文化から変えていったわけね。
日本の和食から、アメリカの洋食へと変わっていったわけ。
和食は、ご飯とみそ汁。
洋食は、パンとサラダといった具合に……」
日本は、アユミちゃんにスバル君。
アメリカは、エメラルティさんにサファイアリーさんといった具合に。


――食から入る『学ぶ道』
「当然、多くの日本人の子供たちは、その外国産の食べ物に興味を持ち、
家に帰った後、両親、ご家族の方に話せども、当然、反感を買ってしまう……。
戦争で負けた、被災国だからね。……どの親も、難色を示していた理由(わけ)……!」
「それはそうだ……」
そう答えたのは、ミノルさんだったわ。
まぁ、当然の反応よね……。
「けど、も――……他国からの圧力がかかっている以上、また戦争が長引いたために、日本国の原材料搬送システム等は、酷く滞っていたからね……。
人間飲まず食わずじゃ、生きていけないものぉ……」
「……」
「そんな折、学校給食の中に、パンなどが持ち込まれた場合はどうなる!?」
「あっ……」
「『戦時中の食事事情』は、『基本的にどこの国であってもひっ迫』していてね……。
お米の代わりに、代用食を食べていたと思うわ。
サツマイモやジャガイモ、すいとん、サトイモやカボチャなどの硬い葉や茎、
みかんの皮、どんぐり、大豆の絞りカスなどね……」
「すいとん?」
そう、口を零したのは、スバル君だったわ。
「……」
あぁ、君達世代は、何も知らないのか……。
仕方がないとばかりに、ミノル(私)は頷き得、そのスバル君に、当時、戦時中だった日本の事を少しでもいいから、こう物語る。
「すいとんは、主に、小麦粉に水を加えたもので、白っぽい汁みたいなものだ。
戦時中の子供たちは、主にそれを飲んで、飢えを凌いでいたらしい……。
……まぁ、暴力に寄り掛かった子供たちは、人のモノを盗って、そこに自分たちのものを加えて、団子みたいなものを作っていたらしい」
「それって……喧嘩の原因になるんじゃ……!?」
「生きるか死ぬかだぞ!? しかもそれが数年間続いていたんだぞ……!! そんな悠長な事を言っていたら、死ぬぞ!?」
「……」
僕は、ミノルさんに怒られるのだった。
甘い事を言ったからだ。
僕は、世の中の常識を甘く見積もっていた。
ミノルさんは、そんな僕を、厳しめに然り、僕を諭そうとしたのかもしれない。
「あの時代の子は、何だってしないと……いけない……ッッ!!
道端にひょこり現れた、食用のウシガエルを食べたり。
鳥の巣から、卵やひな鳥を取って食べたり。
それこそ、人ん家に侵入してモノを盗ったり、他所の畑の中に盗みに入ったりしないと、いけなかったりするんだ!!
そうしていないと、ドンドンと身体がやせ細って、最後には死んでいく……。
周りはバタバタと死んでいってな……疫病や飢饉類で……ッッ!!」
「……」
「100人いたら、1年間に30人近くは、死んでいたような時代背景なんだ……ッ。
当然、心は荒んでいただろうな……。
中には、自分の親・兄弟を失った子もいて……」
「……」
「これが、現実の実話なんだよ……」
これにはスバル(僕)も、言葉を失う思いだった……。
戦時中の日本の子供たちは、ホントに苦労してたんだ……。
そこへエメラルティさんが、こう語りかけてきて。
「……ミノルさん、わかりやすい戦時中の話をありがとう」
「……」
コクッ
と小さく頷き得るミノル(私)。
礼儀正しい彼女は、こう続けた。
「だから、そんな折、戦後日本に生き残った子供たちは、とても貴重な人材だったの……世の中を支えるね」
「……」
「だから、その子達の親や、国からそうした威権指示もあって、
まず、戦後間もない時に、学校に呼び集めて、貧しい日本食に加えて、
アメリカ人の軍人さん達が持ち込んでくれた、貴重な兵糧や、パンなどの詰め合わせもあったとされてるわ。
両国はまず、子供達の食事事情から、歩み寄ろうとしたわけね」
「……」
「その頃の子供たちは、複雑な心境だったと……察するわ。
だって、戦後間もないのに、学校の教室の中にアメリカ兵がいたんだから」
「「え!?」」
これには、少年少女ともに驚く。
「結構、辛いんじゃ……」
「辛いも辛いわよ……! その中にはね、実際に自分の親が、アメリカ兵の誰かに殺されているんだからね……!」
「……」
確かに……。
「その子供たちの中には、わずかにそうした子供たちも少なからずいて、
持ち込まれたその貴重な兵糧や食料を投げつけて、
その場を、台無しにしてくれちゃった子達も、中には、いたぐらいだからね!?」
「あちゃ~……」
「……まぁ、気難しいでしょうね……。相当、学校の先生方や、国の職員さん達は、宥めるのに苦労したと察するわ……」
とここで、姉のサファイアリーさんが。
「でも、中々気概のある子供たちでしょ!?」
「!」
「実際そうした事があって、
『何だこのガキャあああ』What Is This Brat(ホワット イズ ティズ ブラット)!! ――って取押えに入るアメリカ兵もいたり、
中にはそうなる事を、予め見越していて、笑い声をあげるアメリカ兵もいたりもする……!
『君は気骨があるなぁ~』You Have Guts(ユー ハブ ガッツ)ってね!
そうして、褒める人も、極稀にはいるのよ!?」
「……」
「大人でしょ!? そうなる事を予め見越しているんだからぁ!?
だから、誘いの話も、あったりもするのよ!?
どうだい!? 一緒に祖国アメリカへこないかと……。
将来有望そうな子を、一時的に、祖国アメリカに預かり、そうした教養をして、
一から若手の人材を育てることで、
周りの諸外国すべてに、威厳と権威を示す取り組みがあったの!」
そう語るサファイアリーさん。
そこへミノルさんが。
「……まさか――」


