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第27話「決着」

「い、いでぇぇぇぇ……!!!馬鹿になりそうだ!!!」

焔火は地面に片膝をつけながら電柱にぶつけた頭頂部を両手で抑えていた。

「ほらほらほらほら!!!休んでる暇なんてねぇぞ!!!まだまだいくぞ!!!」

五条は片膝をつけてる焔火に向かって光の玉を複数投げつけた。

「おっとやべぇ!!」

焔火はバッと立ち上がり、ローリングしてその場から避難した。

チュドォォォン!!!ドガァァァン!!!ドガァァァン!!!チュドォォォン!!!ドガァァァン!!!

光の玉は焔火には当たらず、街のあちこにぶつかり、大爆発を起こした。それにより建物が半壊したり駐車されていた車が吹き飛んだり電柱が倒れたりした。そしてその光景を間近で見ていた焔火は思った。このままでは新宿は崩壊してしまう。そうなる前に早急にあの男を片付けなければと。

「うおおおおおお!!!!」

焔火は意を決したかの様な表情を浮かべて五条にダッシュしていった。

「フン!!正面から突っ込んでくるなんて馬鹿な事この上なし!!喰らえ!!C4ジャイロボール!!」

五条は向かってくる焔火にトルネード投法で光の玉を投げつけた。

「うおおおお!!!!我慢!!!!」

ドガァァァン!!!!

焔火は玉を避ける事なく真正面から受けた。

「よし!!手応えあり!!死んだな!!」

五条が勝利を確信した瞬間に爆発によってモクモクと立ちのぼっていた煙の中から、そこそこボロボロになった焔火がダッシュで出てきた。

「な、なにぃ!!??俺のC4を正面から喰らって無事だと!!??」

驚愕した五条。そんな五条の顔面に焔火は右拳を振りかざした。

「顎ガード!!!」

五条は焔火のパンチをカルメルタザイト並みに硬い自慢の顎で受け止めようとした。

ゴギャッ!!!

「がっ!!??」

パンチを喰らった五条の顎は砕けた。それにより五条はタコ踊りの様にフラついた。

「な、なぜだ……!?さっき喰らった時は平気だったのに……!!」

「単純な話さ!!さっきは5割の力で殴った!!んで今は7割の力で殴った!!」

たった2割違うだけでここまで威力が変わるのか。五条がそう思った刹那に焔火は五条にパンチのラッシュを浴びせまくる。

「ぐっ!!ごっ!!がはぁ!!ごほぉ!!」

止まらない焔火の強烈なラッシュ。そんな中で五条は一瞬の隙をついて焔火に組み付いた。

「んだゴラァ!!俺にそっちの気はねぇぞダボが!!」

「へへへ……ゼロ距離で爆発したらどうなるかな?」

「!!」

五条は組み付いた状態のまま先程自身の身体を纏った炎を吹き飛ばした様な大規模な爆発をしようとした。するとその直後に焔火はホリフィールド戦のタイソンの如く五条の右耳を噛みちぎった。

「んぎゃあああああ!!!!!」

タンスの角に足の小指をぶつけた時の様な激しい悲鳴をあげた五条。

「オルァァァァァ!!!!トドメだぁぁぁぁぁ!!!!」

焔火は五条に強烈なワンツーパンチ、前蹴り、後ろ回し蹴りのコンボを浴びせた。

「ごふっ……!!!」

コンボをマトモに喰らった五条は吐血しながら地面に仰向けに倒れ込んだ。

「判定ダメだよ、KOじゃなきゃ」

焔火は五条を指差しながら決め台詞を言い放った。

「さて……もうじき警察が来るだろう……そうなりゃお前は御用、人生終了オッパッピーだ」

焔火がそう言うと五条はニヤリと不気味な笑みを浮かべた。するとその直後に突然五条の全身がピカーッと赤色に発光しだした。

「な、何だ!?」

「くっくっく……サツに捕まるくらいなら死んでやるぜ、それもただ死ぬ訳じゃなく大勢の人間を道連れにしてな」

「な、なにぃ……!?お前……!!まさか……!?」

「お察しの通りさ……自爆しま~す……威力は60キロトン、残り時間は10秒……震えろバ~カ」

五条は勝ち誇ったかの様な顔で焔火にピースした。それに対して焔火は冷静な顔で言い返す。

「悪いがお前1人で死んでくれや」

そう言って焔火は五条を持ち上げて空中に向かって力一杯投げつけた。

「ぬおおおおおおおお!!!!!!ちくしょおおおおおおおおお!!!!!!」

五条は悔しがった。そして上空4000m付近で激しい大爆発を起こして塵となった。街は危機から救われた。

「ふ~……結構ヤバい奴だったな……」

焔火は塵となったタカシを見ながらそう呟き、地面にペタンと座り込んだ。そしてその様子を物陰から見ていた殺人ゲーム監視役の蓬莱は翡翠に電話をかけた。

「もしもし俺だ、五条の奴ゲーム失敗したぜ……ああ……燈焔火とかいう奴に喧嘩吹っ掛けて負けて、最後は上空で自爆してこの世からおさらばだ……ああ……それじゃあな」

蓬莱は電話を切り、どこかへと立ち去っていった。

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