バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

第40話「捜査開始」

「到着っと」

警視庁から中野駅前へと着いた焔火。現在の時刻は午後8時を回っていた。また、駅近くの広場周辺には規制テープが張られており、その先では複数の警察官達が現場検証を行っていた。それからテープ付近には野次馬達がゾロゾロと群がっていた。

「よっと」

焔火は乗っていたバイクのエンジンを切り、バイクから降り、現場の方へと近づいていった。

「ちょいと失礼っと」

焔火は群がっていた野次馬達を掻き分けながら規制テープに近づき、くぐろうとした。するとテープ付近に立っていた1人の男性警察官が焔火を呼び止めた。

「ちょっとちょっと君、ここから先は関係者以外は立ち入り禁止だよ」

焔火は、呼び止めてきた男性警察官に西園寺から渡された代行証を見せながら言った。

「いや、俺関係者っす」

代行証を見た男性警察官は、すぐに理解を示した。

「そうか……君が例の……呼び止めたりして悪かったね、入ってどうぞ」

「どもっす」

焔火は男性警察官に軽く会釈をし、テープをくぐって奥へと進んでいった。

(ほ~……刑事ドラマで見た事ある光景がリアルで広がってるぜ……)なんて思いながら現場の中をうろちょろしていた焔火。するとそんな彼の元に1人の男性が近づいてきた。

「君が燈君だね?」

焔火の前にやって来たのは若干小太りの30代くらいの男性であった。

「ん?そうっすけど……あなたは?」

「私は芋洗坂警部補、西園寺警視正から話は聞いているよ、今日から雷光警部と白鳥に代わって刑事活動をするんだってね?」

「ええ、そうっす」

「そうかそうか、今後ともよろしく」

芋洗坂は右手を焔火に差し出した。

「ああ、どうもっす」

焔火も右手を差し出し、2人は握手を交わした。そしてここで焔火が芋洗坂に言う。

「正直……不服に思ってるっすよね?」

「ん?何がだい?」

「こんな得体の知れないクソガキが刑事活動なんて……って」

「ハハハ、まさか、そんな事思ってないさ、むしろ逆だよ」

「え?」

「君の事は数年前から知っている、数々のミュータント絡みの事件を解決した"敏腕正義超能力者少年(ジャスティスミュータントボーイ)"としてね、そんな君が我々に協力してくれるなんてとても感謝感激だよ」

「ハハハ、そう言ってもらえるとは実に恐縮っす、あの~、それで仏様達は?」

「ああ、こっちだ、案内するよ」

焔火は芋洗坂に案内されて遺体のある場所へと歩いていった。

「これだよ」

案内された先にあった遺体にはシートが被されていた。そして焔火はそのシートをソ~ッとめくった。

「うっ……!!ひでぇな……!!」

遺体を見た焔火は思わず顔を歪めてしまった。遺体の額には建設用の物と思われる巨大なボルトが突き刺さっていたのだ。

「他の7体の遺体もこんな感じさ、全員額にボルトが突き刺さって死亡している……一応見ておくかい?」

「はい、じゃあ一応……」

焔火は芋洗坂に案内されて、残る7名の遺体を確認した。それらの遺体は先程芋洗坂が言った通り、全員額に巨大なボルトが突き刺さっていた。

「芋洗坂さん、被害者達に刺さってるこれらのボルト……どんな感じで突き刺さったのかって調べついてます?例えば自然に飛んできて刺さったのか、それとも誰かが手を使って突き刺さしたのか」

「ああ、その事なら事件当時近くを歩いていた通行人達の証言からとっくに調べはついているよ」

「それで何て?」

「ああ、証言によると突然空からボルトが飛んできて、この付近を歩いていたこれらの8名に直撃したらしい」

「なるほど……ボルトが突然空からね……」

「燈君………こんな事って……」

「ええ……人間には不可能、自然現象としてもありえない、つまりミュータントによる犯行とみて間違いないでしょうね」

「やっぱりそうか……」

「あとそれから芋洗坂さん、亡くなった8名の共通点とかって調べついてます?」

「いや、まだだよ」

「そうっすか……あ!恐らくね、この殺された8名は"殺人ゲーム"に則って殺されたと思うんすよ、つまりは無差別に殺されたんじゃないと俺は思うんすよね」

「殺人ゲーム……例の"殺戮会"とかいう連中のイカれた遊びか……なるほど分かった、早急に調べておくよ、あとそれから、この付近の防犯カメラの解析を行って怪しい奴が映ってないか調べておくよ」

「それは助かるっす、んじゃ俺はこの周辺で怪しい奴を見なかったか片っ端から聞き込み捜査をやりますよ」

「分かった、あ!そうだ!何かあった時に連絡が取れるように携帯の番号を交換しておこうか」

「そうっすね」

その後2人は番号を交換し、それが終わるとそれぞれの仕事を行い始めた。

しおり