――『渡米の修学旅行生たち』
「――『渡米の修学旅行生の一団』か!?」
「そうよ……ミノルさん!」
「……」
やはりか……という思いで、私(ミノル)は軽く頷き得る。
彼女(サファイアリー)さんの話は、こう続く。
「アメリカ兵から誘いの話、その学校の先生方や国の職員さんからの誘いの話も、中にはあったらしいわ。
実は、そうした条約が、裏に結び付けられていたの。
日本国と48か国もいたからね。
会議の場に、在席していなくても、そうした裏からの外交圧力がかかっていたりもするのよ!?
……まぁ、表沙汰にはなっていないわね……」
「そりゃあそうだ……」
むしろ、当たり前だな……。
公式見解上、そーゆう事は自国民には、明かさないのが国のお上のそうした決議決定案である。
サファイアリー(彼女)に話は、こう続いていた。
「そこで、祖国アメリカが穏便に交渉事を図りつつ、対談を経て、勇士の話を募った訳よ!
それが日本国からお触れが出たって訳」
「……」
軽く頷き得る思いのミノル(私)がいたぐらいだ。
その私が、こう呟きを落とす。
「おそらく、日本の官僚の中に、そうした裏話を聞きつけた人がいて、
穏便に事が進められるなら、その話に乗ったんだろうなぁ……!?」
「……」
そこには、軽く頷き得る思いのサファイアリー(あたし)がいたわ。
「ええ! ……だから、先ず『渡米前』に、『意識改革』をする必要があった……!
当時の『教科書』が、『黒塗り』だったのは、知ってる!?
戦時中日本国の話をまとめていたから、それが『アメリカ兵』や『諸外国の諜報員』さん達の目と耳に入った訳ね。
向こうとしても、穏便に対談を進めて、日本国と歩み寄ろうとしていた、『大切な時期』……だからね。
だから、講義の場で、先生達が1人1人生徒たちの方を見てまわりながら、
その教科書が、ほとんど黒塗りだったそうよ」
「へぇ~……」
と関心の思いの少年少女がいたのだった。
とここでミノルさんが。
「……まぁ、それでも中には、生徒さん達自身で示し合わせて、そうした抜け落ちの箇所も、中には含まれていたんだ……!
もしくは、その後、その体験談を綴って、直筆でノートを取っていた故人さんもいたぐらいなんだよ!?」
「なるほど……」
これには、アユミちゃんも納得の思いだった。
「国からの要請は、あくまで、公式的なものだからね……!
だから、深く一個人までは、踏み込めないところも、中にはあったんだよ!」
と言の葉を告げるミノルさん。
とここで、エメラルティさんが。
「だから、そうした折り合いの話があって、思い切って、渡米する修学旅行生一団もあったの……!
祖国日本を離れ、遠い遠い異国情緒あふれるアメリカの海上都市に来た生徒達は、その言葉を失い……。
こう言ったそうよ。『摩天楼』だ……ってね」
「摩天楼……!?」
「あくまで日本人の子供たちよ!?
摩は、魔界とか異界とか、そうした世界観であって。
天は、自分の知らない世界が広がっていたから、それは天国にも似た環境の違いを思い知らされたもの。
楼は、郷愁の想いと重ねて、いつの日か、この素晴らしい文明と感動と喜びを、祖国日本の為に役立てたいとする高尚な考え方よ」
「……」
「日本に帰ってきた一団が、そうした現地の想いを赤裸々に語った思いよ!
だから、その人達に取っては、『まさに未知そのもの』で、
そこでは、見た事もない景色が広がっていて、こう、知的好奇心がくすぐられるものだった……!
その日本人の一団は、修学旅行生たちと呼ばれていて、『両国の橋渡し』を担う、『重大な一団』だったらしいわ。
当然、周りからは、良くされていたんじゃないかと思う」
そう告げるエメラルティ(あたし)。
一拍の間をあき、こう続けたの。
「……ここにこそ、祖国アメリカの企みがあったと思うわ……!
日本人のそうした若い子供たちが、自国に戻った折、
そこでどんな事があっていたのか!?
詳しく聞かされることは、目に見えて、わかっていたもの!
さあ、そうなれば、次は、輸入販売等を通じて、日本の方へ、そうした原材料やら、設備投資やら、そうした学問の話が通る!!
向こうからの応援の人を寄こさなければならないからよ!?
当然利益は、アメリカの方にいくわよね!?」
「……確かに……」
と頷き得るミノル(私)。


