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第37話「poison,thunder, blood 」

「これは……」

匙守音と白鳥は崩れ落ちた木々の近くの地面に、人間1人が入れるくらいのサイズの穴が空いているのを発見した。

「恐らく先程の爆発に乗じて毒で地面を溶かし、地中に身を潜めたのね」

匙守音は穴を見ながら、そう呟いた。

「け、警部!あそこを見てください!」

「え?」

白鳥は突然匙守音に声をかけつつ後方に指を差した。そして匙守音はそこに視線を向けた。するとそこには、不穏な笑みを浮かべながらキセルを吸う翡翠の姿があった。

「……なるほど……地中を溶かしながらあそこまで進んで地上に出てきたって訳ね」

匙守音が翡翠を見ながらそう呟くと、翡翠はキセルをしまい、ニヤリと不気味な笑みを浮かべながら口を開いた。

「フフ、2人共中々やるじゃないの……正直かなり驚いたわ、ここまで私とやり合えるなんて」

翡翠の言葉に匙守音が反応する。

「……それはこっちのセリフよ、私達2人を相手にここまでやれるなんてね」

「フフ……天下の警視庁の方からお褒めいただけるなんて非常に光栄だわ、さて……話はこの辺にして、とっとと終わらせて貰おうとするかしらね」

翡翠はそう言うと、両手の平を前に出して毒液で双剣を持った兵士の様な物を2体作り出した。

「な、何あれ!?」

驚いた白鳥。そして声は出さなかったものの、隣にいた匙守音も驚き顔を浮かべていた。

「GO」

静かにそう呟きながら指パッチンをした翡翠。すると2体の双剣兵士は匙守音と白鳥に向かって猛スピードで襲いかかっていった。そんな2体に匙守音は雷を、白鳥は血液で作った無数の弾丸の様なものを放った。しかし双剣兵士達は2人の攻撃をジャンプやローリングを駆使して華麗に躱し、そしてあっという間に2人に距離を詰め、双剣で斬りかかった。

「「ッッ!!」」

2人は間一髪それぞれの攻撃を躱した。そしてその後2人は色々と頑張って戦って2体を消滅させる事に成功した。

「ほ~……あれを消滅させるとはやるわね、」

翡翠はそう呟くと、また再び毒液で双剣兵士を2体、そしてその他にも10体のハイエナ、10体のコモドドラゴン、10体の虎、10体の熊といった様々な物を生成させ、匙守音と白鳥に襲いかからせた。そしてそれに対して2人は頑張って応戦し、1回も攻撃を喰らう事なく、見事に全てを消滅させた。するとその様子を見ていた翡翠はパチパチと拍手をした。

「凄いわ……驚いたわ……あれらを全て消滅させてしまうなんて……あなた達本当にやるじゃない」

翡翠の言葉に匙守音が反応する。

「当たり前よ……私達を誰だと思ってるの?天下の警視庁捜査一課の最強警部と最強巡査部長よ?これくらい出来て当然でしょ?」

匙守音の発言に翡翠はニヤリと笑みを浮かべた。

「フフフ……そんな最強警部と最強巡査部長様でもさすがにこれは防ぎようがないでしょ?」

そう言うと翡翠は全身から紫色のガスを放った。それにより公園全体に紫色の霧がかかった。

「こ、これは……!?」

「まさか!?」

顔を若干青ざめさせる匙守音と白鳥。

「ええ、お察しの通り、毒ガスよ」

翡翠がそう言った数十秒後に匙守音達は急に全身から力が抜けていく様な感覚を覚えた。そしてそのまま地面に両膝と両手を付いた。そんな様子を見た翡翠はニヤリと笑みを浮かべながら匙守音と白鳥の元にゆっくりスタスタと歩いて近づいていった。

「フフフ……どう?体に毒が染み渡って死に近づいていく感覚は?」

そう言いながら翡翠は、その場でしゃがみ込み、両手を2人の右頬に当てた。

「ん~……中々の美人ね……こんな2人を殺すなんてとても心が傷むわ……」

翡翠はそう言いながら、意識が朦朧としている匙守音と白鳥の顔をじっくりと眺めていた。そして数十秒後にスッと立ち上がり、2人に「永遠にシーユー」と言い残して、その場からゆっくりスタスタと去っていった。

「ま、待ちなさい……」

朦朧とする意識の中地面を這いずり、翡翠を追おうとする匙守音。一方で白鳥の方は既に意識を失ってしまっていた。そしてそれから数分後に匙守音の方も遂に意識を失ってしまった。

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