――『そこから持ち込んでくる新しい設備の導入』
「――日本に戻った子供たちにとっても、慣れ親しんだ日本食が一番でも、向こうで食べたものが忘れられなくて……。
ハァ……また、あれを食べたいなぁ……って、その知的好奇心を抑えられず、くすぐられるものがある。
さあ、そうなれば次は、日本の方でも、そうした自社工場を作って、
改めて、外国産のものを輸入販売すれば、それは『儲け話』になるわよね!?」
「あっ……」
少年少女と、そう呆けた声を上げる。
エメラルティさんの話は、こう続いた。
「ここにこそ、古くからのそうした条約の話があって、両国の間だけじゃなく、他国との繋がりを強力に持つことができるの!
そうした向こうから学んだ教養も相まって、外国語を話せる人達の割合も多いからね!」
(そりゃあそうだ(よ)……)
少年少女達は、そう思うのだった……。
エメラルティさんの話は、こう続く。
「まず初めに、パン、なんかが考えられて!
そのパンを作るためには、原材料の小麦粉から、輸入しないといけないわよね?
それを自社工場内で加工して、製造販売するためにも、
慣れしたんだ外国産の機材等を導入したいわけ。
電気設備も、西と東の違いで、ここで導入されていった……経緯(けいい)を辿る理由(わけ)ね!
丁度、東日本は50Hz(ヘルツ)、西日本は60Hz(ヘルツ)と、東もんと西もんの間で、両国に分かれた事になるのよ!?」
「何で? どうして?」
「実はね。これは……。初めて、日本の明治時代に『発電機』を輸入したのが、
関東が『ドイツ製』、関西が『アメリカ製』を選んだ名残でもあるからよ!?
「あれ……!? 明治時代って確か……うう~ん!?」
その大きな疑問を持ち始めたのは、スバル君だったわ。
さすがに勘がいいわね……。
これについて、講義の場を持つのは、ミノルさんだったわ。
「おほんっ! 日本の明治時代は、1868年9月8日『元年』から、1912年7月30日までの、実に45年間の間だな!
その戦争前という訳だ!」
「そうね……。周波数帯の比較が違うから、そうした経緯を辿ったのよね……。
もちろん、デメリットよりも、メリット面の方が強く、外国からそうした技術の教えがあったの……!!」
「なるほどなるほど……」
コクコク
と頷き得るアヤネさん。
サファイアリーさんは、こう語り部を続けるのだった。


――外国産の産業分野の始まり
「――あとこれは、外国産の産業分野の始まりの起源と言われてるんだけど……」
「!?」
ここで少し、話の流れが変わる。
より詳しく、わかってもらうためにも。
「始まりは、1853年、代将マシュー・ペリー率いるアメリカ合衆国海軍東インド艦隊の『蒸気船』2隻を含む、
艦隊4隻が日本に来航した事から、始まるわね!
『黒船来航』で特に有名で、『ボイラー技術』が『起源』だったらしいわ……!」
「蒸気機関のボイラーか……」
「ええ、だから、ヨーシキワーカさんも最初に、先ずはボイラーから、先に取得したんだって」
「なるほどねぇ……」
サファイアリーさんがそう説明し、ミノルさんが頷き得。
続けてサファイアリーさんがそう説明し、クリスティさんも納得の思いだった。
サファイアリさんは、こう語り部を続ける。
「その後、火力発電、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電、核融合炉へと……電力システムが、多様化の可能性を示していった訳ね!」
「なるほど! つまり、原子力発電ができたのは……いつ!?」
そう、答えたのは、アヤネさんだったわ……。
知らないのね……。
まぁ、しょうがないかな……。
「フフッ、原子力発電は、1942年、アメリカシカゴの大学で、核分裂の連鎖反応を確認したのが始まりよ!
その学問の科学技術が、元となって、国からそうした申請の許可が下りたのは、1951年のこと……!」
「……」
「日本に伝わって、解禁されたのが、1952年のとし!
その話が周りに伝わり、1956年に茨木健の東海村に日本原子力研究所が、初めて設立されたのよ!
当然、諸外国各国から申請の話もあって、
輸入・輸出・出荷等を起こして、穀物などの外国産が国内に持ち込まれては、盛んになっていた時期ね!
――次に『世界経済との橋渡し』・そして『諸外国からの輸入等』ね!」
「!」
「!」「!」
【――これに大きく反応を示したのは、アンドロメダ王女様に、シャルロットさんだった】
【それはつまり、地球復興後の動きにも似ているものであり】
【あの未来のスバルが、過去に来た経緯にも則している面だ】
【全球凍結から復興しても、それで終わりというわけではない――】


――『世界経済との橋渡し』
――そして『諸外国からの輸入等』
「――1986年から1991年にかけて、世界経済は波に乗り、
周りの諸外国各国からの厚い支援もあって、日本国は順調に回復していったの!
実に5年間の間、日本の金利・貯蓄・貿易等は盛んになり、かって、世界経済、第一位だったの!」
「えっそうだったの!?」
「ええ、実はそうなのよ……」
「アユミ……知らなかったぁ……」
「僕もだよ……」
「……」
まぁ、日本の小学生で、それを知っている子がいたら、大したものだ。
普通は、勉強嫌いだからね……。社会は……。
と、これにはサファイアリー(あたし)も、内心慌てて……ッ。
「ちょ、ちょうどバブル経済期ねッ!?
ホラ、手にセンスを持った若い姉ちゃんたちが踊っていたものがあるでしょ!? ディスコで!?
あれがバブル経済期を現わす象徴とも取れるものだったの!」
「……あれかぁ!?」
これには、大の大人のミノルさんが1人、反応を示していたわ。
何てわかりやすいのかしら……。
隣にいる奥様は、恥ずかしい面持ちだったわ。
「……でも、そんなの周りの諸外国からみれば、日本国は、あの戦争で負けたのに、そんなに金持ってるんなら、
失礼だよねぇ、おかしいよねぇ……と周りから揶揄(やゆ)されて、
ならば、こっちにもその経済資金を寄こせとばかりに、他国からの要請がかかったの。
これがバブル経済の破綻……だったとされてるわ!」
ガーン……
バブルクラッシュ。ディスコクラッシュ。
若い姉ちゃんたちも、散り散りになっていく……。そのセンスも、どこかの物置へ……。
「それから、アルバイト・パート・非正規雇用の派遣労働者等の参入の動きがあったとされてるわ……!
実は、以前までは日本のどの地域においても、正社員だった人の名目がいたのよ!
その時までは、どこにおいても、アルバイトやパートはいなくて、ましてや派遣労働者すら、いなかった……!
これは、『横から参入の動き』、主にアメリカや周りからの『世界経済圧力』がかかっていたからよ!
この政策に従わないようであれば、輸入・輸出・出荷・販売・製造を通じて、
外国への金利が、暴落しちゃうからね……。
当然、日本国は、その威見(いけん)に、従うしかなく、その道を辿るしかなかった……!」
「……」
「それから日本国は、世界経済第一位の座から、ドンドンと転がり落ちていったわけね……」
「なるほど……」
「じゃあ、ちょっと待って!? もしかして、犯人当てゲームとか、どうしようもない問題とか、とんでもない問題の原型って!?」
「あっ……!?」
「――そう、まさしく、今アヤネさんの考えているとお、!?」
エメラルティ(あたし)が、そこまで言いかけたところで、そのアヤネさんからの静止がかかったの。その手を突き出してね。
「……あたしに言わせて」
「……」
どうぞ、とあたしは促す。
「親の代までは、正社員雇用が当たり前だった……!
その参入の動きがあった事で、どの会社も、職業安定所を通すとき、国からの威権指示もあって、
アルバイト・パート・非正規雇用社員を雇わないとならなくなった……! ……違う!?」
「『正解』YES(イエス)!」
「フゥ……。そこで、地上げ屋が、ある問題を作る事になった……。
もしくは、そうした事が迫られて、ある機関が……」
「……」
「それが犯人当てゲームであり、どうしようもない問題であり、とんでもない問題の起源(ルーツ)とされている……!
そして、世界各国諸外国企業が、そうして、日本国へ参入する動きがある以上、
まず、外国人労働者を雇い、その人の成果を認めた事で、その働いた分のほんのわずかな金利を、その人の国へ渡る流れができる!
物の売り買い等を通じて……!
これが世界経済貿易の一端であり、また、輸入、輸出、出荷、製造、販売。
新しい技術が発達すれば、相乗的に効果の期待が望めるからでしょ!?」
オオオオオ
と一同から感心の声が上がるのだった。
そこへアユミちゃんが、こう話を持ち込んできて。
「ちょっと待って!」
「!」

――ここで新しい学問
「――じゃあ、『学問』は!? あたし達は!?」
「……日本には、今、標準漢字となっている『当用漢字』があるでしょ!?」
「ええ……」
「アメリカからの要請があった時、アルファベットや英語が持ち込まれたんだけど……。
祖国の狙いは、学習時間を削って、その日本文化を削ぐ狙いがあったの……」
「えっ……!?」
「まぁ、そうはならないのが、『現実』なんだけどね……。往々にして……大切な文化だから」
「文化……」
「うん! だから、当面の間は、『当用漢字』として用いて、
それ以降から、『常用漢字』になったとされてるわ。
ホラ、そうしないと前の文字が消えて、今のものが残らないでしょ!?
まるで、『古文』や、『古代文字』のようにね……」
「……」
(そう、古文や古代文字には、そうして失われていった経緯があるの……。
実は、こんな事は前々から行われてきた政(まつりごと)なのよね……。
自分の国の色に、染めてしまおうという訳!
だから、良く、古代文明の中には、失われてしまった文字や文化、文明の名残なんかもあったり、なかったりしているの……)
エメラルティ(あたし)は、そう、自分の心に言い聞かせる。
太古のロマンに想いを載せて。
「実は、日本国もバカじゃなくて、以前までは難しい漢字を用いていたから、じゃあ、こうしようか――となり、
難しい漢字から、誰の目から見ても、優しい漢字へと変換の動きがあったいたそうよ!
時代の節目を、物語る出来事ね!」
「へぇ~……そうだったんだぁ……』
「勉強になったわね! アユミちゃん!」
「うん!」
とここで、サファイアリーさんの心の愚痴としては。
(まぁ、そんな事は、みーんな中学生の時に習うんだけどね……義務教育の一環で……!)
サファイアリー(あたし)は、そんな当たり前の事を、心の中だけで留めるのだった。
妹のエメラルティの話は、こう続いていたわ。
「でも、世界の経済の橋渡しとか、輸入の動きはてんで甘くなくてね……。それ以前から、株や投資の目的があったんだけど……」
それについて答えたのは、元ホテルの経営者であるミノルさんだったわ。
「仮想通貨……。ビットコインや、ネットで使われるネット銀行、その仮想通貨の動きがあったって事か……!?」
「正解! それで、会社や、銀行などの売り上げ利益が落ちて込んでいって……倒産までしたのよ!
それはいくつもの銀行がね……。
それで、日本国の国債まで、圧迫する動きになった訳ね。
当然、どの会社にしても、以前までの資金繰りが上手くできなくなったから……」
「弱い者いじめをして、そこから逆に盗り立てようとしたわけね!?」
「『相違ないわ』Yes Off Course(イエス オフ コース!)」
「……なるほどねぇ……」
うんうん
と頷き得るアヤネさんの姿があったわ。
そして、エメラルティさんの話は、核心に迫る勢いで――
「――で、その話を、どこかの居酒屋で話した人がいて、3人ほど、その話を聞いていたのよ!?」
「へ?」
「で、その語り手が、自宅かアパートかはわからないけど……そこに帰って行って、……しばらくしたら……」
「……」
「遺体となって発見されたそうよ……!」
「えっ!?」
「で、誰に聞いてもわからなくて、警察へ届け出するほどの動きがあったんだって……!
でも、万が一のための保険として、事前に、ある人へ言伝が渡っていたの」
「まさか……!?」
「ええ、それがどーゆう訳かわからないけど……幾人もの人の手を渡って、
アヤさんから、ヨーシキワーカさんへ、バトンが受け継がれたらしいわ――」


★彡
【――運命すら感じた】
【それはアヤからの口頭だった……。所々たどたどしく、鮮明とは言えないまでも、亡き故人の思いが受け継がれた】
『――必ず、次の世界大戦は起こる……』
『……』
当時のヨーシキワーカ(俺)は、何だろうと振り返る。
『こんな悲劇の世の中を、見たくもない、聞きたくもない、もう、武器を持って、戦場に立ちたくない】
『向かわせたくない……誰も……』
『……ッッ、もうたくさんだ……』
『……』
『もう終わりにしたい……だが、だけど、繰り返す……』
『グルグルと……グルグルと……繰り返して、あんな人の泣き叫ぶ声を聴いた時には、この胸が張り裂けそうだった……』
『だが……現実とは時に、無情にも、等しく、誰に身にも降りかかるものなんだ……』
『……』
『お前はどう思う? ヨーシキワーカさん』
『その言葉は?』
『……あぁ、ある『手記』に習ってのものなんだ』
『……『ノート』か何かか?』
『……わからない、何も……。ただ、こう伝わってる』
『……』
『この手記を読んでいる誰かへ、願うならば、その後、どういった動きがあっていたのか……時代の子等へ、伝えてもらえないだろうか――と』
『……』
『……これを書いたり、言いふらしたりしたら、まず、あなたは確実に消される……』
『……』
『……』
『……フ~ン……』
フッ……
と笑ってしまう。ヨーシキワーカ(俺)がどこかにいたんだ――


★彡
【繋がる繋がる、人から人へ、命のバトン、すべての1つの道へ繋がってる、高次元的なもの】
【愚者の足跡、愚者の記録、経験、想い、そう、愚者の開拓記】
――その後、私は自宅へ帰り、執筆を認める。
(これも偶然か? 必然か? いやぁ……)
俺は、未来のスバルの顔を思い浮かべ、自然と綻(ほころ)んでしまう。
(この世にあるのは、すべて、必然だ……!)
カタカタ、カタカタ
とホログラム映像越しのキーボードを打つ。
(記そう、すべてを書けないまでも、断片的でもいいから、少しでも多く残せるものを、未来に生きる時代の子等に託すためにも……)
(輪廻は巡る……クルクルと……)
(フッ、あいつのロイか……?)
(……フフッ)
(そうだな、題名は……)
(愚かを加えようよ)
(フッ、いいなそれ! 愚か者の歩み、その冒険の軌跡……)
((『愚者の開拓記』――と))
それは、無謀にも似た想い、足跡なんだ。
(……もしかしたら……殺されるかもしれないね……?)
(そうなった時は、そうなった時だ……!)
(……)
(……あっいや、後悔や未練がないって言ったら、ウソになる……ただ……)
(ただ……?)
(俺(私)という人がいたという事は、遺せるだろ? 確実に……)
(……)
(就職活動が難航して、もう2,3年か……。ここからは、1つの賭けだな……)
(……)


☆彡
【愚者の開拓記】
過去から現在に返り、少年は、その口から、この言の葉を落とした。
「――『愚者の開拓記』……」
と。
それは、以前、レグド・レグルスとの戦いの時、地球にいたチアキ姫が、零した言葉だった。
その一節の詩(フレーズ)が、時を超えて、時代を超えて、その場所すら超えて、今、少年に受け継がれた。
「………………」
こう、胸にストンと落ちてくるものがあったんだ……。
「……」
「……」
静まりかえる一同の姿……。

――次に言の葉を告げたのは、アンドロメダ王女様だった。
「――似ておるな……」
「はい……」
「………………」
沈黙の間が流れて――


少女はこう呟きを落とす……。
「――それじゃあ、ヨーシキワーカさん、闇討ちに合って、殺されるんじゃないの!?」
ハッ!?
ほぼみんな、この言葉に戦慄した。……だが、しかし……。
「大丈夫よ!」
その言葉を言ったのは、サファイアリーさんだったわ。
彼女はこう続ける。
「さっきエメラルティが言ったでしょ!? その『中学の義務教育』で、『当用漢字』と『常用漢字』の話をしたことを……!」
あっ!?
これには一同、すぐに思い当たる節があった。
「当然、小学校、中学校、高校生を出ている大人の人がいれば、『戦争時代の話』は習ってる訳よ! 『義務教育の一環』でね……!」
「……」
「そーゆう事か……!」
その呟きは、ミノルさんのものだったわ。
その妻のアヤネさんが、こう呟く。
「義務教育で習ってるなら、当然大人なら、『みんな知っていて』、『当たり前』よね!?」
「そうだな!」
「うん!」
とアヤネさんが頷き得るのだった。
「問題は、その話を思い出せるかどうかって話よ!?」
「!」
そう言ったのは、サファイアリーさんだった。
「ヨーシキワーカさんですら、その話を思い出すのに、すっご~い苦労したんだからね!」
「「「「「それはそうだ(よ)……」」」」」
一同、そう言わざるにはいられなかった……。

――とここで、シャルロットさんが。
「――その戦争が終わった後、どうなったんですか!?」
「!」
エメラルティさんは、こう言の葉を告げる。
「――その戦争の代償は、耐え難くてね……。
広島の平和記念公園に、G7首脳陣が集まり、激戦地の街の惨状と被爆地の想いを重ね、
その原爆慰霊碑に献花を捧げたそうよ」
「……」
それは黙祷の想いだった。
そして、それは、地球人スバルも、前に信仰行事で行った事がある。忘れもしないあの日の出来事だ。
あの海上都市タラッシーポルティでの出来事――
「――」
この胸が潰れそうになる。
「……」
「……」
そんな少年を見ぃ、淑女は、こう語り継ぐ。
「その痛みに寄り添えない力なき医師団からのせめてもの贖罪(しゃくざい)だったからね……。
手足を失った人もいて、知り合いの誰かすら失った人だっている、
永遠に消えない、癒えない傷跡だって遺るものなのよ……。
戦争が終わったとしても、まだ、その人達の中じゃ、戦争が続いていたの……。
悪夢という名の戦争と……。
千切れた手足からは、幻の痛みもあっていたらしく、それを少しでも抑えるために、造られたのが……」
「PTSD……なんだね?」
と少女が、痛ましいまでも、その名を呟き落とすのだった。
「……」
コクリ
と頷き得るエメラルティさん。
ショックの思いで、その少女も、その口に両の手を充てる思いで、
ショックを隠せなかった……。
「……」
「……」
エメラルティさんは、こう語り部を続けるのだった。
「あたし達の今ある生活は、その人達の犠牲の上にあるからね……。
だから、忘れてはならないのが、そーゆう歴史があった事を、誰かが紡いで行くことが、何よりも大事なのよ!
長崎の原爆資料館然り、広島の平和記念公園然りね……」
「………………」
これには、隣で見聞きしていたサファイアリーさんも、断腸の思いであった。
その人が顔を上げて、こう言った事で、契機を迎える。

「――あたし達も今、同じ立場が言えるでしょ!?」

「「!!?」」
その言葉に気づかれたのは、アンドロメダ王女にシャルロットさんだった。
しかも、それをやらかしてしまった加害者ともいえる王女様は。
「オイッ!! シャル……まさか……!?」
「いけない……忘れてましたぁ……!?」
とシャルロット(あたし)は、口元に手を当てて、そう声を上げるのだった。
これには王女様も。
「クッ、後で良い……『聞き逃す』かもしれんしの……わらわも、『最初から全部一から言える自信がない』わ……」
「それはあたしもですよ……」
ハハハハハ……
それを見ぃ、空笑いを浮かべる一同の姿があったのだった……。
「仕方ない、後でわらわの方から、デネボラを通そう!」
「あたしも……ヒースを通します!」
アンドロメダファミリア、アクアリウスファミリアを通す、流れができあがっていくのだった。
「薬はどうなるの!?」
「そんなのは決まっておる!! アンドロメダファミリアが負担する!!」
「!!」
「ッ……また、何か嫌味を言われそうじゃな……」
(それも父王や周りに……)
「ご自身のやらかした事でしょ?」
そう言ってきたのは、シャルロットじゃったわ。
そんな事言われんでもわかっておるわ。……まぁ、じゃが……一番悪いのはわらわなのじゃし……仕方なし。
後で、グチグチ言われる事はもうわかっておるし。
「ウム……済まぬのスバル……」
「……フゥ……もういいですよ。その代わり、キチンとしてくださいね?」
「わかっておる……! 必ず、この埋め合わせはする!」
それが、責任の処罪(しょざい)の取り方じゃ。
【――そこには、地球人と、アンドロメダ星人と、アクアリウス星人の不思議なやり取りがあったのだった】
【被害者と加害者と中立の立場を持つものとのそうした場が……】
【だが、欠くいうそれを見ていた一同でも――】
「――えーと……こっちで勝手に話を進めるわよ?」
「「「ハッ!?」」」
【残念ながら、話の流れにより、その主導権は完全に美人三姉妹側にあったのだった……】
【その理由の多くは、語るまでもない――】
それを見たアンドロメダ王女様は。
(何じゃこれ!? わらわの頭がおかしいのか!?)
とシャルロットさんは。
「あぁ、これは多分、見えないからですよ? エナジーア生命体が!?」
「ガクゥ……!! そんな道理通るかァアア!!?」
「現に今通っていらっしゃるじゃないですか?」
「……」
ゲンナリ……
これにはわらわを推しても、苦悩をさせられる思いじゃったわ……。ホントにこ奴等は大丈夫か? ホンに心配させられるわ、この種族は……。
これにはスバルも。
ハハハ……ハァ……。
空笑いを浮かべ、勝手に落胆するのじゃったわ……。
それを見ぃ、わらわは。
(お主も、大概気苦労させられるのぉ……そんな特異な力を持って……)
(……)
(……)
【スバルは、地球人繋がりの中で、一際異彩を放つぐらい、抜きんでておったわ……】
【お主だけが頼りじゃわ……】
【――この小規模な『星間会議』は、こうして苦労の連続を負う日々が続くことを、この日、如実に味わう思いじゃったわ……――】

――とここでアユミちゃんが。
「――その後は?」
「うん! その話をしてから、翌週の火曜日、玄関先で何かあっていたようなのよねぇ~……!?
またしても、対応に当たっていたのは、そこのお父様の方だったの……。
いったい、そこで何があっていたかまでは、わからないわ……」
「そう……」
その話を聞き、残念がるアユミちゃん。
けど、エメラルティさんは、こうも話を続けるのだった。
「まぁ、『そいつを消して、今すぐあっちの奥まったところへ行って、そいつからホログラム映像出力装置付きマウスごと奪ってこい!!』
『後はこちらで、それを揉み消した後、こっちでいいように編集し直して、使わせてもらう!!』
『それでもう許してやるって、こっちは言ってんだろうがァアアアアア!?』
――ってところかな!?」
「聞いてたのそれ!?」
「聞き耳を立てていた程度よ。奥まったところにいて、全部は聞こえてこなかったらしいわよ……。
まぁ、そのドクターイリヤマが警察に突き出された話ってのは、あっちが勝手にでっち上げた『嘘』だったわけよ!
そうした集団の取り次ぎ回しによるね……!」
「あっウソなんだぁ……やっぱり……。だから、良く『話のウマを合わせる』か……! うわぁ、『詐欺』だわぁ……これぇ……」
「そうね!」
と告げるエメラルティがいたのだった。
とここでクリスティさんが。
「――その後、数週間が過ぎ、ヨーシキワーカさんが職業安定所に顔を出して、
その横でヨシュディアエさんと電気工事店の誰かさんが、声を出していた事があってね……――


TO BE CONTINUD……

しおり